【事例あり】SES企業においてエンジニア採用が難しい原因と成功するためのポイント7選

SES(System Engineering Service)は、クライアント企業に対して技術者を派遣するサービスで、主にシステム開発、インフラ環境の構築、およびそれらの運用保守を担当するエンジニアを提供します。

そのため、SES企業は常にエンジニアを必要としていますが、なかなか採用が順調に進んでない企業も少なくありません。この記事では、ITエンジニア業界の最新動向や、採用における課題、「SES企業がエンジニアを採用するコツ」などをご紹介します。

目次

SES企業がエンジニア採用に苦戦する原因

採用において特に難しいとされる「エンジニア職」において、特にSES企業が直面する課題は、大きく分けて以下の4つです。

  1. 応募が不足している
  2. 面接や内定辞退が多発している
  3. 人材不足
  4. 採用に関するノウハウが不足

特に、コロナ禍の影響でエンジニアの求人倍率は上がっており、企業間での採用競争が激化している中、即戦力になる「経験者」の採用を目指す場合、求人広告の作成から面接でのアプローチ、内定獲得まで、さまざまな採用フローを見直す必要があります。

そこで、ここからはエンジニアの採用市場について理解し、エンジニア自身の転職理由などに対しての理解を深めた上で、SES企業がエンジニア採用を成功させるポイントをご紹介していきます。

ITエンジニアの採用市場を理解する

SES企業だけではなく、ITエンジニアの採用は多くの企業で困難になっています。まずは、この状況が発生する原因や、ITエンジニア採用市場の現状について改めて理解しましょう。

IT人材採用市場全体の最新動向

ITエンジニアの採用環境は、IT業界の動向に大きな影響を受けています。経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2030年までに最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。

同時に、クラウド、IoT、ビッグデータ、AIなどの分野が拡大し、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展、5G通信の普及など、IT業界自体の需要も増加傾向にあります。そのため、IT人材の採用競争はこの先さらに激化していくことが予想され、SES企業も、このIT人材不足に対処するために、従来の採用手法に縛られずに柔軟なアプローチをすることが求められています。

選考フローの変化

近年、ITエンジニアの採用では、応募から入社までのフローが短くなっています。

応募者は転職活動に時間をかけたくないため、先に内定が出た企業に入社してしまうことがあり、選考期間が長い企業は必然的に離脱される可能性が高まってしまうのです。

特に採用したい人材に関しては、1日で1次面接と2次面接を終わらせてしまうくらいのスピード感で選考を進めていくことを意識しましょう。

選考フローをはじめとするエンジニア採用戦略については、以下のサイトでも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

採用市場以外の環境の変化

エンジニア採用が難しい原因は、ITや採用市場の問題だけではありません。例えば、「環境の変化」もエンジニア採用が難しくなる原因の1つです。

具体的には、「採用担当者と応募者のコミュニケーション手段」は、時代とともに変化しています。かつては電話やメールが主流でしたが、現代ではチャットツールやWeb会議ツールなど多彩な手段が利用されています。

そのため、中小企業などでチャットツールやSNSを導入していない企業だと、応募者と円滑なコミュニケーションをとれず、「やりとりが面倒」という小さな理由で簡単に内定辞退や選考離脱されてしまいます。ITエンジニアの採用を成功させるには、連絡ツール1つでも不便さを取り除くよう見直しましょう。

転職の動機や目的を知る

ITエンジニアをスムーズに採用するためには、応募者の立場や視点を理解することが必要です。 そこで、以下のITエンジニアが転職をする際の動機や心理を押さえましょう。

  • 報酬や条件を今より良くしたい
  • 今のスキルを活かしながら環境を変えたい
  • 需要が高まっているスキルを習得したい
  • 企業が募集をしている背景が知りたい
  • 入社後のキャリアパスについて
  • 副業やリモートなど柔軟な働き方はできるのか

以下で、それぞれの項目を詳しく説明していきます。

報酬や条件面について

ITエンジニアに限らず、転職者の大多数は転職をすることによって報酬や条件面でのキャリアアップを見据えています。求める条件や報酬の基準は個人によって異なりますが、募集企業が提示している条件が現在のオファーに比べて不利である場合は、応募は必然的に少なくなるでしょう。

特に、長期的な雇用を希望する応募者にとっては、福利厚生やボーナス、学習に対してのサポートなどがない場合は基本的に応募候補から外れてしまいます。したがって、応募者どのような条件を求めているのかを理解し、必要に応じて採用条件を見直しましょう。

転職後に今のスキルは活かせるか

IT業界未経験の場合を除き、多くの求職者は「転職先でもこれまでのスキルや経験を最大限に活かしたい」と考えています。そのため、自身のキャリアを発展させられると感じられる企業は、応募数と採用率が向上します。

現在のIT人材市場は供給不足のため、エンジニア達は毎日50件前後のスカウトメールを受け取っています。多くの企業からアプローチを受けるため「自分のレジュメを読んだ上で、正当に評価してくれる企業」でなければ、応募する意欲が湧かないでしょう。

また、採用活動がスムーズに進展しない場合、求人広告の内容に何か課題があるのかもしれません。ターゲットとする人物像が不明確なままでは、求人情報などに一貫性が生まれず「本当に欲しい人材」に刺さる訴求ができません。そのため、ペルソナ設計を再構築して自社の求める人材と応募者の動機を調和させるよう訴求を見直しましょう。

ターゲット像を設定する「要件定義」の方法については下記の記事でさらに詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。

需要が高まっているスキルを習得できるか

エンジニアは採用時の給与や福利厚生に興味を持つだけでなく、将来のキャリアを気にしている人も多いです。特に、IT業界では常に新しいスキルや知識の習得が求められるため、エンジニアに対して学習環境が整えられている環境か否かが重視されています。

こういったエンジニアの希望に応えるには、求人を作成する際に、トレンドとなっている言語の名前やキーワードを取り入れて、需要の高まっているスキルを身につけられることを強調することが重要です。たとえば、IoTやAIなどの技術に焦点を当てたり、「新規事業」や「自社サービス」「上流工程」などのポジション的な魅力を強調するキーワードを使用することで、応募者からの興味を惹くことができます。

また、AI関連のポジションであればPythonのスキル、モバイルアプリ開発の職種であればDartのようなプログラミング言語の要件を明確に示すことで、将来の職務内容をイメージしやすくなります。

企業が募集をしている背景は何か

多くのエンジニア候補者は、企業がエンジニアを求める理由を理解したいと考えています。応募の背景や動機は多様ですが「なぜ企業が人材を募集しているのか」を明確に伝えない企業に対する信頼度は低いでしょう。

募集の背景を伝えるためには、以下の項目を中心に洗い出しておく必要があります。

  • 企業の設立背景
  • 事業のミッション・ビジョン・バリュー(MVV)
  • 現状の組織に抱えている課題
  • 事業拡大において長期的に抱えている課題
  • エンジニアを採用することで達成したい今後の目標

入社後のキャリアパスについて

エンジニアは、入社後のキャリアパスを非常に気にしています。つまり「ITエンジニアとしてその企業に在籍することで、どのようなキャリアを築いていけるのか」が気になっているのです。

中途採用の場合、入社後に即戦力として特定のプロジェクトに参加することが一般的です。しかし、新卒採用でも同じく、将来のキャリアパスを明確に提示できると、応募意欲を高めることができます。

入社後のキャリアパスを訴求する際は、今活躍している社員のインタビューを掲載したり、キャリアパスのモデルを年数単位で記載することでより具体的なイメージを持ってもらうことができます。

副業やリモートなど柔軟な働き方はできるのか

IT業界では多くの若手が活躍しており、若い世代は「柔軟な働き方」や「労働環境」に対する関心が非常に強いです。ワークライフバランスが両立できるかどうかや、副業に対しての制度などは、給料と同じくらい重視されているポイントです。

エンジニアの業務内容上、繁忙期や急なトラブルに対応が発生することもありますが、その際にも残業時間の上限を明確に設定し、応募者にとって透明でわかりやすい条件を提示することが大切です。

また、採用時に確実に説明し、希望する条件と自社が調整できる条件範囲をすり合わせながら期待値調整を行うことが重要です。応募者にとってわかりやすい情報提供を行い、入社後のミスマッチや早期離職のリスクを低減しましょう。

SES企業がITエンジニアを採用するための7つのポイント

SES企業がITエンジニアの採用確率を向上させるために、重要なポイントがいくつかあります。今回は、特に重要な以下の7項目に絞ってご紹介します。

  1. ペルソナ設計を行う
  2. 競合他社の動向を意識した給与設定
  3. 業務内容をできるだけ詳細に記載する
  4. ワークライフバランスを重視する
  5. SESとして他社と差別化できるポイントを記載する
  6. 採用説明会の頻度を多くする
  7. 選考中+内定オファー後のフォローを重視する

これらのポイントについて、詳細な説明を提供いたします。

①ペルソナ設計を行う

エンジニア採用を始める際は、必ず採用ペルソナ(ターゲットの理想像)を設計しましょう。

はじめに、ペルソナ設計の手順をご紹介します。

ペルソナを設計する際、まず最も重要なのは「どのようなエンジニアに焦点を当てるか」を決定することです。多くの場合、「エンジニア ペルソナ」というキーワードで調査を行うと、主にエンジニアとしてのスキルに焦点を当てた情報が表示されますが、スキル以外にも「価値観」や「人格」などの志向性を明確にすることが重要です。

志向性を考慮する際には、以下の4項目を中心に考えることができます。

それでは、それぞれの志向性をもったエンジニアの心理を詳しくご紹介していきます。

訴求ポイントを考慮し、自社の状況、案件、既存社員の志向性を整理して、自社の採用ペルソナの志向性を明確にしましょう。もしターゲットにしたい志向性に対して既存の求人において訴求が不足している場合、新たな文言を加えるか、別のペルソナを設計することをおすすめします。

そして、選択した志向性に合致するように社内の体制を整える予定がある場合には、その点を求人やスカウト文章に明記しましょう。ペルソナが確定したら、これらの訴求ポイントをしっかりとアピールすることが大切です。

②競合他社の動向を意識しながら給与を設定する

年収の設定においては市場相場を考慮して決定することが重要です。なぜなら、求人広告を多くのエンジニアに見てもらうためには、採用媒体上の求職者の検索条件にマッチすることが重要だからです。

多くの求職者は、転職で企業を探す際に希望の年収を基準に検索をします。そのため、求人掲載する年収は、市場相場に合致するように設定することをおすすめします。

記載方法にも工夫が必要です。給与の記載に加えて、案件の還元率、賞与の詳細や社内の平均年収、前職からの給与アップ事例の割合など、中長期的なキャリア展望を示す情報も記載しましょう。

③業務内容をできるだけ詳細に記載する

次に、求人情報の記載方法について考えましょう。

求職者がSES企業に興味を持つポイントとして、自身の経験を活かせる案件があるかどうかが重要です。

そのため、できるだけ案件の詳細情報を記載し、応募者に具体的なイメージを持たせることが大切です。案件の要約、期間、進行フェーズ、使用するプログラミング言語、環境など、経験に関連する具体的な情報を充実させましょう。

以下が実際の記載例です。

④ワークライフバランスを記載する

次に、ワークライフバランスについての情報を提供する際のポイントに焦点を当てましょう。

待遇の内容を列挙するだけでなく、実際に使っている社員の体験談をインタビューなどで伝えることでよりイメージがつきやすくなります。

また、ワークライフバランスに関する実績がまだない場合でも、今後の方針やビジョンを明示することで、長期的に働きやすい環境を提供するつもりであることをアピールしましょう。

⑤SESとして他社と差別化できるポイントを明記する

5点目は、「いちSES企業として、競合他社と何がちがうのか」を記載することです。

特に「エンジニアファーストの価値観」を明確に伝えることは極めて重要です。たとえ自社の条件が他社よりもやや劣っていたとしても、エンジニアファーストのカルチャーを文章で示すことで、応募者は「ここでなら自分のキャリアが最大限に伸ばせるだろう」と感じることができます。

求人広告のイメージやトップ記事、SNS広報や採用HPでエンジニアを最優先に考えていることが伝わるエピソードや制度を紹介することで、応募への導線を確立しやすくなります。

例えば、以下のようなポイントで他社と差別化することができます。

  • 還元率
  • エンジニアと営業スタッフがどれくらいの密度で関わるか
  • どのような領域の案件が多いか
  • CEO/CTOの想い(インタビューコンテンツで記載)

⑥採用説明会を頻繁に開催する

採用説明会は、「応募するまでではないが自社のことが気になっている候補者」と直接接触できる貴重な機会です。この機会をうまく利用することで、エンジニア達をアトラクト(引きつけ)することができたり、より志望度の高い状態で選考に移ることができます。

そんな採用説明会はオフライン/オンラインや合同説明会など、いろんな形態で実施することができますがなるべく実施の頻度を多くすることをおすすめします。

エンジニアは基本的に忙しい人が多く、その中で転職活動を行っているため、平日の朝や定時後などの遅めの時間に行ったり、土日などの休日に行ったり、アーカイブとして動画を残しておくことも有効です。

「説明会に参加したら応募してくれるはずだった候補者」を一人でも多く応募に繋げるために、ぜひ積極的に行いましょう。

採用イベントの具体的な説明については、下記の記事もご覧ください。

⑦選考中+内定オファー後のフォローを重視する

選考中、選考内定後問わず、密なコミュニケーションは非常に重要です。応募者が複数の企業に応募している場合、内定者が他社と接触し続ける可能性があるため、積極的なコミュニケーションを続けて自社に引きつけましょう。

また、内定辞退を防ぐために、内定者の状況を把握し、内定承諾の期限を設けることが重要です。ただし、内定者の他社応募や期限調整の要望には柔軟に対応しましょう。内定者の都合を尊重する姿勢は、逆に自社への信頼につながり、内定承諾につながるケースもあります。このように、内定者とのコミュニケーションを通じて、自社が本当に内定者(エンジニア)を大切にしていることを示しましょう。

また、内定辞退が発生した場合、その理由を尋ねてフィードバックを受けることは採用プロセスの改善につながるのdえ、ぜひ行ってみてください。内定後のコミュニケーションは、採用活動を成功させるためには欠かせない要素です。

まとめ

SES企業にとって、ITエンジニアの採用は会社を存続していく上で一生の課題と言えます。最近では、IoTやAIなどの技術への需要が急増し、IT業界への注目が高まっています。しかし、需要に対してIT人材は不足状態が続いており、競合他社との激しい争奪戦が続いています。

そんな中で自社にエンジニアを引き寄せるためには、エンジニアの心理や志向を理解し、魅力的な待遇や働き方を提供することが不可欠です。同様に、内定者の内定承諾率を向上させるためのアプローチも重要です。

持続的な人材確保のためには、採用戦略の定期的な再評価と改良が不可欠です。市場の動向や競合他社の動向などを常にチェックし、自社に最適な採用戦略を進化させましょう

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弊社が運営している「即戦力RPO」は採用支援サービスですが、多くのSES企業様においてエンジニアの採用支援を行なっております。

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などのお悩みをお持ちのご担当者様は、是非ご相談ください。

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この記事を書いた人

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業責任者を担い、これまでに80社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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