エンジニア採用イベントとは?出展までのフローやコストを解説

エンジニアは、採用が困難な職種の一つであり、多くの企業が優秀な人材を求めています。採用方法を工夫するだけでなく、採用につながるイベントへの積極的な参加も考慮しましょう。採用イベントの種類や参加方法、成功の鍵について詳しく説明します。

目次

エンジニア採用イベントとは?

エンジニア採用イベントとは、自社の事業内容や職場環境、入社後の仕事など、基本的な情報を求職者に知ってもらい、採用につなげるためのイベントのことを指します。企業は求職者との相互理解を深め、採用プロセスの効率化に役立つと同時に、ニーズに合った人材との接点を持つことで、採用に結びつけやすくなります。

詳細はこの後詳しく解説しますが、採用イベントには複数の企業が説明会を開催する形式のものや、マッチングを目的としたもの、情報共有を目的として開催され、必ずしも採用に結びつくイベントなだけではありません。

そのため、イベントに参加する際には、目的とニーズに合ったものを慎重に選択することが重要です。

エンジニア採用イベントのメリット

エンジニア採用イベントに参加することで得られるメリットについて解説していきます。

1. 求職者との接点を持てる

採用イベントを通じて、求職者と接点を持つことができます。イベントには、すでに就職・転職活動を開始している人だけでなく、これから活動を始める予定の人や、転職を考えているがまだ行動を起こしていない人(潜在層)も参加します。

転職志望度が高い転職顕在層に関しては、相互の条件が合えば迅速に先行へ進むこともあります。一方、転職潜在層の人にも、自社の魅力を伝えることで、興味を持っていただき、採用につながる可能性があります。

2. 求職者の生の声を聞ける

イベントへの出展は、求職者のリアルな声を直接聞くことができます。

求職者にアンケート調査を行う企業は多いですが、本音で回答するとは限りません。そのため、市場の実態を正確に把握するのは難しいことがあります。

一方、イベントでは参加者から直接意見を聞くことができるだけでなく、企業側からも質問をすることができます。

この場で、多くの求職者が企業に期待する条件や、他社の応募状況などを知ることができれば、採用基準やプロセスの改善に役立ちます。また、他社の採用手法に関する情報も得られるため、採用活動の戦略立案に役立ちます。

3. 市場全体の傾向が把握できる

どんなプロダクトを扱っている企業が候補者に人気なのか、候補者が企業に求めている条件はどんなものかなど、エンジニア採用イベントに参加することで、採用市場を把握することができます。

たとえば、合同企業説明会などに参加することで、採用市場の状況や市場で求められている人材のニーズを把握することができます。市場は時代に合わせて変わっていくので、このようなリアルなコミュニケーションを取れる場を通じて、市場の傾向を把握することが重要です。

市場全体の動向を把握することで、効果的な採用戦略を立てることができます。

4. 次の選考ステップに繋げやすい

エンジニア採用イベントに参加した求職者は、転職に対して温度感が高い状態なので、応募への意欲を高めることができます。また、企業の担当者と直接会話をしていることから、親しみやすさを伝わり、応募のハードルを下げることができます。

中には、履歴書を持参する求職者もいるため、その場合は採用プロセスを簡素化できるメリットがあります。スピード感持って採用を行えるのは、採用イベントの利点の一つです。

エンジニア採用イベントの出典までの流れ

実際にエンジニア採用イベントを出展するとなった場合の、具体的な流れについて解説していきます。

1. イベントの概要を決める

まずは以下のポイントを考慮して、参加するイベントを探しましょう。

・イベント参加者の業種や職種
・参加者が新卒か転職者か
・開催地域
・イベントの規模と参加人数
・予算

採用ターゲットや自社のリソースに適したイベントを選び、出展の申し込みを行いましょう。例えば、エンジニアの採用を目的とする場合は、目標の参加人数を見込めるか、新卒向けなのか中途向けなのかなど、を十分にチェックする必要があります。

2. 問い合わせフォームから申し込みor資料ダウンロード

出展の申し込みは、公式ウェブサイトや運営会社のサイトのフォームから行います。出展料や条件が明記されていない場合もありますので、事前に資料請求や問い合わせを通じて確認することをおすすめします。

出展の申し込みが完了したら、出展申込書など必要書類を提出します。必要な書類については、各イベント主催企業に直接確認しましょう。

ほとんどのイベントが出展枠に上限を設定しているため、決定後は速やかに手続きを進める必要があります。手続きを早めに済ませることで、準備に充てる時間も確保することができます。

出展準備

出展が決まりましたら、人事部門が主導となり、関連部署と連携して計画を立てます。ブースの設計や設営など、社内のリソースだけでは不足することが多いため、アウトソースを活用するとスムーズに行えるでしょう。

出展準備に時間を割く際には、本来の業務が疎かにならないよう、十分な配慮が必要です。計画を立てる際には、余裕を持ったスケジュールを確保することが重要です。

イベントの告知

イベントへの出展に向けた準備を進めると同時に、イベントの告知やプロモーションにも注力する必要があります。

主催企業がイベントを広く宣伝してくれる一方で、自社でも求める人材に対して積極的に告知することが欠かせません。自社ウェブサイトでイベントの告知を行うだけでなく、SNSを活用して情報を発信し、多くの参加者を集めるよう努めましょう。

当日の対応とアフターフォロー

イベント当日は、出展ブースを訪れた来場者に対して、自社のビジネスや求める人材について説明し、魅力をアピールする必要があります。特にエンジニアの採用では、現場のエンジニアが来場者と対話することが有効ですので、スケジュールを調整して参加させましょう。

さらに、イベントでは多くの来場者の前でプレゼンテーションする機会もあります。自社について知らない参加者にもアピールできるため、自社について理解が深いメンバーをアサインすると良いでしょう。企業によっては視座が高い、経営者や役員が発表を行うこともあります。

イベント後には、ブースでのやり取りをした参加者に対して、説明会や面接への参加をメールで案内するなど、フォローアップも重要です。採用につなげることが最終目標ですので、採用までのプロセスを整えておきましょう。

エンジニアイベントのコスト

出展時にかかるコストについて解説してきます。イベントによってコストは大きく異なるので、詳細な金額は企業に問い合わせましょう。

出典とブース設営に必要な料金

エンジニア採用イベントは、別名転職フェアとも言われています。イベントの規模や、出展するブースのサイズで、料金が異なります。

出展費用

typeエンジニア転職フェア:95万〜160万円

doda転職フェア:50万〜210万円

マイナビ転職フェア:30万〜130万円

一般的に、大規模で質の高いイベントほど効果が期待できますが、その一方で出展料が高額になる傾向があります。特に大都市圏、例えば東京では他の地域に比べて出展料が高いことが一般的です。平均的な出展料は50万円から100万円程度であり、中には1日あたり200万円という高額なイベントも存在します。

また、オプションで講義会場の追加や、机やホワイトボードの貸し出しも可能です。イベントによっては、複数日参加することで料金が割引される場合もあるため、出展日数と価格を確認することが重要です。

さらに、上記の料金に加えて、ポスターやVTR映像などを含めたブースの設営費用も確認し、必要なコストを明確に把握してください。

自治体から助成金を交付

助成金とは、国または地方自治体が企業に対して提供する資金のことです。

一部の自治体では、人材採用時に助成金が適用される場合があります。採用に関連する費用を削減できるだけでも、イベント出展への障壁が低減されます。

助成金はすべての自治体で交付されるとは限りませんが、事業所が所在する自治体で助成金の制度があるかどうかを確認し、採用に関する助成金があれば、積極的に活用しましょう。

エンジニアイベントの種類

以下では、エンジニアが参加する可能性のある6つのイベントのタイプを紹介します。それぞれの特徴を把握しながら、もし自社でイベントを主催する場合、どの形式が最適かを考えてみてください。

①カンファレンス

カンファレンスは、主に登壇者のプレゼンテーションを聴くイベントです。著名人や経営者など、実績のある人物が話すことが多く、人気の登壇者が出るとすぐに満員になります。

自社でカンファレンスを開催する場合は、単に登壇者に話をしてもらうだけではもったいないです。プレゼンテーションの後や合間に、自社の紹介動画を流すなど、自社の知名度を高める方法を検討すると良いでしょう。

②ハンズオンセミナー

ハンズオンセミナーは、講師の講義内容を実際に手を動かして実践するセミナーです。講師のほとんどが、優秀なエンジニアで、難しい内容でも柔軟に回答してくれるため、スキル習得に適しています。

自社でハンズオンセミナーを計画する場合は、社内の優秀なエンジニアを講師に起用するのが理想的です。もし、講師のエンジニアの歴が浅かったり、あまりプロダクトに関して詳しくない場合は、候補者からの質問に答えられれない可能性もあります。その場合、候補者の志望度や興味は薄れてしまうので、講師の選定は十分に配慮しましょう。

③ハッカソン

ハッカソンは、エンジニアが集まって一定時間内に特定のトピックで開発を行い、成果物を競い合うソフトウェア開発イベントです。開発したソフトウェアがサービスにつながる場合もあり、イノベーションの創出にも役立ちます。

自社でハッカソンを開催するのは一定のハードルがありますので、他社と協力して行うことも考えられます。ハッカソンには優秀なエンジニアが集まる傾向があるため、イベント後のフォローアップも重要です。

④もくもく会

もくもく会は、作業を行うイベントです。参加者は当日に行う作業内容を発表し、その後は自由に作業したり、雑談したりします。参加者同士の交流が重視されるイベントです。

自社でもくもく会を開催する場合、基本的には作業ができる環境を提供するだけで十分です。参加者との交流を通じて関係を深めることができ、採用にもつながりやすいです。

⑤ 交流会

交流会は、エンジニア同士のネットワーキングを目的にしたイベントで、参加時は飲食しながら交流します。参加する目的は、雑談を楽しむだけの参加者から、仕事を探しているエンジニアまで様々です。

自社で交流会を開催する場合、単なる雑談の場を提供するだけでなく、採用に興味のあるエンジニアに対して積極的にアプローチすることが必要です。

⑥採用直結型会社説明会

採用直結型会社説明会は、新卒採用のように企業の魅力や業務内容を直接伝えるイベントです。Q&Aや座談会を通じて相互理解を深めることができます。企業の認知度を高め、志望度を向上させるのに適しています。

エンジニアの採用イベントを成功させる3つのポイント

エンジニアの採用イベントを成功に導くには、以下の点にも工夫が求められます。参加するエンジニアのニーズに適したコンテンツを提供するために、可能な限り多くの場面で、社内のエンジニアに協力してもらいましょう。

エンジニアのニーズを汲み取ってコンテンツを設計する

イベントに参加するエンジニアが必要とする情報を、確実に提供することが重要です。企業の基本情報はもちろんですが、どのような人材を求めているか、採用したいエンジニアの経歴やスキルセットなどを具体的に伝えることが必要です。

また、来場するエンジニアは綺語の魅力を知りたがっています。エンジニアが転職先にどのような要素を求めているか、入社後の業務内容や給与、福利厚生などを明確に説明し、提供できるキャリアパスについても明確にすることが重要です。

現場のエンジニアに協力してもらう

エンジニアの採用イベントでは、社内のエンジニアからの支援が必要不可欠です。

参加してくれたエンジニアの技術力やカルチャーマッチは、基本的にはエンジニアにしか判断できません。参加の段階からエンジニアに関与してもらい、適切なアドバイスを受けられるようにしましょう。

また、イベントでプレゼンテーションを行う場合、経営者や役員だけでなく、現場のエンジニアが業務や企業の魅力について話すことが効果的です。現場の管理者やプロジェクトリーダーなどに、登壇を提案してみましょう。

イベントの集客方法を工夫する

エンジニア向けのイベントは、 SNSで告知をするのも良いですが、SNSはすぐに投稿が流れてしまうのと、アカウントの権威性が低いとそもそも見てもらえないので、専用のプラットフォームで告知すると良いでしょう。

具体的には「connpass」「TECH PLAY」「Peatix」などで告知すると認知を取りやすいです。

ポイントはエンジニアが検索しそうな「#ハッシュタグ」を利用することです。エンジニア採用イベントのターゲットはエンジニアなので、ペルソナを設計し、そこから単語を抽出すると良いでしょう。

プラットフォームの活用以外にも、 SNSやメルマガ、広告などさまざまな手法を用いてみましょう。

まとめ

企業がエンジニア採用イベントに参加するメリットは、以下の4つが挙げられます。

1 面接前に求職者と直接顔を合わせることができる
2 参加者に自社のアピールを直接行うことができる
3 市場全体のトレンドや動向を把握することができる
4 次の選考段階にスムーズにつなげやすい

また、イベント出展を決定する際には、イベントへの参加にかかる費用や必要なリソースの確保にも注意が必要です。

出展する採用イベントを決めたら、各企業のウェブサイトから問い合わせや資料請求を行い、早めに申し込みを完了させるよう心掛けましょう。出展手続きを迅速に行うことで、準備に余裕を持つことができます。

また、一回の参加だけでなく、何度も参加することで求職者に認知してもらえるので、定期的に参加することをお勧めします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業責任者を担い、これまでに80社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

目次