少子高齢化による労働人口減少の影響から、人材不足に悩まされている企業が増加し、従来の採用手法と並行して、トレンドの採用手法を導入する企業が増えています。
その中でも、近年普及が一番進んでいる採用手法の一つが「ダイレクトリクルーティング(スカウト採用)」。
既に多くの企業が利用していますが、本記事では従来の採用手法との比較や、採用成功に近づけるためのコツなど、よりコアな情報をお伝えします。
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ダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)とは
ダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)は、企業が求める人材に直接アプローチできる“攻め”の採用手法として知られています。
従来の採用手法ですと、候補者から企業にアプローチして採用に繋げることが一般的でしたが、現在は新卒・中途問わずに売り手市場が続くことから、攻めの手法が取り入れるようになりました。
ダイレクトリクルーティングは採用媒体だけでなく、SNSを活用して採用市場にいない候補者にアプローチすることも可能です。
ダイレクトリクルーティングが注目される背景とは
ダイレクトリクルーティングは、元々アメリカ発のサービスで、日本では近年急速に活用されるようになりました。
また、豆知識ですが人材紹介やリファラル採用もアメリカ発のもので、アメリカで採用管理システムを提供する「Workable社」の記事によると、アメリカでは採用における経路の割合の1位がリアファラル、2位がダイレクトリクルーティングであるということがわかっています。
(参考:Workable社「Source of hire: what it is, how to measure it and how to use it」)
日本はアメリカのトレンドが後になって流行する傾向があるため、最近注目を浴びているスカウトサービスのLinkedinも、日本でブームを巻き起こすと言われており、実際に国内でもLINEヤフー株式会社や武田薬品工業株式会社などの大手企業を中心に、LinkedInを活用した採用事例が増えてきています。
詳しくは下の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
このように、ダイレクトリクルーティングは採用活動における主流な手法として近年どんどん勢いを増しているのです。
ダイレクトリクルーティングとスカウト採用の違いは?
ダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)とスカウト採用には、大きな違いはありません。
(実際に、本メディアでは3つとも#ダイレクトリクルーティングのタグでまとめてしまっています)
どちらも、何かしらのチャネルを使って見つけた採用ターゲット(候補者)に企業側からメッセージやメールを用いてアプローチする採用の方法を指している言葉です。
大手企業や外資系企業ではダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)を使うことが多く、ベンチャー企業などではスカウト採用と呼ばれることが多いです。
従来の採用手法との違い
従来の採用手法である「求人広告」や「人材紹介」と比較したときに、どのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
求人広告との違い
求人広告とは、募集要項を求人サイトに掲載し、求職者からの応募を待つ人材サービスで、掲載料金は、募集する雇用形態や職種、掲載期間によって異なります。企業は求人を掲載し、あとは候補者からの応募があるまでアクションを行うことができないため、知名度が浅い企業は不利な傾向にあります。
また、求人広告は、転職に対して積極的に行動する「転職顕在層」が多い傾向にありますが、潜在層が転職市場の7割占めている日本では、求人広告サイトに流入する人がそもそも少ない傾向にあります。
ダイレクトリクルーティングよりかは、運用工数を削減できますが、確実な母集団形成やスピード感を持った採用は難しいため、売り手市場が続く今、求人広告だけで採用に繋げるのは難しいでしょう。
人材紹介との違い
人材紹介とは、CA(キャリアアドバイザー)が求職者と企業の仲介役に入り、互いのニーズを聞き出しながらマッチングさせるサービスのことを指します。
事前に候補者と入念な面談を行うため、入社後のミスマッチを最大限に減らせるだけでなく、人事の運用工数も大きく軽減することができます。
一方で、採用単価が高く、「理論年収の25~40%」が成功報酬として発生します。優秀な人材であればあるほど、採用のコストが膨れ上がるため、あまり採用に予算を割けない企業は適していないでしょう。
ダイレクトリクルーティングのメリット
ダイレクトリクルーティングのメリットについてみていきましょう。
採用のノウハウを蓄積することができる
ダイレクトリクルーティングは、「誰に(Who)・何を使って(What)・どのように(How)行えば採用に繋がるのか」をマーケティング視点を用いて媒体運用を行うため、自社のノウハウを構築しながら採用に結びつけることができます。
運用が軌道に乗るまで一定の期間がかかってしまいますが、うまくいくようになると積極的にアプローチしなくとも、返信率を保ったまま運用できるような仕組みを作ることができます。
また、ダイレクトリクルーティングの中でも、WantedlyやGreenなど採用広報の機能がついている媒体は、求人票やスカウト文章だけでは伝えきれなかった自社の魅力を伝えることができます。
採用コストの削減につながる
ダイレクトリクルーティングは、従来の採用手法である求人広告や人材紹介よりも、約半分以下の費用で採用をすることができます。
利用する媒体によって料金体系は異なりますが、中でも月額制の媒体は、契約期間内に何名採用しても追加の費用が発生しないため、採用単価を格段に下げることができます。
さらに、SNSを活用したダイレクトリクルーティングでは、利用料や成功報酬なしで、優秀な人材を採用することができるため、実質0円で採用に繋げることができます。
転職潜在層にもアプローチすることができる
ダイレクトリクルーティングの大きな特徴として、今すぐの転職を考えていない「転職潜在層」にアプローチできるというメリットがあります。
求人広告や人材紹介は転職顕在層が登録していることが多いですが、ダイレクトリクルーティングは、「いい企業があればしたい」「自分の市場価値を確かめたくて登録した」「転職を視野に入れているけど今すぐではない」など、登録している理由が人によって異なります。
このような転職潜在層を採用に繋げるのは非常に難しく、時間もかかってしまいます。しかし、競合が少なかったり、ハイレイヤー人材が多いなどのメリットもあります。
ダイレクトリクルーティングは、採用広報やパーソナライズ化したスカウト文章を通じて、潜在層にダイレクトにアプローチできるため、従来の手法では採用が難しかった人材も「転職顕在層」に変えることができます。
継続的な母集団形成ができる
通年採用を行なっていて、継続的に母集団を形成したい企業にはマッチしています。
人材紹介や求人広告は、コストの兼ね合いから期間を決めて利用することが多く、その結果母集団形成も一時的なものになってしまいます。そのため、短期の採用計画には適していますが、長期の採用計画を検討している企業にはあまり適していないです。
一方で、ダイレクトリクルーティングは継続的な運用によりさまざまな候補者と接触できるだけでなく、媒体やスカウトのノウハウを蓄積することが可能です。そのため、通年での採用を行う企業は、導入してみる価値があるでしょう。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
続いて、ダイレクトリクルーティングのデメリットについてみていきましょう。
媒体のノウハウが必要
ダイレクトリクルーティングは、媒体ごとにアルゴリズムや仕様が異なるため、効果的な運用を行うためには各媒体ごとの特徴や効果的な運用方法を知っておくことが重要です。
「求人票を上位表示する方法」「会社ページのPV数を増やす方法」「候補者検索のコツ」など、細かい部分ではありますが、知っているか否かで応募数に数倍の差が出ます。
ノウハウの確立は一朝一夕では難しいですが、各媒体のカスタマーサポートや採用代行サービス(RPO)に相談することで有益な情報を得ることができます。運用に課題を感じている企業はまずは無料相談からしてみるのを推奨します。
人事の負担が大きい
ダイレクトリクルーティングは、候補者のフィルタリング、求人票の作成、スカウト送付、返信対応、日程調整など、これらすべての業務を自社で処理しないといけないため、人事の負担に繋がります。
特にスカウト作成は、一通一通パーソナライズ化した内容が求められるため、運用業務の中でも最も手間がかかる作業です。
最近は、業務の効率化を図るために、業務の一部または全てをアウトソースする企業が増えています。アウトソースすることで、人事は面接実施や入社後のフォローなど、よりコアな業務にリソースをさくことが可能です。
採用代行(RPO)のおすすめサービスをご紹介していますので、アウトソースを検討している企業は、下記の記事も参考にしてみてください。
効果が出るまでに2~3ヶ月かかる
ダイレクトリクルーティングは、運用の効果が出るまでに数ヶ月の時間を要します。
もちろん企業によって差はありますが、安定した結果を出すまでに繰り返しPDCAを回す必要があり、中長期的に運用が必要なことを想定しておく必要があります。
そのため、短期間の採用計画ではなく、どちらかというと通年採用を行なっている企業の方が適しているでしょう。
ダイレクトリクルーティングの成功のコツ
ダイレクトリクルーティングの運用を成功させるためのコツを4つご紹介します。
①長期的な運用を心がける
ダイレクトリクルーティングの成功のコツは「長期的に運用すること」です。
採用は候補者のタイミングも重要なので、いくら企業が運用に力を入れても、たまたま転職希望者が少ない時期は一名も採用に繋がらないケースもあります。実際に、一回目のスカウトは返信がなかったけど、再送で面接につながったケースもあります。
その他にも、アカウントの育成や母集団が増えるタイミングなど、外的要因も合わさりながら運用を重ねることで現れる結果もあります。
運用を開始してすぐは結果に繋がらなくて利用を止めたいと思うこともあるかもしれませんが、前提として「長期的に運用していく」という心構えの上で導入を行いましょう。
②候補者のレジュメからパーソナライズ部分を作成する
ダイレクトリクルーティングは、スカウト文章をパーソナライズ化するとしないで、返信率に大きな差が生まれます。
「なぜその候補者を採用したいのか」を言語化することで、候補者に熱が伝わりやすく、最初は名前すら知らなかった企業でも、スカウト文章がきっかけで興味を持ち採用に至るケースも珍しくありません。
例えば希望条件に「子供が小さいためご理解ある会社だと嬉しいです」と記載されていた場合、パーソナライズ化の部分を「フルリモート・フルフレックス可能」に焦点を置くだけで返信率が向上します。このように、いかに候補者の希望を提示できるかが、成功の鍵になります。
また、エンジニアなど専門的な職種は、一定の知識を持っていないと、パーソナライズ化に時間がかかってしまいます。そのため専門職のスカウトメッセージは、現場のメンバーの協力を得ながら進めるといいでしょう。
③返信ではなく「開封」を目標にする
ダイレクトスカウトは「返信」をゴールに置くのではなく、まずは「開封」にゴールにおきましょう。
優秀な人材ほど、一日に何十通うもスカウトメッセージが届くため、スカウトを送っても埋もれたり、そもそも開封してもらえないことが多いです。また、開封しても他のスカウトメッセージとあまり変わりがないので、徐々に開封しなくなることが多いです。
開封をされないと、せっかく作成したスカウト文章も読まれないまま埋もれてしまうので、非常に勿体無いです。
そのため、まずは開封されることを目標にし、スカウトのタイトルや導入文を工夫してみることが重要です。企業の待遇や福利厚生は候補者の興味を惹きやすいため、条件面を冒頭に記載して興味をひいてみるといいでしょう。
④ ペルソナを設計する
ペルソナとは、採用活動において「企業が採用したい理想の人物像」のことを指します。
頭の中ではターゲット像を理解しているつもりでも、いざ言語化してみるとうまく表せないことがあります。また、人事と現場で求めている人物が異なり、採用のミスマッチが発生することもあります。
このような事態を減らすためにもペルソナの設計は非常に重要です。ペルソナを設計することで、人物像のミスマッチを避けるだけでなく、ペルソナの視点に立って募集記事や採用コンテンツを作成できるため、質の高い母集団形成を行うことができます。さらに、ターゲットが決まっていればダイレクトリクルーティング媒体を選定する際にも非常に役立ちます。
ペルソナを設計する際には、自社の要望だけを詰め込まずに、市場や競合を分析した上で客観的視点を取り入れながら設計しましょう。
定期的に反応を分析してPDCAを回し続ける
スカウトのメッセージは「送ったら終わり」ではありません。定期的に反応を分析し、仮説を立てて新しい施策を打つことでより効果的なダイレクトリクルーティングができるようになります。
具体的に弊社の採用コンサルタントがクライアント様のダイレクトリクルーティングの支援をする際に考えていることの一部をご紹介します。
- 何曜日、何時に送るのがいいか
- どんな件名だと開封してもらいやすいか
- 採用ターゲットはパソコンとスマホ、どちらで媒体を利用しているか
- 文章中の装飾はどのようなものがいいのか
- 求人票は何を一番に訴求したものだと反応がいいのか
- 競合他社のメッセージよりも魅力的か(候補者側で登録して、他社からのスカウトを受けてみる)
まとめ
ダイレクトリクルーティングは、従来の採用手法よりも低コストで利用することができ、また転職潜在層にもアプローチできるなど、さまざまなメリットがあります。ますます売り手市場が続く採用市場では、企業の積極的なアプローチが求められ、今後さらにダイレクトリクルーティングのニーズは増加するでしょう。
ただ、すでに利用はしているものの、なかなか運用の結果が出なくて悩んでいる企業も多いのではないでしょうか?
弊社即戦力RPOでは、約330社以上の支援実績を持っており、マーケティング視点を用いて、採用の戦略設計から媒体運用まで代行しています。
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