内定者フォローとは?学生の内定辞退を防ぐための具体的な手法を紹介!

売り手市場の拡大に伴い、多くの学生が複数の企業から内定を受けるケースが増加しています。一方で、学生は最終的に一社を選び、入社することになりますが、その過程で複数の企業が内定辞退を受ける可能性もあります。

内定辞退を防ぐためには、「内定者フォロー」が非常に重要です。

今回は、内定者フォローにおける効果的な「対策方法」や「内定者フォローに役立つツール」について紹介します。是非、採用活動にお役立てください。

目次

内定者フォローが重要視されている理由

内定離脱の防止

少し前は、就職氷河期と呼ばれ、学生にとって職場を見つけるのが非常に難しい時代でした。しかし、近年の日本は前代未聞の”超売り手市場”となり、企業は学生を採用することが非常に難しい状況にあります。

「学生であれば誰でも良い」という考えで採用している企業は少なく、8割の企業が学生の質を重視した採用を行なっています。将来的に利益をもたらしてくれる優秀な学生を採用したいという願いは、どの企業においても同じなのです。

多くの企業の選考を受け、複数の内定を得た優秀な学生を、自社に引き込むためには、他社との競争に打ち勝つ必要があります。

早期離職の防止

せっかく採用しても早期離職になってしまっては、企業の努力や採用に欠けた費用が水の泡になってしまいます。そのため、内定者フォローによって早期離職を防止したいと考える企業は増加しています。

新入社員は3年で離職と言われており、その原因の一つとして、入社前の期待と実際の職場環境のギャップが挙げられます。

このため、新入社員と企業側の双方が同じ認識を持っているかどうかを確認する手段として、内定者フォローが有効に利用されています。

内定者フォローの効果

1. 学生の不安を解消することができる

長い学生生活を送ってきた内定者にとって、幅広い世代の人が集う「企業」という場は未知の領域です。

「自分の能力」や「人間関係」に特に不安を抱えている内定者が多く、この不安が残ったまま入社をしてしまうと、早期離職につながってしまいます。

内定者フォローの目的は、このような潜在的な不安を理解し、一つひとつ解消していくことです。下記でご紹介する内定者フォローの企画を積極的に用いて、学生の不安を解消させましょう。

2. 会社の雰囲気を知ることができる

長年勤めている社員が感じる自社の雰囲気と、学生が内定先で感じる雰囲気は必ずしも一致しません。

自社の魅力を伝えることは重要ですが、内定者の中には実際に現場を体験したいと考える人もいます。内定者が感じる雰囲気と採用担当者の説明に齟齬があると、内定者は入社の決断に疑問を抱く可能性があります。

内定者フォローを計画する際には、内定者が会社の雰囲気を実際に体感できる機会を提供することが重要です。

3. 入社前に同期との親睦を深めることができる

社会に飛び込む学生にとって、企業はまさに未知の世界です。

新しい環境に同じ立場の仲間がいることで、内定者同士が結束し始めることはよくあります。早い段階でポジティブな気持ちを共有できれば、内定辞退を防ぐ上で有利になることもあります。

同期との交流によって不安が解消される学生もいますので、内定者同士がコミュニケーションを取れる機会を積極的に提供することが大切です。

4. 具体的な業務内容を伝えられる

内定者は、将来の職場で自分が担当する具体的な業務内容を知りたいと思っています。

興味があるというだけでなく、大部分は自分がその業務をこなせるかどうかを確認したいと考えています。向上心のある学生なら、入社までに自分の不足している部分を補うための準備をしたいという気持ちも持っているでしょう。

企業としては、即戦力として期待されることは歓迎です。明確な目標を提示し、その達成に必要な要素をわかりやすく説明することで、内定者が目指す方向性を理解しやすくしてください。

内定辞退を防ぐためにとるべき行動

内定者フォローを行う主な目的は、内定辞退を防ぐことです。具体的にどのようなことを行うのか解説していきます。

学生の志望度を高める

学生は、面接の経験や他の目的で選考を受けることがあります。そのため、内定が出たとしても、志望度が低い場合には内定辞退することがあります。

学生が企業の魅力を理解し、入社したいという意欲が高まることで、内定辞退のリスクが低くなります。内定者フォローを行う際には、自社の魅力を理解し、学生が入社したいと感じるようにすることが重要です。 

定期的な連絡を心がける

内定者と定期的にコンタクトを取ることで、入社までの間に内定者とのつながりを維持できます。 たとえば、課題を出し、提出された成果物にフィードバックを行うのも有効です。具体的なアドバイスを提供することで、内定者は企業に対してより信頼を築くことができます。

社員とコミュニケーションの場を作る

内定者フォローでは、内定者が自社の社員と交流する機会を設けることも有益です。

若手社員や優秀な社員に話を聞くことで、内定者が入社に関する不安を解消しやすくなります。社員との交流を通じて、内定者が「この会社で働きたい」「この会社なら自分に合っている」と感じるようにサポートしましょう。

自社の社員のキャリアパスの例を伝えると、入社後のイメージが湧きやすいのでおすすめです。

他社と違った内定通知の仕方をする

内定者の意欲を高めるためには、内定通知に工夫をすることも重要です。内定通知は迅速に行うことはもちろんですが、電話での通知はメールよりも企業側の熱意が伝わります。

メールでの通知も、テンプレートではなく個性を出すことが重要です。他社との差別化だけでなく、内定者が「歓迎されている」と感じさせることが大切です。内定者に対して期待しているポイントや入社後に任せたい業務内容などを具体的に伝えるといいでしょう。

さらに、内定の通知を人事担当者ではなく社長が行うことで、企業の熱意がより伝わりやすいです。

内定者フォローの具体的な企画と効果

内定者懇談会:内定者同士の距離を縮めることができる

内定者懇談会は、内定者同士が集まりコミュニケーションを図る場を提供します。同期との良好な関係を築くことに不安を感じる学生もいますが、内定者懇談会を通じてその不安を解消できるかもしれません。食事会形式や研修所での宿泊を伴う場合もありますし、最近ではオンラインでの開催も増えています。

内定者懇談会では、内定者同士がコミュニケーションをとる機会を提供するだけでなく、企業の事業内容や職場の雰囲気を理解してもらう機会としても活用しましょう。

座談会:会社や働く社員の雰囲気を知ることができる

座談会は、内定者と社員が交流する機会を提供する方法の一つです。例えば、若手社員との対話を通じて、内定者は自身の将来の姿を具体的にイメージしやすくなります。また、ベテラン社員や管理職との対話も重要であり、職場の雰囲気をより詳細に伝えることができます。

座談会での社員との交流は、内定者が入社を決める際の重要な要素です。社員の態度や振る舞いは、内定者の入社意欲に直結するため、注意が必要です。参加する社員の選定は慎重に行い、参加者には座談会の目的を明確に伝えることが重要です。これにより、適切な対応ができるよう準備しましょう。

1on1:一人ひとりの個性や考えを知ることができる

面談は、内定者と一対一でゆっくりと話をするための重要な機会です。

内定者の中には、人見知りでなかなか打ち解けることができない人もいます。懇親会で同期と親睦を深めることは大切ですが、同時に周囲と馴染めないことを不安に感じる内定者もいます。

内定者の本音を引き出すには、個別面談の方が集団の場よりも有効です。また、遠方に住む内定者は自宅からの面談が負担を軽減できます。

オンライン面談はコロナ対策としても有効です。各内定者に1回の面談を設けることをお勧めします。日程を決める際は、複数の候補日を提案し、内定者が選択できるように配慮することが重要です。

社内イベント:社員との交流を深められる

社内イベントに内定者を招待することで、彼らは会社の雰囲気や社員のリラックスした一面を垣間見ることができます。

社会人になることに対する漠然とした不安を抱く内定者は、先輩社員に対して怖いイメージを抱くことがあります。実際には、厳しい指導が必要な場面もあるかもしれませんが、それは後々のことです。

まずは、リラックスした雰囲気の中で会社の一端を感じてもらい、内定者が肩の力を抜いて参加できる場を提供しましょう。

・新年会
・忘年会
・花見
・バーベキュー
・スポーツイベント(草野球・フットサル・マラソンなど)
・記念イベント(誕生日・周年など)
・展示会
・ビアガーデン


社内イベントは、毎年恒例のものに内定者を招待することが望ましいです。イベントの内容に関わらず、参加に抵抗を感じる学生がいることに留意する必要があります。社内イベントは社内向けであり、内定者に強制するべきではありません。

内定者が社員と交流できるメリットを説明した上で、基本的には自由参加であることを明確に伝えてください。また、不参加だった内定者が不公平だと感じないよう、別のフォローも考慮されるべきです。

内定者研修:入社前に実務的なスキルを習得できる

内定者研修は、内定者が社会人として必要な心構えやビジネスマナーなどを身に付けるための機会です。内定者同士が集まることで、同期との一体感やチームワークが育まれます。

・社会人としての心得
・ビジネスマナー
・OA研修
・チームワーク

内定者研修を実施する際は、内定者が自分の能力や知識に自信を持てるよう配慮が必要です。研修で過度な評価をすると、内定者の自信喪失やモチベーション低下を招く可能性があります。

内定者研修は、内定者をサポートするための取り組みであることを忘れずに。研修が内定者の不安を増幅させないよう、注意深く実施しましょう。

内定者フォローを企画する際の注意点

内定者フォローを企画・実施する際は、以下3つの点を意識してください。

・参加する社員の人選
・個人(少人数)のイベントも実施する
・内定者に参加を強制させない

以下に詳しく解説していきます。

参加する社員の人選

内定者と社員が関わるイベントを企画する際は、参加する社員を慎重に選定する必要があります。

内定者にとって、内定先の社員は会社のイメージそのものです。積極的で楽しく仕事をしている先輩社員を見れば、「自分もこんな風に活躍したい」という前向きな気持ちになれます。

一方で、高圧的な態度を取る社員や、他人を見下すような態度を示す社員は、内定者にとって好ましくない印象を与えてしまう可能性があります。

特に注意が必要なのが、食事をしながらの交流会です。お酒が入ると気持ちが大きくなりやすい社員は、内定者フォローの場には適さないかもしれません。

参加を依頼する社員には、暴言を吐かないよう、また連絡先交換を強要しないように注意を促しましょう。

個人(少人数)のイベントも実施する

内定者フォローを計画する際には、個人または少人数向けのイベントも考慮してください。

内定者の中には、人前で話すことに苦手意識を持つ学生もいます。大勢の前での質問に抵抗を感じ、自分の不安を解消できずに悩む学生もいるでしょう。

少人数向けのイベントでは、人見知りの学生の不安を軽減できます。適切なフォローを行えば、入社意欲を高めることができるため、個々の内定者との接触機会を積極的に設けていくことが重要です。

内定者に参加を強制させない

大学生は、卒業論文や卒業研究などで忙しい日々を送っています。
内定者フォローを行うことは非常に重要ですが、学生にとって負担となるようなイベントは避けるべきです。

学業に支障をきたさないよう、厳しい研修や長時間のイベントは避けるべきです。内定者フォローのスケジュールが確定したら、できるだけ早く連絡をするようにしましょう。

内定者フォローおすすめサービス5選

内定者フォローに役立つ5つの便利なサービスを紹介します。採用担当者の多忙さを考慮し、特に喜ばれるであろうサービスを厳選しました。ぜひ参考にしてみてください!

1. エアリーフレッシャーズ

特徴

SNSのログイン頻度やアンケート提出状況に基づいて、辞退の可能性が高い内定者をピックアップし通知する機能が備わっています。また、人事担当者の内定者フォロー業務を26%削減するアンケートや提出物管理機能、さらには新人育成まで継続的なサポートを提供し、内定辞退や早期離職対策も可能な機能もあります。

参考エアリーフレッシャーズ

2. チャンバラ合戦 -戦IKUSA-

特徴

数百人でも同時に参加可能なため、内定者や社員を含む大規模な内定者研修のイベントに最適です。チームビルディングに最適!内定者研修の一環として採用する企業も増えています。また、女性やベテランの方も楽しめる内容であり、多くの企業が採用しています。

参考:TearsSwitch

3. 内定者パック

特徴

内定者向けのeラーニングが受け放題で、内定者に適した講座を選択できます。1900社での導入実績を誇り、数名から700名規模の内定者を持つ企業に広く採用されています。リーズナブルな価格設定で、内定者1人につき5000円からとなっています。

参考:プロシーズ

4. MOCHICA

特徴

予定調整は、LINEのチャットボット機能を使って自動化可能。人事担当者の業務負担を軽減。LINEメッセージを通じて送られるため、普段のメールとは異なり、双方向のコミュニケーションが可能になります。また、プライベートとキャリア活動を分けたい学生のために、「LINEでの連絡を希望する」か「メールでの連絡を希望する」かを選択できます。

参考:ネオキャリア

5. バヅクリ

特徴

リモートワーク環境下でも、内定者や新卒社員への効果的なチームビルディングサービスを提供。オンライン上で社員同士が楽しみながら関係性を構築可能です。社員が仕事に取り組むモチベーション向上と同時に、会社の魅力を体感し、エンゲージメントの向上に貢献します。また、50以上のプログラムから選択可能で、自社のニーズに合ったものを選ぶことができます。参加者の満足度は97%と非常に高いです。

参考:バヅクリ

まとめ

今現在、超売り手市場の状況下では、多くの学生が複数の内定を手に入れています。しかし、内定を出したからといって必ずしも入社してくれるとは限りません。

企業側としては、座談会や社内イベントなどを通じて内定者とコミュニケーションを深めることが重要ですが、手厚いフォローを行うこともますます重要になっています。

「優秀な学生に魅力を伝えたい!」という思いから、積極的なコミュニケーションが求められます。

内定を出しただけではなく、様々なサービスを活用して、入社に向けて内定者をしっかりサポートすることで、優秀な人材を確保しましょう。

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この記事を書いた人

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業責任者を担い、これまでに80社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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