昨今の介護職は、人材不足が深刻化しています。
「今すぐに介護職員を採用したいのに、なかなか採用につながらない」
「慢性的な人手不足で介護職の採用の難しさを痛感している」
など、介護職の採用の難しさに苦戦している担当者は多いのではないでしょうか。この記事では、データをもとに介護職の採用の現状をお伝えしたうえで、介護職の採用が難しい理由と具体的な解消策をご紹介します。
介護職の人材不足が慢性化すると、最悪の場合は経営悪化や倒産につながる可能性があります。少しでも早く人材不足を解消するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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介護職の採用の現状
まずは、最新のデータをもとに介護職の採用の現状を解説していきます。
施設で働く介護職員の約36%が人手不足を感じている
厚生労働省が公表している「介護人材の処遇改善等(介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)」によると、施設等で働く介護職員の約36%が人手不足を感じている状況です。
また、訪問介護員では半数以上である50%以上が人手不足を感じています。
職種 | 大いに不足している | 不足している |
---|---|---|
施設等で働く介護職員 | 11.9% | 24.2% |
訪問介護員 | 27.9% | 31.0% |
介護施設の人材において、人手不足の理由の約86%が、採用が困難であることでした。このデータから介護職の現場は人手不足を実感していて、人材を採用したくてもなかなか採用できない状況であることがわかります。
介護職を目指す学生が減少している
昨今は、介護職を目指す学生が減少しているという課題もあります。公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会の「介護福祉士養成施設への入学者数と外国人留学生」によると2023年度の介護福祉士養成校への入学者数は、過去5年で最も少なく、地域によっては学生不足により、介護福祉士養成校が閉校する事態に陥っています。
2040年度には約280万人の介護職員が必要になると予想されていますが、なり手不足による影響が不安視されています。
有効求人倍率は約3.7倍と高い
前述した調査によると、介護関係職種の有効求人倍率は3.71倍と非常に高く、全業種の有効求人倍率が1.16倍なので、介護関係職種は3倍以上の有効求人倍率です。
職種 | 有効求人倍率 |
---|---|
介護関係職種 | 3.71倍 |
全業種 | 1.16倍 |
介護職の採用活動は活発化しているものの、応募者がなかなか集まらない状態が続いています。
人手不足が介護事業者の倒産を招いている
株式会社東京商工リサーチが調査した「老人福祉・介護事業の倒産調査」によると、2024年1~5月までの老人福祉・介護事業の倒産数は72件に達しています。
倒産件数は前年比75.6%と大幅に増加しており、深刻な状況に陥っています。倒産の背景には人手不足と物価上昇があり、介護職の人手不足は介護事業者の倒産を招く一因になっているのです。
介護職の採用が難しい5つの理由
ここからは、介護職の採用が難しいと言われる5つの理由をご紹介します。介護職の採用難を改善するためにも、どのような点に課題があるのか把握しておきましょう。
需要と供給のバランスが崩れている
1つ目は、介護職の採用の需要と供給のバランスが崩れているためです。「介護職の採用の現状」でも触れたように、介護職を目指す人が減っている中、少子高齢化に伴い介護職人材の需要が高まっています。
現状のままでは2040年に約69万人もの介護職員が不足する見込みで、ますます採用が難しくなると考えられています。
3Kのイメージが払拭できていない
2つ目は、「3Kのイメージ」が払拭できていないためです。介護職は3Kのイメージがあり、労働環境の厳しい業種だと考えられています。
【介護職の3Kとは】
- きつい:要介護者の移動、夜勤など肉体的に負担がかかるケースがある
- きたない:食事や排泄の介助が必要なケースがある
- きけん:施設での集団感染や介助中の転倒などのリスクがある
確かに業務によっては要介護者の介助が必要なので、肉体的な負担がかかるでしょう。また、高齢者は免疫力が弱く、季節によっては集団感染などのリスクもあります。
昨今は介護ロボットの活用や感染症対策により3Kを払拭できる環境整備に取り組んでいる施設も増えていますが、未だにこういったイメージは改善しきれていません。そのため「介護職は働きにくい」と感じている人も多く、採用が難しくなっているのです。
職場環境が悪いイメージがある
3つ目は、職場環境が悪いイメージがあるためです。介護職の勤務先によって職場環境は大きく異なりますが、下記のような声があるのも事実です。
【介護職の職場環境に関する声】
- 様々な立場の人と関わるため人間関係が難しい
- 人手不足で常に忙しく負担が大きい
- 長時間労働になってしまう
また、前述した調査によると、介護職員の離職理由として「職場の人間関係に問題があった」が1位になっています。
労働環境に気を配る施設が増えているものの、労働環境に不満を漏らす声があるので「介護職で働けるのか不安」と感じてしまうのです。
平均年収が低い
4つ目は、介護職の平均年収が低いためです。施設介護職員の平均年収は、371.4万円です。2022年の平均年収は458万円なので、平均よりも約87万円低い平均年収水準に留まっています。
もちろん資格や役職によっては施設介護職員の平均年収以上を目指せますが、就職時の給与水準が低い点はネックになるでしょう。
また、介護職は人の命や生活に直結する責任の重い業務にも関わらず、業務内容が給与に反映されてないという声もあります。
離職率が比較的高く定着する人材の選定が難しい
5つ目は、離職率が高く定着する人材の選定が難しいことです。採用ができてもすぐ離職されてしまうと、採用活動と離職対応を繰り返すという悪循環に陥ります。
2022年度の介護職員・訪問看護員の離職率は14.4%です。介護職の離職率は年々減少傾向にあるものの、10人に1~2人は離職している現状なのです。
そのため、採用するだけでなく、継続して働ける人材の選定が必要です。施設の雰囲気や働き方に合う人材を見極めて採用し、定着を促すことも欠かせません。
介護職の人手不足を解消する7つのポイント
最後に、介護職の採用が難しい理由を踏まえて、人材不足を解消するためのポイントをご紹介します。介護職の採用は「採用前」「採用時」「採用後」の3段階にわけて、改善施策を行うことが大切です。
それぞれの段階でどのような改善策が検討できるのか、下記でご紹介していきますのでぜひ参考にしてください。
採用前①給与や福利厚生を見直す
まずは、求職者が重視する給与や福利厚生を見直しましょう。一例として、下記のような見直しを検討できます。
給与の見直し | ・現在の給与を見直す・有資格者や経験者などの手当てを検討する・夜勤手当や早朝手当を検討する |
福利厚生の見直し | 下記のような福利厚生を検討する・食事支援・資格取得制度・特別休暇制度・育休、社内託児所制度・メンタルヘルスサポート |
給与の見直しでは「既存の従業員との平等性を保ちつつ給与アップや手当て支給ができないか」を検討しましょう。経験や勤務形態に応じて一時的にでも手当てを用意できると、求職者の目に留まる可能性があります。
福利厚生の見直しでは、求職者が働きたいと思える待遇や環境づくりを意識して魅力的な制度を導入できないか検討しましょう。
例えば、子育て世代の人材を集めたい場合は、育休や社内託児所制度など子育て支援できる福利厚生を用意するのも1つの方法です。
採用前②職場体験・説明会を実施する
前述した通り、介護職は3Kのようなマイナスイメージを持たれてしまう可能性があります。そういった印象を変えつつ応募意欲を高めてもらうために、1週間程度の職場体験やオンラインでの事前説明会などの広報的な施策を実施することがおすすめです。
例えば、職場体験では介護職に興味はあるものの仕事のイメージが持てない方に対して、仕事の魅力や詳しい業務内容、先輩の声などを届けられます。実際に介護職に携わってみたり働く介護士から直接話を聞いたりすることで、興味をもってもらうきっかけになるでしょう。
求職者の質問や悩みに答える機会を設けることで不安を払拭することができ、興味や関心を持ってもらえるようになるでしょう。
採用時①複数の媒体で募集をする
採用活動時には、求人媒体を活用しましょう。求人情報を掲載する媒体を増やすと、今までアピールできなかった層に求人情報を見てもらえる可能性があります。
【主な求人媒体】
- ハローワーク
- 求人掲載サイト
- 求人検索エンジン
- 求人情報誌
- 自社サイト
- 広告・折込チラシ
例えば、今までハローワークにしか求人情報を掲載していなかった場合、主にハローワークの利用者がターゲットになります。そのため、ハローワークだけではなく求人情報サイトや求人情報誌にも併せて掲載できれば、自社の求人情報を見てもらえる機会が広がるでしょう。
採用時②応募条件の見直しをする
採用活動時には求人媒体の見直しと並行して、応募条件の見直しもしましょう。
募集する介護職の業務内容により調整できる範囲が異なりますが、下記のような点を見直すといいでしょう。
【募集要件で見直したいポイント】
スキルや経験:資格や学力、経験の有無などの基準
雇用形態:正社員のみでなくパートアルバイトでの雇用ができるかどうか
勤務時間:フレックスタイムや時短勤務の可否
業務内容:「介護職/介護士」などの業種だけでなく細かい業務内容を記載する
待遇:福利厚生や評価制度、スキルアップなど自社の待遇について
特に「今まで経験者のみを募集していた」「正社員のみを募集していた」など制限を設けていた場合は、制限を緩めると対象者が増えます。
自社の業務量や業務内容を踏まえつつ、どこまで調整できそうか考えながら採用要件を改善してみてください。
採用時③仕事内容を丁寧に伝える
応募してきた候補者との面接時には、実際の仕事内容をできるだけ丁寧に伝えましょう。給与や勤務時間、就業規則などは伝えていても、仕事内容は意外と伝えていないケースがあります。
仕事内容が十分に伝わっていないとミスマッチを起こすため、採用できたとしても短期間で離職するかもしれません。できるだけ長く勤務してもらうには、双方が納得したうえで採用に進めるよう細かいすり合わせが必要です。
【仕事内容を伝えるときのポイント】
- 具体的な仕事内容と1日のスケジュール
- 使用する器具や機械
- 職場の雰囲気ややりがい
採用後①コミュニケーションを取る機会を設ける
求職者を採用した後は、定着に向けた支援が欠かせません。特に採用後は、採用者が孤立しがちです。仕事や人間関係の不満を1人で抱えないよう、下記のような、積極的にコミュニケーションを取る機会を設けましょう。
【コミュニケーションを取る機会の例】
- 定期的に面談を実施する
- メンタ―制度を導入する
- チャットなどのコミュニケーションツールを活用する
- チーム会など社内で情報共有ができる場を設ける
新しい職場で働き始めたばかりの頃は相談相手がいないケースが多いので、面談やメンター制度などで、新人でも気兼ねなく相談できる場を設けられるといいでしょう。
また、チーム会など社内で交流する機会があると、職場環境になじみやすくなります。介護職に多い人間関係の悩みでの離職を減らすためにも、積極的にコミュニケーションの機会を設けるといいでしょう。
採用後②スキルアップの機会を設ける
採用した人材が介護の仕事に慣れてきたら、スキルアップの機会を検討しましょう。給与アップを目指した資格の取得や新しい知識の習得は、やりがいの創出につながるからです。
スキルアップ内容は仕事内容や個人の目標により変わりますが、一例として下記のような方法が検討できるでしょう。
【スキルアップ機会の例】
- 業務に関するセミナーや研修を実施する
- 資格取得をサポートする
- リーダーや主任への昇格を目指して知識を取得する
例えば、資格取得や昇格の取得によって給与アップが実現できると、入社後のモチベーション向上につながる可能性があります。このように、人材育成も視野に入れておくと、採用した後も人材が定着しやすくなるでしょう。
介護職の採用は現状の見直しから始める
本記事では、介護職の採用が難しい理由と具体的な改善策をご紹介しました。
介護職の採用は難しいと言われていますが、現状の施設環境や採用活動の流れを見直すことで大幅に改善できる可能性があります。
今回ご紹介した「採用前」「採用時」「採用後」のポイントを意識しながら、自社の採用活動を見直してみてくださいね。