エンジニア採用でミスマッチを減らすポイントまとめ。発生の原因と最も効率的な対策とは?

近年、IT業界において、高い専門技術を持つ人材の需要が高まっています。その結果、特にエンジニア職の採用においては競争が激化し、「自社に合った適切な人材」を見つけることが非常に難しくなっています。その結果、莫大なコストやリソースをかけて採用した人が採用後に期待してたほどの価値を発揮できなかったり、カルチャー的に合わなかったりする、いわゆる「採用のミスマッチ」が起こりやすくなっているのです。

採用におけるミスマッチは、早期離職や採用活動における時間やコストの浪費をもたらすだけでなく、採用に関わる社員全体の士気の低下や業績の悪化にもつながってしまい、莫大な悪影響をもたらす可能性があります。

そこで本記事では、エンジニア採用においてミスマッチが発生しやすい原因や、それを防ぐための戦略や効果的な対策について解説します。

目次

エンジニア採用でミスマッチが起こる原因とは?

IT業界における人材不足は、多くの企業にとって重要な課題となっています。特にスタートアップや中小企業では、適切なエンジニアの採用が大きな障壁になっており、これによる人材のミスマッチは企業の成長を妨げる要因となっています。この章では、エンジニア採用におけるミスマッチがなぜ発生するのか、その根本的な原因を探ります。

さらに、エンジニア採用の成功に向けた具体的な戦略や採用プロセスの改善方法については、別の記事で詳しく説明しています。

採用要件が定まっていない

エンジニア採用の際、ミスマッチを招く要因の一つとして、そもそもの採用要件の不正確さが挙げられます。特に技術領域においては、似たようなプロジェクトであっても、企業ごとの特定の技術スタックやプロジェクトの性質が大きく異なる場合が多いです。

人事が技術的な背景を理解せずに採用要件を構築すると、現場のニーズに合致しない人材が採用される可能性が高まります。そのため、正確で具体的なスキルセットやプロジェクトの要件を明示した求人作成が重要であり、これを怠ると適切な人材の確保が困難になるため、注意が必要です。

求人票の内容が明確ではない

エンジニア採用でミスマッチを避けるためには、実際の業務内容と一致するスキルセットの明確化が不可欠です。具体的な技術要件やプロジェクトの詳細を明らかにしないと、必要なスキルを持たない人材が応募しやすくなり、適切な採用が難しくなります。

特に、技術的背景を持たない面接官が関与する場合、技術的な深度を評価するのが難しくなります。その結果、学歴や職歴などの表面的な指標に頼る傾向が強まり、実際の業務に適した人材を見逃すリスクが増えます。

書類選考時の判断ミス

エンジニアの履歴書には専門的な用語が多く使われています。技術的背景を持たない人事担当者だけで選考を進めると、履歴書の重要なポイントを見落としやすくなり、適切な人材を見逃す原因となります。

スキルや過去の経験ばかりに注目している

過去の技術や実績に過度に依存していることも非常に大きな落とし穴です。

確かな技術や実績は採用において有益な指標ですが、それだけを頼りにしてしまうことは注意が必要です。なぜなら、過去の実績が必ずしも現在の要件に適合しているとは限らないからです。

過去の実績は一つの基準に過ぎません。重要なのは、現在のスキルや知識、そして将来の活躍の可能性です。採用担当者は過去の実績だけでなく、候補者が現在どのような技術を持ち、今後どのように成長・貢献してくれるかを注視することが重要です

面接でのコミュニケーション不足

エンジニア採用においてミスマッチが発生する主な原因の一つは、採用面接中のコミュニケーションの不足です。面接では、企業文化やチームのダイナミクスなど、見えにくい要素を伝えるのは困難です。

多くの場合、採用担当者は候補者の技術的能力や過去の業績に注目し、一方で候補者は給与や職務内容のような具体的な労働条件に焦点を当てがちです。このため、企業の価値観やチームの人間関係についての理解が不十分になり、最終的にはミスマッチが生じる可能性があります。

企業情報の開示が不十分

採用時に企業が示す情報は、しばしば楽観的な内容に偏りがちです。これにより、求職者が入社前に持つ期待と実際の職場環境との間に大きな隔たりが生じ、結果として職場への不満や早期離職につながることがあります。さらに、採用プロセスにおける採用担当者の技術や業務に関する理解不足も問題となり得ます。これは、求めるスキルや経験が求人情報に適切に反映されていないことに起因し、結果的に企業のニーズと応募者の能力が一致しない状況を招く可能性があります。

この問題を解決するためには、企業が採用情報において、候補者が入社後にどのような成長やキャリアアップが期待できるかという情報を明確に提供することが求められます。

入社後の関係構築ができていない

新入社員のオンボーディングが不適切であることも、採用のミスマッチを生む要因の一つです。たとえ経験豊かなプロフェッショナルであっても、新しい職場環境に適応するのは容易ではありません。職場文化やチームのダイナミクスに慣れるためには、時間とサポートが必要です。 これを無視すると、新たに加わった社員は孤立感や不安を感じることになり、これが結果的に職場不適応や早期退職につながる可能性があります。

ミスマッチによる会社へのデメリットは?

金銭的な損失

採用プロセスにおけるミスマッチは、経済的な損失をもたらす主要な原因の一つです。特に、新しい人材が期待に応える前に退職する場合、投じた採用コストが回収できないまま無駄になってしまいます。

たとえば、株式会社マイナビの調査によると、2021年のIT分野の採用1人あたりの平均コストは約500万円とされています。これは広告費や人材紹介サービスの利用料だけでなく、採用活動に関わる内部スタッフの労力コストも含まれます。さらに、入社後の給与、福利厚生費、トレーニングコストなども加わると、早期退職による経済的損失は企業にとって大きな負担となります。

出典:株式会社マイナビ「中途採用状況調査2022年版(2021年実績)

採用活動に対してのモチベーションの低下

頻繁な社員の退職は、残された社員の仕事の負担を増やし、チームの一体感や業務の連携に悪影響を及ぼします。これは結果として、職場の全体的なモチベーションの低下に繋がり得ます。

更に、高い離職率は貴重な経験や知識の流出を意味し、組織内での効率的なノウハウの蓄積が阻害されることになります。これは長期的に見て、企業のイノベーション能力や生産性の向上に大きな障害となり得ます。

離職率の増加による企業イメージの悪化

高い離職率は企業の評判に悪影響を及ぼすことがあります。特に、インターネット上の掲示板やレビューサイトでの負のフィードバックは、企業イメージを著しく損なう可能性があります。

離職者からの否定的なコメントが広まると、将来的な採用活動にも影響を与える可能性が高まります。潜在的な応募者がこれらの情報を見て応募を敬遠するケースも少なくありません。その結果、優秀な人材を引きつけることがさらに困難になるでしょう。

ミスマッチを防ぐ7つのポイント

前述のようなミスマッチによる不利益を最小限に抑えるためには、採用プロセスを改善する必要があります。次に、採用ミスマッチを減らすための5つの重要な戦略をご紹介します。

また、エンジニア候補の能力を正確に評価する方法や、効果的な面接の進め方に関する詳細な情報は、別の記事で詳しく取り上げています。その内容も併せてご覧いただくことをお勧めします。

採用担当がエンジニアについての知識を十分に持っていること

前述の通り、採用プロセスにおいて、現場の実際のニーズと採用担当者の理解にギャップがあると、適切な人材の選定が難しくなります。

採用成功の鍵は、現場のエンジニアと採用チームが緊密に連携し、具体的な業務要件や必要な技術スキルを正確に共有することにあります。このような連携により、より適切な人材を採用することが可能になります。

求めるスキル・経験を明確にする

採用プロセスにおいては、現場が求める具体的な技術要件や経験レベルを明確にすることが極めて重要です。例えば、「○○言語での開発経験3年以上」や「○○フレームワークを使用したプロジェクト管理の経験」など、明確なスキルセットや経験年数を求人に記載することで、不適切な応募を減らし、よりマッチする候補者を惹きつけることが可能になります。

期待値調整をして価値観をすり合わせる

採用プロセスでの正直なコミュニケーションは、双方の期待値を適切に調整する上で非常に重要です。会社側が業務の難易度や職場の環境や、ネガティブであったとしても組織の課題などの現実的な情報もオープンにすることで、求職者は実際の業務内容や企業文化をより正確に理解できます。

このような透明性は、求職者が入社後に期待外れだと感じて離職されることを防ぎ、長期的な職場への適応と満足度を高めるのに役立ちます。また、企業の誠実さと信頼性をアピールすることにも繋がり、良質な人材の獲得にも寄与します。

ビジネススキルも十分に見極める

エンジニアの採用においては、技術スキルの確認だけでなく、チームワークや問題解決能力などのソフトスキルにも着目することが重要です。

面接の際には、候補者が過去に直面した問題や困難をどのように解決したか、チームメンバーやクライアントとどのように協力してきたかといった具体例を求めることで、その人のコミュニケーション能力や協調性を見極めることができます。また、プレゼンテーションや会議での発言が得意かどうかといった点も重要な判断材料となります。

現場社員やCTOにも選考に参加してもらう

エンジニアの採用では、面接過程に現場のエンジニアを参加させることが重要です。これにより、応募者の技術的な知識や経験を正確に評価することが可能になります。専門的な知見を持つ現場のエンジニアは、特定の技術やプロジェクトに関する質問を通じて、応募者の実際のスキルレベルを深く理解するのに役立ちます。

また、CTOなど実力のあるエンジニア参加してもらうことによって、応募者に対しても企業の技術的な強みや文化をより具体的に伝えることができます。これにより、応募者は自身がどのような人のもとで働けるのかをより明確にイメージでき、選考中に離脱されてしまうことも減らすことができます。

採用広報として動画や画像も活用する

エンジニア採用の際には、実際の職場の様子を映像や写真で紹介することが有効です。具体的には、オフィスの風景、チームミーティングの様子、日々の業務の様子などを映像や写真で見せることで、応募者に職場の雰囲気や企業文化をリアルに感じてもらうことができます。

また、社内のイベントや社員のインタビューを含めることで、企業が大切にしている価値観やチームの雰囲気が伝わりやすくなります。これにより、応募者は自分がその職場で働くイメージを持ちやすくなり、入社後のギャップを減らすことができます。

入社後のフォロー体制を整える

新入社員が迅速に業務に適応し、ストレスを最小限に抑えるためには、適切なオンボーディングプログラムの実施が欠かせません。このプログラムでは、初日から始まる組織の文化や業務フローの理解を促進するための指導やサポートが提供されます。 具体的には、先輩社員による一対一のメンタリング、定期的なフィードバックの機会、または新入社員同士の交流を促すイベントなどが有効です。これにより、新入社員は職場の環境や業務に迅速に適応し、長期的な成功の基盤を築くことができます。

ミスマッチが発生した時にやるべきこと3選

たとえ入念な準備をしても、ミスマッチは完全には避けられないものです。そのため、ミスマッチが発生した際の対応策を考えておくことが重要です。対応策としては、以下の3つが考えられます。

発生原因と改善施策の考案

まず最初にすべきなのは、ミスマッチの発生原因を特定することです

ミスマッチの理由を明らかにするために、関係者全員から情報を収集します。これには、採用を担当した人事担当者、関連する部署のマネージャー、さらにはそのポジションに関わったチームメンバーが含まれます。彼らからのフィードバックを集め、問題点を洗い出し、改善策を模索します。その結果を基に、今後の採用プロセスの見直しや改善策を検討し、文書化しておくことが肝要です。こうすることで、将来的なミスマッチを未然に防ぐための指針を確立することができます。

採用ターゲットの要件見直し

採用基準が現場の実情とマッチしていない場合、現場のニーズを反映させた求人要件の見直しが必要です。これには、実際の業務を行っているチームメンバーや部門の責任者から直接意見を聞くことが効果的です。また、市場における競争力を保つためには、求めるスキルセットや経験レベルに応じた適切な給与や福利厚生の提示が重要です。これにより、質の高い人材を引き付け、長期的に企業の成長を支えることができます。

採用手法の再検討

ミスマッチが継続している状況では、採用プロセスそのものの見直しが必要です。特に、リソースや経験が限られている中小企業やスタートアップでは、効果的な採用手法が確立されていない可能性があります。このような場合、外部の専門家や採用コンサルタントの意見を取り入れることで、より効率的で成果を出せる採用フローを構築することが可能です。また、成功事例や業界のベストプラクティスを学び、それらを自社の状況に合わせて適応させることも一つの方法です。

ミスマッチを防ぐなら「採用代行」の活用もおすすめ!

採用アウトソーシングは、特にエンジニアのような専門性が高い職種において、効率的な採用戦略を実現するための有力な手段です。経験豊富な専門家が採用プロセス全体を支援し、候補者の選定から面接、評価までを綿密に管理します。これにより、企業は自社のビジョンや必要なスキルセットに最も適合する候補者を見つけやすくなります。

さらに、専門的な知識を持つエージェントによる精密なスクリーニングや、業界トレンドを反映した求人広告の作成は、適切な候補者の獲得に直結します。特に中小規模の企業では、このようなサービスを利用することで、採用コストの削減や採用の成功率向上を期待できます。

本資料では、中小企業に適したエンジニア採用のベストプラクティスについて詳しく解説しています。エンジニア採用における効果的な戦略を模索している方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事を書いた人

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業責任者を担い、これまでに80社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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