採用活動をよりよいものにするには、選考の参加者が「この会社に入りたい」と思わせる仕掛けが必要です。そのポイントとなるのが採用CXです。
本記事では、採用CXとは何かを中心に、注力するメリットや採用CXを向上させるための取り組み方、改善方法などを成功事例と一緒に解説していきます。
本記事では、採用CXの基礎知識から、自社の採用に応用する方法などを他社の成功事例を踏まえてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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採用CX(候補者体験)とは?
採用CXのCXは「Candidate Experience」の略称で、日本語では「候補者体験」と言います。候補者となりうる人材が自社の存在を認知するところから、内定・入社に至るまでの一連の過程において、候補者にとってよい体験をしてもらうために企業側が行う試みが採用CXです。
- 採用広報イベントでの宣伝
- 候補者への丁寧な諸連絡
- 内定後に行う面談などのフォロー
上記の試みは採用CXの一環で行われる施策の一例です。採用活動では、どうしても採用・不採用がはっきりと分かれてしまいます。ですが、不採用者も今後自社の顧客や取引先、ユーザーとして接点をもつ可能性があります。ゆえに結果に関係なく「この会社の採用に関わってよかった」と思ってもらえるような経験をしてもらうことが大切です。
採用CX(候補者体験)が注目されている理由
採用CXが重視される理由は、現状において企業が働き手を選別する時代から働き手が企業側を選ぶ時代になったからです。現状、少子化で働き手が少なくなり、少ないターゲットを多くの企業が奪い合うような状況になりつつあります。
内閣府が発表している「令和4年版高齢者社会白書」によると、生産年齢人口は1995年の8,716万人をピークに減少に転じ、2025年には7,170万人まで減ると言われています。2025年から減少スピードは加速し、2060年には5,000万人を割り込むという試算もあります。
このように人手不足が慢性化してしまうと、働き手はよりよい企業を求めようとし、魅力に欠ける企業は敬遠され、今よりもさらに採用市場における企業競争が激しくなっていくでしょう。
またITの進化やSNSの普及により、誰しもが企業に関する情報収集をしやすい時代となり、良い情報はもちろん、悪い情報まで瞬時に広まりやすい環境となっています。そのため情報によっては、企業イメージが短期間で大きく変わる可能性があります。
例えば、株式会社キャリタスの「2024年卒 採用ホームページに関する調査」によると、志望企業の研究を行う際に、クチコミサイトが有益な情報源であると答えた学生は14.7%、つまり6~7人に1人がクチコミサイトの内容を重視しています。
また同調査では、採用ホームページのデザインや情報が古いことで、およそ9割近い人が志望度に何かしらの悪影響があると回答しています。
企業の魅力は採用活動を通じて感じ取りやすいため、採用活動に参加した候補者の満足度を高める採用CXに注力し、候補者に。「この企業で働きたい」と思わせる魅力を、企業が積極的に示すことの重要性が年々増しているのです。
採用CX(候補者体験)に注力するメリット
年々重要性が高まっている採用CXですが、具体的に採用CXに注力するメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 候補者が集まりやすくなる
- 早期離職の防止と定着率の向上につながる
- 採用後のミスマッチを減らせる
本項目では、上記3つのメリットについて、詳しく解説します。
候補者が集まりやすくなる
採用CXに力を入れることで、企業の魅力がより多くの人に伝わって、ファン化が進み、結果として候補者が集まりやすくなります。また採用活動の過程の中で選考に対する満足度を高められるような施策を多く打ち出せば、X(旧Twitter)や口コミサイトなどで良い口コミが広がりやすくなる可能性もあります。
これらの口コミは、客観的な評価として広く認知されるため、自社のイメージがさらに良いものになります。
結果的に、企業の評判が向上し、より多くの優秀な人材が応募してくる可能性が高まるのです。このような取り組みは、長期的な採用戦略の成功に繋がるでしょう。
早期離職の防止と定着率の向上につながる
採用CXに力を入れることで、入社後にエンゲージメントが高まりやすく、早期離職の防止や定着率の向上につながります。
エンゲージメントとは、社員が会社に対して愛情や思い入れなどがある状態を指し、エンゲージメントが高いと「最高の会社に入れた」とモチベーションの高い状態が維持されやすくなるのです。
また、エンゲージメントが高い状態を保つことができれば、「この会社で成長して恩返しをしたい」というような考え方になっていきます。ポジティブな気持ちで働く社員は、組織全体にもいい影響を与えるので、企業全体の士気の底上げや事業成長の加速にもつながります。
企業にとって、早期離職はさまざまな面で大きな損失となります。再び採用活動を行う際の人的コストや媒体導入コスト、足りないリソースを補うコストなど、想像以上の損失が発生します。採用CXへの注力は本来必要のない出費を防ぐ意味合いとしても、様々なメリットがあると言えます。
採用後のミスマッチを減らせる
採用CXへの注力によって、採用活動の過程において段々と企業側・候補者側双方の理解が深まっていき、その結果、採用後のミスマッチの減少につながります。
多くの企業において、採用後に「こんなはずではなかった」とミスマッチを感じて早期離職が発生してしまうことがあります。こうした入社前後のミスマッチは採用プロセスの中でお互いへの理解が深まっていないことが原因の一つです。
そういった採用後のミスマッチにおいても、採用CXに力を入れることで、あらゆる場面で相互理解を深めることができ、入社前後で発生するギャップを抑えることができるのです。
採用CX(候補者体験)向上への取り組み方と施策例
採用CXはかなり概念的な用語なので、具体的に何を意識してどんなことをするかがカギとなります。採用フローに合わせた採用CXに関する取り組みの大枠は以下のとおりです。
- 採用目標を洗い出す
- 自社の良いイメージを認知させる
- 求職者の応募数を増やす
- 応募者の入社意欲を高める
採用目標を洗い出す
まずは、採用目標を洗い出しましょう。
- 採用によって解決したい課題
- いつまでに採用したいのか
- どんな職種でどんなスキルをもった人材を求めているか
- 採用ターゲットの要件
- 採用予算など
採用目標は採用活動を進めていく指針となります。採用目標が定まっていないと、採用後のミスマッチや採用計画のズレにつながりやすく、採用コストが無駄に増える原因になってしまいます。
欲しい人物像をはっきりさせることで、採用基準が明確になり、評価の際に採用活動につながるだけでなく、企業と候補者の双方が理解を深め合えます。
自社の良いイメージを認知させる
採用CXへの取り組み方として、自社の「良いイメージ」を採用ターゲットを中心として世間に幅広く認知させていくことが大切です。
- ホームページや採用サイトに社員インタビューを載せる
- SNSを中心にターゲットに合わせた魅力を発信していく
- 求人サイトなどの記載を工夫する
- プレスリリースをはじめとした広報要素の強いメディアを活用する
「応募してみたい」と思わせるには、様々なチャネルを通して積極的に発信を行い、「自社のファン」を増やしていくことが大切です。
上記のような方法で企業について認知させ、候補者が自社に興味や関心をもってもらうのが理想的でしょう。たとえどんな結果で終わっても、「選考に参加してよかった」と思ってもらうことがポイントになります。
応募数を増やす
採用CXを高めるには、まず選考に応募してもらうことが重要であり、優秀な人に「選考に参加したい」と思ってもらいやすい状況を整えましょう。
- 企業説明会とキャリア相談会を同時開催する
- インターン生一人一人にメンターをつける
- 求人サイトに「よくある悩み」を掲載する
- 求人票読了後にカジュアル面談の案内をつける
- リファラル対象者向けの採用資料を作成する
企業説明会は自社の魅力を多くの求職者に伝える絶好の機会であり、採用CXの序盤として非常に重要なイベントです。例えば、企業説明会とキャリア相談会を同時に開催することで、参加者の興味関心を引きやすくなります。
また、リファラル採用は従業員の紹介がメインなので、愛社精神が高い従業員からの紹介となれば、従業員の話に魅力を感じた求職者が応募しやすくなります。そこで、リファラル採用対象者向けの採用資料を作成するなどの工夫をして、自社で働くイメージを持ってもらいやすい状態にしましょう。
応募者の入社意欲を高める
選考が進んでいくにつれて、候補者との関係値が深くなっていくのに合わせて採用CXにもさらにこだわる必要があります。
- 従業員の対応
- オフィスで働く従業員たちの雰囲気
- 面接官の対応
- 役員・経営者の対応
例えば、役員面談や社長面談を通じて、個々人に合わせた話をし、評価とは関係のない話をすることで、応募者にとって非常に有意義な時間となります。さらに、「この人の下で働きたい」「社長みたいな人になりたい」というような「ファン化」にもつながるので入社意欲が高まるほか、入社後のモチベーションも維持しやすいでしょう。
また、オフィスで働く従業員たちの雰囲気が大切なのは、応募者が「自分もその中の一員になるかもしれない」という目で見るからです。イキイキと働く従業員や、丁寧に対応する面接官の一挙一動も採用CXの質を左右します。
採用CX(候補者体験)を改善する方法
「自社の採用CXはベストではないのではないか?」と実感している方も多いのではないでしょうか。そういった場合における採用CXの改善方法は以下のとおりです。
- 定期的にフィードバックを実施する
- 採用ツールを導入する
- 内部教育やトレーニングを行う
- 社内連携を高める
上記にまとめた採用CXの改善方法について、詳しく紹介します。
定期的にフィードバックを実施する
採用CXの改善方法として、定期的にフィードバックを行うのが大事です。まずは現状の採用CXの状態について、「候補者は納得感のある体験を得られているのか」という観点から確認を行いましょう。
例えば、「志望度の高い応募者が集まらない」、「リファラル採用が弱い」など、何かしらの問題があった場合はその時点でベストな採用CXとは言えません。定期的にフィードバックを行う理由は、そういった採用活動における課題をなるべく早めに見つけて、解消していくために必要不可欠なのです。
採用管理ツール(ATS)を導入する
採用CXを高めるには、採用管理ツール(ATS)の導入もおすすめです。採用管理ツールを導入することで、採用業務の効率化につながり、リソースを候補者に向き合う時間に費やせるようになります。
また、採用代行業者(RPO)などに外注することでも採用業務全体を効率化することができます。例えば、弊社のサービス「即戦力RPO」は、候補者のターゲット・採用手法などの戦略設計や、採用コンテンツの作成などによって採用を多角的にサポートすることができます。
採用管理ツールを使わなくても採用CX改善は可能ですが、かなりの労力が必要であり、あまり効率的とは言えません。本格的に採用CXを高めたい場合は、採用ツールや外注サービスの導入を検討することをおすすめします。
内部教育やトレーニングを行う
採用CXは、社員一人一人の意識によって質に大きく差が出てきます。圧迫面接や上から目線の接し方などはもはや論外ですが、意識せずとも対応が雑になってしまう人も多いので、内部教育やトレーニングを行うことは必要不可欠です。例えば、面接官の経験が少ない社員がいれば、ロールプレイングを行って改善しましょう。
面接官は候補者の良さを引き出せるような雰囲気を作っていくことが大切です。雰囲気作りに何らかの問題があれば、改善を図っていくためのトレーニングや内部教育が求められます。
一方で、内部教育やトレーニングは、採用CXの現状を把握しないことには適切な手法を見出せません。そのためにも、前述したように定期的なフィードバックや社内での進捗共有が重要です。
社内連携を高める
採用CXの改善には社内連携を高めることも大事な要素となります。
例えば、面接後に合否の連絡が遅くなってしまうと、候補者は選考を通過できたかどうか、不安な状態が何日も続いてしまいます。
一方で、連絡が早ければ、採用・不採用に関係なく「誠実な対応をしてもらえた」と候補者が感じやすくなります。素早く選考結果を伝えるには、社内で連携して、すぐに連絡が行える環境を整えないといけません。
採用CX(候補者体験)の成功事例
最後に、実際に採用CXに力を入れたことで、結果を出した企業をご紹介します。
- 株式会社ミギナナメウエ
- Sansan株式会社
- 株式会社メルカリ
株式会社ミギナナメウエ
株式会社ミギナナメウエは、人材業界を中心にエージェント事業や採用代行(RPO)事業、SES事業を展開している企業で、5期連続200%以上の成長をしている注目企業です。
そんな株式会社ミギナナメウエでは、実際に採用代行事業の現場でも活用している採用ノウハウを駆使した「応募したくなる」「ワクワクする」コンテンツ作成に加え、選考に参加した人は最初から経営陣が面談・面接の対応をするなど「採用CX」を高めるために経営陣が先陣を切って取り組んでいます。
また、選考中のメッセージにおいても候補者一人一人のこれからの人生に向き合った上でテンプレートではない文章で連絡しており、採用の可否を問わず当社の選考を通してこれからのキャリアがより良いものになるような工夫をしています。
Sansan株式会社
名刺の一元管理ツールなど、営業DXサービスを展開するSansan株式会社では、新卒採用における採用CX施策の一環として「インターンシップ」を強化し、学生の内定承諾率が高まったという成果が出ています
参照:Sansanが実践する優秀な理系学生と出会うためのインターンシップ戦略
Sansan株式会社では競合が多くいる「優秀な学生」を採用ターゲットとしているため、インターンシップが終わるまでに自社への志望度が高い状態に持っていくことを想定し、その状態ですぐに選考に参加してもらえるようなフローを設計しています。
また、Sansan株式会社では早期に内定承諾をした学生は早い段階から内定承諾者専用のインターンに入れるため、それも成長意欲の高い学生にとっては非常に魅力的で、採用CXにおいて重要なポイントを担っていると考えられます。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、採用CXの最大化を掲げ、採用の仕組み化に尽力しています。株式会社メルカリはここ数年で従業員が急増し、これまでの採用手法では限界があると感じ、採用の仕組み化に取り組み始めています。
採用におけるガイドラインを策定するほか、面接段階で何をチェックするべきかなどを細かく決めていたことが語られました。その上で面接官同士で面接のロールプレイングを行って、トレーニングを重ねていき、スキルアップも怠らず、フィードバックもしっかりと行っています。
参照:面接官100名超の共通言語をつくる!「CX」の最大化を目指す、メルカリの取り組みとは
2019年から行ってきた採用CXを重視する動きは今も続けられており、候補者へのアンケートから意見を吸い上げて面接官や担当者のレベルアップにつなげていくなどの施策が行われているのです。
採用CX(候補者体験)に取り組み採用活動を効率的に行おう!
採用CXへの取り組みを強化することで、採用活動全体の質向上や、企業の長期的なブランディング向上につながります。また、ミスマッチが減りやすくなったり他の採用施策の歩留が改善したりなど、採用コストも抑えることができます。
採用市場における売り手市場化が激しくなっていく中、働き手に選んでもらえる企業になることが採用活動における大事なポイントになります。
ぜひ、小さなことからでも採用CXに取り組んで、企業側も候補者も互いにWin-Winの関係になります。1人でも多くの候補者に自社を認知してもらい、優秀な人材を採用したい場合には採用CXに力を入れることをおすすめします。