カルチャーマッチ(カルチャーフィット)は、採用活動において能力や経験などのスキル的な要素ではなく、仕事への取り組み方や見据えているビジョンなどの「人間性/根本的な部分」でのマッチを指します。
ベンチャーから大企業まで、どんなフェーズの企業であっても「自社らしさ」を保ったまま会社という” 組織”を維持するために、いくら優秀な人材でも企業の根幹となるカルチャーに合った人材でなければ、採用するべきではありません
それくらい重要な「カルチャーマッチ採用」ですが、実際はは「人間性」を問うものなのでコレといった正解がなく、見極めるのがなかなか難しいことが多いです。
そこで本記事では、カルチャーマッチ採用を行うための4つのステップから人事が押さえておきたい知識などを詳しくご紹介していきます。
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カルチャーマッチ(カルチャーフィット)とは?
「カルチャーマッチ(culture much)」とは、企業の組織風土や文化に人材が適合することを指します。また、同じことを指す言葉として「カルチャーフィット(culture fit)」があります。
そもそも企業におけるカルチャーは「企業文化」「企業風土」のことで、具体的には以下のような例があります。
- チーム戦ではなく個人戦で勝つことを重視している
- オンとオフの切り替えをかなり厳しく行なっている
- どれだけ会社が大きくなってもベンチャーマインドを忘れない
- プライベートでも仲が良いくらい個々人の関係値が深い
このように、「自社がどんな組織であるか」「どんな性格の人を良しとしているか」を一括りにして言語化したものが企業文化であり、カルチャーなのです。
このようなカルチャーがマッチするということは、根本的に自社が求める人材=「自社で活躍できる可能性がある」ので、採用する段階では少しスキル不足な人材でも後に想像以上の活躍をしてもらえる場合が多いです。
カルチャーマッチとスキルマッチの違い
カルチャーマッチと並行して言われる言葉として「スキルマッチ(スキルフィット)」があります。
カルチャーマッチが「組織・企業文化に対しての適合具合」を指すのに対して、スキルマッチは名前の通り「スキルや経験に対しての適合具合」を指しています。
かなり多くの企業が「スキル」を重視した採用を行なっていますが、スキルマッチに偏った選考・採用を行なってしまっていると、入社後にメンバーとの人間性が合わなかったり、仕事に対しての熱量に差が出てしまったりして、結果早期離職につながってしまうのです。
カルチャーマッチを重視する企業が増えた理由
カルチャーマッチは、言葉はかなり概念的でふわっとしているものの、企業を退職・転職する理由としては常に上位にランクインしています。
パーソルキャリア株式会社が調査・公開している「転職理由ランキング」によると、2022-2023年で転職した人に対して行った調査では転職理由の2位・3位にカルチャーへのミスマッチが原因である項目がランクインしています。
このように、せっかく採用した人材をカルチャーとのミスマッチで逃してしまうのは非常にもったいないのです。半年以内に早期離職した場合の損失は、1名あたり370万円とも言われています。これらの損失を防ぐためにも、カルチャーマッチ採用が重視されているのです。
以前に比べて採用が難しくなっているから
先述の内容に加えて、最近は超売り手市場ということもあり早期離職されたとしてもそう簡単に採用できません。
総務省の「今後の日本社会におけるICTの役割に関する展望」でも発表によると、15〜64歳の生産年齢人口は2050年に向けて約40%減少するため、このように採用の根本的な母集団が減っている現代において、人材を「採用ー教育ー定着」に繋げるためには、待遇等以外の”相性”がとことん重要なのです。
そのため、採用の時点で自社のカルチャーとの相性をしっかりと確認しておく企業が増えているのです。
未経験・ポテンシャル人材を採用する企業が増えているから
上記のような採用市場が激化している現状を踏まえ、近年多くの企業が「未経験・ポテンシャル・第二新卒」などのスキルをあまり重視しない採用に注力しています。
エン・ジャパン株式会社の発表によると、2020年から2022年までに「未経験者歓迎」の文言の求人が15%も増加していることがわかります。
このように、スキルを問わない採用に転換していく企業が増えることによって、より企業風土と候補者の人間性のマッチ度が重視される傾向にあるのです。
カルチャーマッチ人材を採用するメリット
カルチャーマッチ人材を採用するメリットは大きく分けて3つあります。
- 採用後のミスマッチによる早期離職を防ぐことができる
- 活躍可能性のあるポテンシャル人材を採用できる
- 組織文化の醸成につながる
「ミスマッチによる早期離職の防止」と「活躍可能性のある人材の採用」については先述した通りなのですが、組織文化の醸成についてもカルチャーマッチ人材を採用する大きなメリットです。
同じ企業で毎日働いていると、だんだん企業の文化が「当たり前」になってしまいますが、企業文化に合った”新しい人材”が入ってくることによって、改めて自社のカルチャーや”あるべき姿”を再確認することができ、組織全体でカルチャーを醸成することができるのです。
カルチャーマッチ人材を採用しないデメリット
カルチャーマッチ人材を採用しないデメリットは大きく分けて3つあります。
- 教育がうまくいかなかったり、既存メンバーとの衝突が発生したりする
- 社員からの不満が上がる
- 組織の拡大が滞る
カルチャーマッチ人材を採用しないことによるデメリットは、必然的にメリットの裏返しになってしまうのですがスキル面以外のほぼ全ての場面で不具合が起きるようになります。
「ある一定以上の人間性や常識があればそこまで大問題にはならない」と思われることもありますが、毎日同じ空間で仕事をして、同じ目標を目指していると、少しの価値観のズレは拗れてどんどん大きくなってしまうものです。
特に個々人が組織に対して与える影響が大きい小規模の企業や発展途中のベンチャー企業などは慎重にカルチャーマッチ具合を見極めましょう。
自社のカルチャーを明確化する4つのステップ
カルチャー採用を行う前には、まず自社のカルチャーを細分化して言語化しておく必要があります。今回は、弊社がクライアント様にも展開するフレームワークである「7S」を活用して、カルチャーを設計のフローをご紹介します。
カルチャーモデルの7S
Structure:組織の形態
企業がどのような仕組みで構築されているかを指します。例えば、企業には事業部制を取り入れている場合とそうでない場合があります。自社のビジネスモデルや将来の展望に基づいて、事業部制の採用を含めた組織構造の検討が重要です。
System:制度
組織内の管理体制や情報処理などを指します。例えば、給与制度やインセンティブ制度、人事評価のプロセスなどが、組織におけるシステムに当たります。
Stance:組織としてのあり方
企業のトップが「どのような組織カルチャーを築きたいか」という、大まかな方向性をスタンスとして示すことを指します。単に戦略に従うのではなく、事業の成長やミッション・ビジョンの達成に向けて、経営陣が信じる勝ち筋となるカルチャーを積極的に採用するという意味合いがあります。これにより、目指す組織像がクリアになり、望むカルチャーの詳細な設計が可能になります。
Shared Value:行動指針
その企業において自社の価値観やビジョンがどれだけ組織内外で共有されているか、または共有させていきたいのかということです。
Staff:人の採用や育成
その組織に所属する人材がどのような属性を持っているかによって築かれる組織風土は変わります。男女比や年齢構成などがこれを顕著に示す場合があります。同時に、社員たちがどれだけのモチベーションを抱えて働いているかも、企業カルチャー形成において重要な要因となります。
Skill:組織としてのスキルや強み
企業やその従業員が独自に有する技術や能力を指します。同時に、企業がこれまでの活動で蓄積してきたノウハウも、そのスキルに含まれます。これらのスキルのレベルは、市場での競争優位性を大きく左右します。
Style:経営スタイル
経営スタイルはビジネスモデルや戦略ほど複雑ではありませんが、その組織らしさを示す方針や風土に関するものです。例えば、トップダウンで決定が行われるのか、それともボトムアップなのか、または、スピードを追求するのか、それともクオリティを優先するのか、といった点が含まれます。
カルチャーの言語化
組織が拡大していくと、メンバー各自が組織や事業に対する解像度にばらつきが生じる可能性があり、またカルチャーは共有するのが難しいです。そのため、自社のメンバーへカルチャーを定着させるためには言語化が重要になります。
またこれから弊社の一員となる可能性もあり得るため、入社後のミスマッチを減らすためにオウンドメディア、媒体など候補者がいつでもみれる場所に掲載したり、面接で直接伝えましょう。
カルチャーマッチ人材を採用するポイント
カルチャーマッチ人材を採用するには、いくつかのポイントがあります。
- 自社の文化がわかるような発信をし、そのコンテンツを認知してもらう
- 直接的な接点を持つ
- 本選考で適切に見極める
カルチャーマッチ人材の採用は、なるべく”自然応募”であることが望ましいです。
スカウト採用などの企業側からのアプローチだと、どうしてもスキルや経歴でしかターゲットを絞り込めないので「スキルマッチに偏った採用」になってしまいます。一方で、自然応募であれば事業や企業文化に共感していることが前提となるのでカルチャーマッチした人材の採用がしやすくなります。
そこで、自然応募の母数を集めるために自社のカルチャーが伝わるコンテンツを発信し、より多くのターゲットに認知してもらうことが第一ステップになります。次に、イベントやカジュアル面談で直接的な接点を持って自然応募に繋るのがおすすめです。
その後は、一次/二次選考、最終選考などで改めてカルチャーマッチ具合を見極めていきましょう。
カルチャーマッチ採用の具体的な方法
それでは、カルチャーマッチ採用の具体的な方法について説明していきます。
カルチャーマッチ採用はとにかく「知ってもらうこと」と「こちらが候補者を深く理解して見極めること」が重要になるので、「採用広報的な動き」と「選考的な動き」が必要になります。
採用広報を行う
採用広報とは採用に繋げるために行う広報のことを指します。具体的には自社の雰囲気が伝わる社員インタビューの発信やSNS運用、採用ピッチ資料の作成など様々なものがあります。
採用したいターゲットによって発信するコンテンツや、活用するチャネルが異なるため、採用広報を行う前に必ず「ペルソナ」を設計しましょう。採用広報についてもっと具体的に知りたい方は、下記のリンクを参考にしてください。
広報機能が強い「Wantedly」を活用する
Wantedlyは広報機能が非常に強い採用媒体で、自社の採用サイトとして活用している企業も多いです。
ストーリー記事という機能が備わっており、そこには社員インタビューやオフィス移転など、自由に自社について発信することができます。また、写真を活用する場面が多いため、写真から自社の雰囲気を伝えることが可能です。
月々6万円から利用可能なので、採用に予算をあまり割けない企業でも導入しやすいです。
notionやnoteなどの活用
ベンチャー企業を中心に人気を集めるNotionやnoteは、誰でも簡単に企業の広報ページを作れるプロダクトです。
Wantedlyと役割は似ていますが、直接求人を出したり応募を集めたりする機能はなく、主に以下のようなことを掲載することができます。
- 採用ピッチ資料
- 設立の背景
- メンバーインタビュー
- 外部採用サイトとの紐付け
Notionやnoteのいいところは、なんといっても手軽なことです。採用サイトを作ったり、イベントを開催しようとすると工数や専門的なノウハウも必要になりますが、これらの媒体の設計なら頑張れば土日で完成させることができます。
イベントを開催する
候補者と直接的な接点を持つ場として、「イベント」を開催しましょう。
イベントの例は以下の通りです。
- 金融プロダクトのエンジニア限定勉強会
- 26卒キャリア相談会
- メンバーとのカジュアル面談
- 毎月開催!〇社合同企業説明会
イベントのテーマや形式はなんでもいいのですが、なるべくオフラインで、かつ候補者と直接的に会話をする機会が設けられるようなコンテンツにしましょう。
適正検査を選考フローに含める
応募が集まったら「適正検査」を受けてもらうようにしましょう。
適正検査とは、多くのツールが「能力値(偏差値)」と「性格・人間性」の双方から候補者のマッチ度を調査・分析できるものです。自社のメンバーにも同じように検査を受けてもらうことで、既存メンバーとの親和性なども確認することができます。
面談などではわからないパーソナリティについて客観的な分析結果をもとに確認することができるので、ミスマッチや早期離職の防止になると今急速に注目を集めています。
▼おすすめ適正検査ツール3選
適性検査 | 概要 |
---|---|
ミキワメ | ・累計導入社数2,800社以上 ・一人当たり550円で受験可能 ・心理統計学に基づいた精巧な適性検査と迅速な分析 |
CUBIC適性検査 | ・初期費用0円で導入可能 ・導入社数4,000社以上 |
ミイダス | ・自社での活躍を予測する活躍要因診断がある ・媒体内で候補者を検索&アプローチできる |
最終面接前に現場メンバーとの面談を挟む
適正検査も終え、現場メンバーやマネージャー層との選考も終えたら、最終面接に進む前にメンバーとの面談の場を設けましょう。
メンバーとの面談の場を設ける背景としては、改めて客観的に候補者との直感的なマッチ具合を確認するという面がひとつと、面談の場でカジュアルに候補者と話をしてもらうことで候補者にとっても「こんな人と働くんだ」と、もう一段階深く自社で働くイメージを持ってもらうことができます。
カルチャーマッチ採用の成功事例
では最後に、実際にカルチャーマッチを重視しながら採用を行なって採用がうまくいった企業の事例をいくつかご紹介します。
面白法人カヤック/カルチャーマッチを重視で内定承諾率を2倍以上に
面白法人カヤックは、もともと履歴書を必要としない「エゴサーチ採用」など、一風変わった採用活動を行なっている企業でしたが、「スキルチェックをしてからカルチャーマッチ」ではなく、「カルチャーマッチした人材のスキルをチェックする」という風に順序を変えることで、内定承諾率を2倍以上にしています。(参照メディア)
株式会社メルカリ/形式的にカルチャーを公開し、共通認識をつくる
株式会社メルカリは、国内外の候補者に向けて「カルチャードック」を公開しています。選考に進む際にはこれに目を通すことをマストとしており、メルカリの「攻め」のカルチャーを形式的に理解してもらうようにしているようです。また、不採用の場合でも自社のファンになってもらえるよう、採用CXも強化しています。
note株式会社/バリューに沿った6つの評価項目で基準を明確化
note株式会社は非常にカルチャーマッチ度合いを重視しており、「どんなに能力やスキルがあっても、カルチャーマッチしない場合はお見送り」と決められています。また、6つのバリューに沿って評価項目が定められているため、誰が採用担当になっても多角的に候補者とのマッチ度を確認できるような設計になっています。
まとめ
ここまでカルチャーマッチについて解説しましたが、実際、自社のカルチャーと応募者のカルチャーが「完全に」一致することは難しいです。
また、カルチャーマッチにこだわりすぎてしまうと、優秀な人材を不採用にしてしまうことも起きています。そのため「これだけは譲れない」といった価値観を決めておき、「すり合わせをすれば社風に馴染んでもらえるかもしれない」 など、自社の方から候補者に歩み寄っていくことも重要です。
適正検査などのAI/システムの力も効果的に利用しつつ、ご自身の目で候補者と素直にコミュニケーションを取りながら見極めていくようにしましょう。
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