少子化による労働不足の減少に加えて都市圏への人材流出と、とくに地方企業にとっては厳しい採用市場が続いている昨今。「欲しい人材がなかなか採用できない…」と頭を抱える方も多いのではないでしょうか。
本記事では、地方企業にとって採用はどれくらい難しいか、地方企業の採用においてよくある課題や成功させるポイント、地方企業に特化した採用成功事例などを詳しく解説します!
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地方での採用はどれくらい難しい?
さっそく、実際の調査結果を用いて地方企業における採用の難しさを見ていきましょう。
東京圏に人口が集中してしまっている
日本では、東京都への人口一極集中が30年ほど続いていると言われています。
実際に総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によると、2022年・2023年と東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)への人口転入が集中しており、転出超過はなんと40道府県にまで昇ったそうです。
この図からもわかるように、ほとんどの地域で人口転出が拡大しており、地方企業は労働不足に苦しんでいる状況です。
有効求人倍率は1.31倍と年々上昇している
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると2023年の有効求人倍率は1.31倍と、コロナ禍を経て2年連続で前年を上回りました。
少子化による売り手市場はこの先も続くものと見られ、採用難易度はしばらく下がりそうにありません。とくに地方で採用を行う企業は、この状況に大都市圏への人口集中が重なり、ますます厳しい戦いを強いられるでしょう。
地方移住への関心は高まっている
一方で、地方企業にとって明るいニュースもあります。国土交通省が2023年に東京圏在住者に行った「地方移住への関心の高まり(東京圏在住者の関心度)」という調査によると、地方移住への関心は年を追うごとに高まっており、なんと20歳代の約45%は地方移住への関心を持っているそうです。
また、就職活動の実態調査を行う株式会社インタツアーの「23~26卒UIターン就活調査」では、52.7%の学生が地方就職を選択肢に入れているという驚きの結果も出ています。
都市圏への人口集中が進む中、国としても地方創生による経済の底上げを急いでおり、現在では移住支援や企業誘致など主体的に地域活性化に取り組む自治体も増加しつつあります。
早急な人口増加などの効果は見込めないにしても、地方移住への社会の関心は確実に広がっており、アプローチの仕方によっては地方企業でも採用成功の可能性は十分にあるでしょう。
地方採用でよくある課題
この章では、地方採用で起こりがちな課題を3つご紹介します。
- 母集団が不足している
- 自社の採用課題を把握していない
- U・Iターンに踏み切れない人材が多い
母集団が不足している
既述のとおりですが、地方の人口減少は年々深刻さを増しています。採用ターゲットを地元の求職者のみに絞ってしまうと、母集団形成は難易度が高くなってしまいます。
また、知名度が低い中小企業やベンチャー企業の場合は大企業に比べてさらに母集団を形成しにくい状況のため、企業を知ってもらうための工夫やターゲット拡大など、さまざまな採用戦略が不可欠となります。
自社の採用課題を把握していない
地方企業でよくある例としては、採用のノウハウや体制が十分に整っておらず、「人手を増やしたい」 などといった漠然とした理由で採用を進めているケースです。
このような状況ではいつまで経っても採用課題が明確にならないため、無駄なコストや工数がかかってしまうだけでなく、そもそも求める採用ターゲットに出会うことも難しくなってしまうでしょう。
U・Iターンに踏み切れない人材が多い
佐賀県とローカルライフマガジン「TURNS(ターンズ)」が行った「全国の移住検討層に関する調査」によると、全国の移住検討者の約6割が実際に移住に踏み切れない状態であることがわかっています。
なお、実際に移住できない理由としては、「移住後の仕事や収入に不安があるから(29.9%)」「移住にかかる引越などの金銭的負担が大きいから(25.4%)」といった回答が過半数を占めているそうです。
この結果から、地方移住希望者は年々増加傾向であるものの、その多くは金銭的な不安・負担が原因で行動に移せず、結果的に地方移住者が増えない状況が続いていることがわかります。
地方での採用を成功させるためのポイント
地方採用を成功させるには、具体的にどういった施策が必要なのでしょうか?以下で地方での採用を成功させるためのポイントを6つご紹介します。
採用したい人物像を明確にする
無駄のない採用活動を行うためには、まず採用ターゲットを明確にしましょう。採用ターゲットを検討する際には「コミュニケーション能力が高い」といったような漠然とした人物像ではなく、なるべく具体的なプロフィールに落とし込む「採用ペルソナ」の設定をおすすめします。
明確な採用ペルソナが決まれば採用手法や訴求内容にブレがなくなり、やみくもに母集団を増やしたり、その選定や採用し直しに伴うコストやリソースの無駄もなくなります。
採用ブランディングを行う
地方企業へ興味を持ってもらうためには、所在地や知名度に強みのある他社に負けないくらいの自社の強みを見つけ、適切にブランディングを行うことが必要になります。
たとえば「地方企業だからこそできること」や「大都市の企業にはない社員のつながり」などをアピールすれば、他社との差別化を図ることができるでしょう。自社により興味を持ってもらうだけでなく、カルチャーマッチした人物からの応募が増えるのも採用ブランディングを行うメリットです。
U・Iターン人材を採用ターゲットとして狙う
繰り返しになりますが、地方の人口は年々減少が続いており、地方の人材だけでは十分な母集団を形成することは困難です。したがって、地方採用を行う際には、ターゲットを全国のU・Iターン人材にまで広げるのがよいでしょう。
先述した調査のとおり、たとえ地方移住に関心を持ったとしても、金銭的な不安がネックとなり実際に行動に移せない人材が多く存在します。そのような場合は、たとえば在籍社員を交えて移住後のコストイメージ(収入や生活コスト)をできるだけ具体的に伝えたり、一時的に引越し費用を一部負担するようなキャンペーンを行えば、移住を決断する一押しになるかもしれません。
自治体によるU・Iターン支援もアピールしよう
UターンやIターンを希望している人の中には、移住先で受けられる支援を把握しておらず、漠然と金銭的な不安を抱えているケースも見受けられます。
「地方創生」が頻繁に叫ばれる現在、全国で自治体の動きが活発化しています。もし自社がある地域の自治体が何らかの移住支援を行っている場合は、求職者に向けてそれをアピールするのも1つの手です。
また、移住支援ではないにしても子育て支援の充実や住宅建築補助、自然の中での過ごしやすさなど、その地域ならではのメリットを伝えるのも有効です。
各自治体の支援制度に関してはこちらのサイトで検索できますのでご覧ください。
オンラインでの選考を行う
全国のU・Iターン人材を採用ターゲットに加えるには、Webでの会社説明会や面接といったオンライン採用が欠かせません。たとえば一定の選考まではオンライン上で行い、最終面接と内定者懇親会のみ対面で実施する流れであれば、母集団の裾野を広げつつ採用前後のミスマッチを極力減らすことができます。
また、オンライン選考はコストや工数の削減にもつながるので、採用のリソースが不足している中小企業やベンチャー企業にとってもメリットが大きいです。
SNSなどで継続的に情報発信する
売り手市場が続く昨今、採用ターゲットを全国に広げただけで応募が増えるわけではありません。拡散力の高いSNSを使い、自社サービスや社員の紹介、選考情報などを積極的に発信して、企業認知度を上げていくとともに自社のファンを増やしていきましょう。
転職サイトを運営する株式会社Geeklyの「SNS利用状況のアンケート結果」によると、20代は64.5%、30代で51.0%、40代以上で46.7%と、すべての世代で約半数が転職活動でSNSを活用すると答えています。就職活動でSNSを使うことが当たり前になりつつある現在、たとえ地方企業であっても、アピールの仕方によっては多くの人に見つけてもらえる可能性があるのです。
シニア層や主婦にも視野を広げる
60代以上のシニア層や専業主婦などを狙うのも一つの手です。
たとえば地方在住の主婦などは夫の転勤でやむなく退職したケースも多く、即戦力となる社会人スキルを持っている可能性があります。また、シニア層に関しても、これまでに豊富な経験や知識を培ってきた人材がいるかもしれません多く含まれます。
アルバイトや時短勤務といった選択肢を増やせば、こういった即戦力として活躍してもらえる人材を低コストで採用できる可能性があるでしょう。
地方採用でおすすめの採用手法
ここでは、地方での採用に適した採用手法を7つご紹介します。
地方に特化した媒体
地元のフリーペーパーやローカル誌、新聞の求人欄、Webサイトなど、地方に特化した媒体がへの露出を行いましょう。若手の人材を狙う場合にはWeb媒体、中堅以上を採用したい場合は紙媒体といった形で、ターゲットの特徴によって媒体を使い分けましょう。
求人サイトやハローワークなどの求人に特化した媒体であれば、担当者と関係性を深めることで、地元の採用市場の動向やうまくいっているケースなどを教えてもらえる可能性も高まります。
ダイレクトリクルーティング(スカウト採用)
ダイレクトリクルーティングとは、企業から求職者にスカウトメッセージを送る採用手法のことです。
先ほどご紹介したとおり、地方採用は大都市に比べて母集団が少なく、求人情報を出して応募を待っているだけでは母集団が集まりません。企業側から直接求職者へ声をかけてアプローチすることで、はじめて自社に興味を持ってもらえるのです。
なお、サービスの導入を検討する前に、求める人材(勤務地やスキル)の登録ボリュームを担当者に確認することをおすすめします。
リファラル採用
リファラル採用とは、自社で働く社員に知人を紹介してもらう採用手法です。
リファラル採用であれば、企業側は事前に候補者のスキルや価値観を把握できます。また、候補者側も、実際に働いている社員(知人)を通して企業文化や働く環境などのリアルな情報が手に入ります。このように、企業・求職者の双方がお互いを理解したうえで入社するので、ミスマッチや早期離職が起きにくいのが特徴です。
採用媒体のように、費用がかからないのも嬉しいポイントです。
採用イベント
採用イベントとは、各自治体や大手求人媒体が主催する合同企業説明会や、自社が単独で開催する会社説明会のことです。県庁所在地などで行われることが多く、最近ではU・Iターンに特化したイベントなども開催されています。
採用イベントは求職者と直接話せることが最大のメリットで、知名度が高くない企業でも直接的なコミュニケーションをとることで自社に興味を持ってもらえる可能性があります。
SNSやオウンドメディア
地方採用を行う際には、オンライン上で積極的に情報発信を行い、全国の求職者に自社を見つけてもらう仕組みを作りましょう。
SNSやオウンドメディアを駆使すれば、単なる求人情報だけでなく社風や働き方など、さまざまなコンテンツで求職者を惹きつけることができます。とくにTwitterやInstagramなどのSNSは拡散力が高く、自社へのコンタクトや応募の敷居を低くしてくれるというメリットもあります。
また、このようなメディアを地道に育てていけば、求職者だけでなく転職意欲の低い転職潜在層にも事前に認知してもらうことができます。
ハローワーク
地方企業の多くが利用しているのが、厚生労働省が運営するハローワークです。
40歳以上の登録者が65%以上と若年層の採用には向きませんが、無料で全国の人材にアプローチできるのがメリットです。最近では地方へU・Iターンに特化したコーナーを設けたりと、地方企業にとってありがたい取り組みを頻繁に行っています。
なお、若手を採用したい場合は、全国に56か所(各都道府県に1か所以上)設置されている「新卒ハローワーク」も併用しましょう。
大学へ訪問(新卒)
新卒採用を行っている場合は、その地域の大学へのアプローチが有効です。就職課やキャリアセンターと提携することで、大学内の就職イベントや個別説明会、求人掲載などの依頼ができます。
大学側も学生の就職支援に力を入れているため、良好な関係を築くことができれば、積極的に自社を学生に推薦してもらえるようになるでしょう。また、大学から紹介された企業は学生や両親にとっても安心感が高いため、双方にとってメリットがあります。
地方採用の成功事例
実際に地方採用に成功している企業は、どのような工夫をしているのでしょうか?厚生労働省の資料をもとに、地方採用の成功事例を3つ見ていきましょう。
アサヤ株式会社
宮城県気仙沼市で、漁具の販売や漁業調査を行うアサヤ株式会社。以前は社長が自ら採用活動を行っていましたが、応募者への反応や入社後のケアに手が回らず、2022年に専任の採用担当者を配置しました。
自社のWebサイトでは「アサヤ人的資本経営宣言」「アサヤ心構え研修」といった人材に関するコンテンツ、SNSでは業務内容や従業員紹介など、企業情報を積極的に配信。また、ハローワークではリクエスト機能で求職者に直接アプローチを行っているそうです。その結果、他業種やU・I・Jターン希望者の応募が増え、1年間で12名の採用に成功しています。
株式会社九州パール紙工
株式会社九州パール紙工は、佐賀県小城市で紙容器や包装資材を販売する会社です。
従業員一丸となってSNS発信を毎日行い、求人資料にもSNSのQRコードを掲載。現在では、高校で事前に校内選考が行われるほど人気の就職先となり、毎年3~4名を安定的に採用しています。また、SNSでの発信は従業員のやりがいにつながり、離職率も低下しているそうです。
株式会社シアンス
株式会社シアンスは、新潟県新潟市でWebシステムやアプリ開発を手掛けています。
県内出身アスリートや大都市での就業経験を持つU・I・Jターンの採用も積極的に行い、人材の多様性を重視しています。また、新卒採用の最終選考では、数日間の職場体験を実施するなど入社後のミスマッチを防ぐ工夫をしているそうです。
そのような取り組みの結果、地方の働きやすいIT企業として認知され、毎年安定的に複数名の採用に成功しています。
まとめ
採用の売り手市場化に加え、都市部への人口流出など、厳しい状況が続く地方での採用活動ですが、一方でコロナ禍をきっかけに、地方移住への関心が高まっているのも事実です。
この記事でもご紹介したように、地方採用を成功させるには、全国にターゲットを広げることと、積極的なアピールにより自社を見つけてもらうことなどが必須です。ぜひこの機会に自社の採用方法を見直し、人材獲得につなげていきましょう。