新卒採用の戦略を策定する9ステップ|市場の現状と策定のポイントとは

少子高齢化や企業と学生から企業に対してのニーズの多様化、また働き方の柔軟性が増したことにより、新卒採用は非常に難化しています。

2023年、新卒採用のスケジュールが政府により新たに定められましたが、前倒しで動き始める企業は多いため、戦略を練り直している企業も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では新卒採用の現状や、なぜ今新卒採用に戦略が必要なのか、そして戦略に必要なステップなどについて解説します。

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目次

新卒採用市場の現状

従業員別の求人倍率の推移の資料

参考:大卒求人倍率調査(2024年卒)リクルートワークス研究所

新型コロナウイルスの感染拡大と重なった2019〜2020年卒の時期から3年が経って、求人倍率はコロナ前の高さに戻りつつあります。

また、SNSの普及などにより情報感度の高い学生が増え、物価高などの情勢変化により「よりいい企業に就職したい」という学生が増え、新卒採用ははどんどん早期化しています。

就活ルールが終わり採用開始時期が加速している

かつては、経団連によって学生と企業の双方に公平な機会を提供し、就職活動を健全に進めるために定められた「就活ルール」が存在しました。

しかし、新卒採用市場が激化していくにつれて、多くの企業が就活ルールを守らず、早期に学生との接触を図る事例が後を立たず、就活ルールは実質的に形骸化していました。

そのため、経団連は2021年以降の就活ルール廃止を決定し、実際に就活ルールは撤廃されました。

引用:ProFuture株式会社2024年新卒採用動向調査

また、ProFuture株式会社 が行った「2024年新卒採用動向調査」を見ると、対象学生が3年生のうちに内定を出し始めた企業の数が2017年から2024年までの、たった7 年前の間で約6倍になっており、2024年時点では過半数を超えています。

このことから、かなり多くの企業が新卒採用に対して非常に前のめりに取り組んでいることがわかります。

このような「新卒採用の早期化」については、下記のコンテンツでも詳しく説明していますのでぜひご覧ください。

新卒採用に戦略が必要な理由

それでは、新卒採用に戦略が必要な理由を3つ解説します。

理由①:新卒採用の開始時期が年々早まっているから

新卒採用に戦略が必要な理由の1つ目は、新卒採用の開始時期が年々早まっているからです。

現在の採用は、3月に広報開始、6月選考解禁のスケジュールで実施されています。

しかし、全国の民間企業での求人総数と、民間企業就職を希望する新卒学生の割合は、求人総数の方が多く、かなりの人材不足になっていることから、いち早く学生を採用しようと採用活動を早いタイミングから行う動きが広がっています。

近年は、外資やベンチャー、スタートアップ企業の台頭も、開始時期をどんどん早めています。

このような企業はより優秀な学生を採りたいため、学生が4年生になる頃には採用活動を終わらせていることも珍しくありません。

理由②:新卒のニーズが多様化しているから

新卒採用に戦略が必要な理由の2つ目は、新卒のニーズが多様化しているからです。

オンラインでの授業が当たり前になっている現代の大学生には、説明会やインターンシップはオフラインだけではなく、オンラインでも実施することがスタンダードになりつつあります。

従来の新卒就活においては、安定した職場環境や高い給与などが新卒学生の主な関心事でした。しかし、現代の新卒学生が企業に対して抱くニーズは大きく変化しています。

例えば、ワークライフバランスの重視、社会的意義のある仕事への関与、キャリアアップの機会、働きがいのある職場など、重要視するポイントは多岐にわたります。

このような背景から、企業は一律の採用戦略ではなく、多様なニーズに応えるための柔軟な戦略を立てる必要があるのです。

理由③:就活の売り手市場が続いているから

新卒採用に戦略が必要な理由の2つ目は、就活の売り手市場が続いているからです。

近年、就活の売り手市場は継続していますが、今後も大きな変化は無いと予想されます。理由としては、就活の早期化により採用の長期化が進んでいるからです。

大学でコロナの影響を受けた学生は、安定志向が多いため、早めに就活をすることで内定を複数もらい、そこから行きたい企業を選ぶという傾向があります。

そうなると、内定辞退が多くなり、採用活動のクローズに時間がかかってしまうのです。

新卒採用に必須の戦略を策定する9ステップ

続いて、新卒採用に必須の戦略を策定する9ステップを解説します。

ステップ①:採用の目的を設定する

まずは、自社の経営計画をもとに、採用の目的を設定しましょう。

採用の目的には、即戦力の確保、特定のスキルや専門知識を持った人材の獲得、組織の多様性の強化、将来のリーダー候補の育成など、企業によってさまざまです。

そして、採用の目的を明確にすることは、その目的に合わせた採用基準や選考方法の設計、効果的なアピールポイントの選定、求める人材像の言語化など、戦略的な採用活動を展開するための基礎となるのです。

ステップ②:新卒採用市場の現状分析を行う

次に、現在の新卒採用市場はどのような状況なのかを分析しましょう。

就職市場の動向、競合他社の採用活動、学生のニーズや傾向など、幅広い視点から情報を収集し分析することで、企業は自社の採用活動が直面する可能性のある課題を明らかにし、効果的な対策を講じることができます。

また、市場の現状分析は、単に外部環境を観察するだけでなく、自社の採用活動の市場内での位置付けを確認する機会でもあります。自社がどのような魅力を持ち、どのような点で競合と差別化できているのかを理解することは、大学生により魅力的な訴求を行うために必要不可欠です。

ステップ③:求める人材像から採用ペルソナを設計する

市場分析が完了したら、ペルソナを設計します。

採用ペルソナとは、理想の候補者を具体的に描いた架空の人物像であり、人間性やニーズ、関心事などを詳細に設定します。採用ペルソナでは、職種ごとの能力だけでなく、組織の文化にフィットする性格やモチベーション、キャリア志向など、多面的な視点が求められます。

このペルソナを設計することで、採用活動を通じて企業がどのような人材を求めているのかを明確にし、さらには、その人材を惹きつけるための戦略の設計にも活用できます。

ステップ④:採用基準を統一する

ペルソナ設計が完了したら、そのペルソナに沿って採用基準を決定します。このとき、採用基準は採用に携わる社員全員で確認し、認識を統一することが重要です。

採用基準を統一することで、異なる部門や選考担当者間での評価のブレを最小限に抑え、公平かつ透明性の高い選考を実現できます。

また、統一された採用基準を設けることは、応募者にとっても公平な選考プロセスが保証されるため、企業への信頼感を高める効果も期待できます。

ステップ⑤:選考段階別に母集団形成数を算出する

採用基準が確定したら、母集団形成に必要な候補者数を算出します。書類選考、一次面接、二次面接で、どの程度の人数を通過させるのかを具体的に定めることで、採用の効率化にもつながります。

場合によっては、この段階で採用手法を変更した方が良いこともあるため、臨機応変に対応していきましょう。

ステップ⑥:採用コンセプトを策定する

採用コンセプトとは、自社が採用活動をする上で大切にしている価値観や方針、求める人物像を一言で打ち出したものです。採用コンセプトは採用活動全体の指針となります。

この採用コンセプトを策定する過程では、企業のビジョンやミッション、組織文化、そして業界や市場における位置付けなどを踏まえ、大学生が共感できるストーリーやメッセージを作り上げます。

ステップ⑦:採用CX(候補者体験)を設計する

採用コンセプトと同じぐらい、採用CX(候補者体験)も重要な要素です。

採用CXとは、求職者が採用プロセス全体を通じて経験する一連の体験のことを指します。この採用CXによって、学生がその企業に対して持つ印象や満足度を大きく左右するため、より良い採用CXを設計することで、企業は自社の魅力を高めることができます。

ここまでの手順で明らかになった情報を基に、候補者が感じるであろう不安や疑問を解消し、ポジティブな体験を提供するための具体的な施策を計画します。

ステップ⑧:採用スケジュールを設計する

採用スケジュールは、企業の規模によって異なるケースが多くあります。採用人数が多いと数回に分けて選考を行う必要があります。

なお、「選考の過程を短縮化したい」「コスパ重視の採用を考えている」「人材をいち早く採用したい」という企業には、早期選考もおすすめです。

しかし、早期選考になると従来の採用計画とは異なるスケジュールや内容になることは、前提として認識しておく必要があります。

ステップ⑨:採用チャネル/手法を選定する

最後に、採用チャネル/手法を選定します。

この段階までに集めた情報や策定した戦略に最もマッチするチャネルや手法を決定します。

例えば、デジタル領域に強い学生にリーチするためには、SNSやオンラインの採用イベントが効果的です。一方で、特定の専門分野の学生にリーチする場合は、その分野の専門学校や大学と協力し、採用イベントを開催するのが有効です。

新卒採用の戦略を策定するためのポイント

次に、新卒採用における戦略策定で押さえるべきポイントを3つ解説します。

ポイント①:採用戦略を社内で共有する

新卒採用の戦略を策定するためのポイントの1つ目は、採用戦略を社内で共有することです。

採用戦略を社内で共有することで、採用活動の目的とプロセスが明確になり、各部門がどのように貢献できるかを理解しやすくなります。例えば、マーケティング部門は採用ブランディングやイベントの企画に協力することができ、人事部門は選考プロセスの管理や候補者とのコミュニケーションを担当することになります。

また、具体的な採用基準や求める人材像が共有されることで、社内からの推薦にもつながります。さらに、社員一人ひとりが採用活動の重要性を認識し、積極的に参加する文化を育むことは、魅力的な企業イメージを構築するうえで非常に重要です。

このように、採用戦略を社内で共有することは、組織全体としての採用活動の質と効果を向上させるために、非常に重要なポイントなのです。

ポイント②:活躍している社員にインタビューする

新卒採用の戦略を策定するためのポイントの2つ目は、活躍している社員にインタビューすることです。

近年、やりがいやスキルアップといった、自己への満足感も企業選びでは大切なポイントになっています。そのため、入社する前のイメージ、入社後のライフスタイルや価値観などを、活躍している社員に具体的にインタビューすることで、学生に入社後のイメージを共有することができます。

社内外、どちらにもポジティブなイメージを持ってもらえるようなインタビューを心がけましょう。

ポイント③:常にPDCAを回して戦略を見直す

新卒採用の戦略を策定するためのポイントの3つ目は、常にPDCAを回して戦略を見直すことです。

採用活動は、常に予定通り上手くいくものではありません。特に採用市場の動きが変化しやすい現在は、戦略のズレやトラブルも起こりやすいため、定期的に戦略を見直してPDCAサイクルを回す必要があります。

成果と予想通りにならなかった点について分析して、改善策を分析しましょう。

新卒採用の戦略策定で使えるフレームワーク

採用フレームワークとは、採用活動の効率や質を上げるために、人材の募集から採用までの一連の流れやプロセスを組み合わせたものです。採用戦略を立てる際に活用することで優位に働くため、以下の図にて6つのフレームワークを解説します。

種類内容
ペルソナ分析どのような人材を採用したいかを明確にするための分析のこと。採用したい人物像を、性格や生い立ち、ライフスタイルまで細かく仮定する。人物像が決まったら、社内で共有して認識を合わせる。
カスタマージャーニー候補者が自社を見つけてから採用されるまでの行動や思考を時系列にまとめたもの。認知/興味・関心/比較・検討/行動のフェーズに分けて考える。候補者がスムーズに就職活動を行えるかどうか、注意点を洗い出しながら作成する。
3C分析Customer(人材)、Competition(競合他社)、Company(自社)の3つの分析を分類して、自社が市場においてどのような立ち位置にいるかを分析する方法。
情報は「事実」と「解釈・意見」を区別して整理する。
4C分析Customer Value(人材から見た企業の価値)、Cost(人材にとっての負担)、Convenience(人材にとっての利便性)、Communication(人材との意思疎通)の4つに注目し、人材が求める企業像を明確にする方法のこと。採用計画を改善する際にも用いることができる。
SWOT分析自社の内外環境をStrength(自社の強み) / Weakness(弱み)のプラス要因、Opportunity(採用機会) / Threat(採用活動の問題点)のマイナス要因に分類して、4つの要素で分析する方法。採用戦略や計画の最適化を図ることができる。競合他社に勝つための要素を把握することができる。
5A理論Aware(認知)、Appeal(訴求)、Ask(調査)、Act(行動)、Advocate(採用市場においては入社)のプロセスで自社と人材の接続性を説明したもののこと。採用活動を組み立てる際に有効な方法。プロセスごとに必要な採用チャネルを設定する。

新卒採用戦略で活用できる手法

最後に、新卒採用戦略で活用できる手法を3つ解説します。

手法①:新卒紹介エージェントの活用

新卒採用戦略で活用できる手法の1つ目は、新卒紹介エージェントの活用です。

エージェントを活用をするメリットは、主に3つあります。

1つ目は自社の採用担当の負担の軽減、2つ目は求人の増員にも柔軟な対応が可能、3つ目は自社の名前がメジャーでなくても学生を紹介してもらえることです。

ただし、学生が入社を決めた際には成果報酬として、理論年収の30-40%程度の費用が発生するため、コストの面では少々デメリットにもなります。

手法②:求人媒体への掲載

新卒採用戦略で活用できる手法の2つ目は、求人媒体への掲載です。

学生のほとんどは、求人広告をもとにして企業をリサーチします。特に新卒採用では、新卒に強い採用媒体を利用する方法や、大学に学校推薦を依頼する方法が一般的です。

求人媒体に情報を掲載する際、採用の基準や訴求が曖昧だと採用の確率は下がるため、採用戦略をしっかりと認識することが大切です。

また、求める人材や採用予算に応じて選ぶべき媒体は異なるため、自社にとって何が最適かを分析しましょう。

手法③:SNS/オウンドメディアでの発信

新卒採用戦略で活用できる手法の3つ目は、SNS/オウンドメディアでの発信です。

SNSでの発信は、現代の学生へのアプローチ方法として非常に有効です。拡散力が高く、認知度の向上が多く見込めることに加えて、将来的に就職を考えている潜在層にもアプローチをすることができます。

しかし、運用のコストやノウハウのキャッチアップ、運用リソースの負担も考慮しなければならないため、活用する際は社内での連携が必要になります。

まとめ:戦略を立てて新卒採用を成功させよう

今回は、新卒の採用戦略について解説しました。

新卒の採用活動では、数多くのステップを踏むことで、効果的な戦略を立案することができます。

新卒採用の戦略立案に課題を抱えている企業の担当者様は、本記事を参考にして、ぜひ新卒採用の戦略立案をしてみてください。

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この記事を書いた人

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業責任者を担い、これまでに80社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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