ダイレクトリクルーティングの市場規模とは?新卒・中途のマーケット展望を解説 

ダイレクトリクルーティング」というアプローチは、求人媒体や人材紹介を通さず、企業が求職者に直接アプローチする方法です。この手法は近年急速に市場を拡大し、中途採用はもちろん、新卒採用においても一部上位を占めることが一般的になってきています。

ただし、ダイレクトリクルーティングには導入に際しての課題が存在します。明確な目的がないまま採用すると、期待した成果を得るのは難しいでしょう。この記事では、新卒・中途採用におけるダイレクトリクルーティングの市場規模と、優秀な人材を獲得するためのコツについて解説します。

目次

ダイレクトリクルーティングとは?

「ダイレクトリクルーティング」とは、企業が候補者個人に直接アプローチをし、求める人材をスカウトする採用手法です。通常の採用手法と異なり、求人媒体や人材紹介を介さず、企業が自ら採用活動を展開します。

この手法は「スカウト採用」とも呼ばれ、採用までの流れとしては候補者に特化したスカウトメールを送り、返信が来たらカジュアル面談を行なって、選考に進むか否かをお互いが判断し、本格的な採用選考を行って内定/採用となります。

コミュニケーションを通じて入社意欲を育んでいく必要があるため採用工数は増える傾向にありますが、希望する人材をピンポイントで採用できるため、海外企業では広く採用されています。ちなみに、「ダイレクトリクルーティング(Direct Recruiting)」という言葉は和製英語であり、海外では「ダイレクトソーシング(Direct Sourcing)」と呼ばれています。また、従来の手法との違いやおすすめサービスについては、下記の記事で詳しく解説しています。

新卒採用におけるダイレクトリクルーティングの市場規模

ダイレクトリクルーティングの市場は、新卒採用分野においても拡大しています。 新卒採用におけるダイレクトリクルーティングの市場規模について、成長率や学生側のデータ、企業の導入状況など、数値や統計を元に詳しく解説します。

ダイレクトリクルーティングの実施企業数

2022年に株式会社i-plugが発表した情報によると、新卒採用向けのダイレクトリクルーティングサービスの市場規模は、2016年から2022年度までの成長予測で、年平均58.1%のCAGR(複利年間成長率)を記録する見込みとの報告がありました。

さらに、株式会社矢野経済研究所が2021年に行った調査では、新卒採用支援サービス市場全体が拡大していることが報告されています。特に、ダイレクトリクルーティングサービスは顕著な成長を遂げており、主要な7つの分野の中で成長が見込まれる市場の一つに挙げられています。

この成長の背景には、コロナ禍でのオンライン化が進む就職活動や採用活動、採用工程の変革が挙げられています。これらの要因がダイレクトリクルーティングサービスの拡大に寄与しているようです。

【23卒最新】スカウトを受け取る学生のデータ

2022年1月に発表されたウォンテッドリー株式会社の「就職活動に関する調査」によれば、22卒の学生の94%が企業からのスカウトを受け取った経験があり、23卒では86%、24卒でも66%の学生がスカウトメッセージを受け取っていると報告されています。

特に24卒では、就活生のうち半分を超える66%もの学生がスカウトメッセージを受け取っているという状況です。このことから、新卒採用を予定する企業は学生が就職活動を開始する前からスカウトメッセージを送り、母集団形成やダイレクトリクルーティングを行っていることが読み取れます。

また、株式会社マイナビの調査によると、23卒採用において「オファー・スカウト型採用」を実施した企業は全体で10.0%と報告されています。その中で上場企業では23.6%、非上場企業では7.8%がこの手法を採用しており、特に上場企業で積極的に活用されていることが示されています。

さらに、「SNSの活用(Facebook、Twitterなど)」を実践した企業は全体で15.7%、「リファラル採用」を行った企業は7.1%でした。これらの手法をダイレクトリクルーティングに含めると、新卒採用において32.8%の企業がダイレクトリクルーティングを積極的に活用していることがわかりました。

中途採用におけるダイレクトリクルーティングの市場規模

中途採用におけるダイレクトリクルーティングの市場規模を捉えるために、企業の採用実績や年間予算などの統計データを基に情報をご紹介いたします。

複数の企業が行った中途採用におけるダイレクトリクルーティングの実績を参考に、この手法を用いた場合の採用効果や費用対効果に関するデータを整理し、市場全体の動向についてお伝えいたします。

平均採用人数

マイナビの2022年版中途採用状況調査(2021年実績)によれば、1,400人の人事担当者を対象にした調査結果が報告されています。

このレポートによれば、中途採用において、「ダイレクトリクルーティング」が平均採用人数のTOP4に位置しています。転職サイトや企業ホームページ、合同企業説明会に次いで、ダイレクトリクルーティングが主要な採用手法として使われていることが示されています。

調査では、ダイレクトリクルーティングを利用する企業の満足度も高く、66.2%に達しています。これらの結果から、ダイレクトリクルーティングは中途採用において一般的で定着している手法として捉えられるでしょう。

各企業の平均年間予算

同調査において、企業が採用手法ごとに設定している年間予算が明らかにされています。ダイレクトリクルーティングに関しては、2021年において企業全体での平均年間予算は163.2万円でした。

企業の従業員規模ごとに見ると、1001名以上の企業が最も多くの予算を設定しており、平均278.0万円が投じられていました。また、業種別に注目すると、IT・通信・インターネット関連の企業が平均218.1万円の予算を持っており、特に際立っています。

エリア別の視点からは、首都圏が平均207.9万円と最も高額の予算を確保しています。このことから、中途採用におけるダイレクトリクルーティングは首都圏に拠点を置くIT系の大企業において、より活発に行われていることが伺えます。

エンジニア採用におけるダイレクトリクルーティングの実施率

転職サイトtype(タイプ)の実施した「中途採用活動状況アンケート調査」によると、2022年度に採用活動を実施・予定している企業の中で、32%がダイレクトリクルーティングを積極的に活用していることが明らかになりました。

さらに、この調査によれば、「リファラル(知人紹介)」が33%、「SNS」が18%と報告され、これらを含めると合計83%の企業が何らかの形でダイレクトリクルーティングを実施していることが分かります。 このデータを見ると、求人サイトや人材紹介を上回る規模でダイレクトリクルーティングが活用されており、特にエンジニア採用においてはその効果が顕著であると言えるでしょう。

ダイレクトリクルーティングの市場規模が拡大する背景

これまで多岐にわたる統計を通じてダイレクトリクルーティングの市場規模を解説してきましたが、新卒・中途採用の両方において、多くの企業がダイレクトリクルーティングを導入していることが明らかになりました。

ダイレクトリクルーティングを活用することで、通常の転職市場に出てこない潜在的な転職希望者にアプローチできる他、知名度が低く予算が限られている企業でも優秀な人材を集めることができます。 売り手市場の流れや働き方改革の進展などを考えると、今後もダイレクトリクルーティングを取り入れる企業は増えていくことが見込まれます。

ただし、ダイレクトリクルーティングにはいくつかの課題も存在しますが、これらを解決するためのツールや支援サービスも進化を遂げています。 これらのツールやサービスを活用し、ダイレクトリクルーティングのデメリットを克服することで、市場は一層拡大していくでしょう。

そのため、ダイレクトリクルーティングを導入検討している方々には、できるだけ早めに採用チャネルに導入し、採用戦略を積極的に構築していくことをお勧めします。

ダイレクトリクルーティングのデメリット

次は、ダイレクトリクルーティングにまつわる問題点や課題、そしてそれらを解決する方法についてお話ししましょう。 当社は2015年の設立以来、ダイレクト採用のサポートを行ってまいりました。これまでの知見やノウハウを基に、ダイレクトリクルーティングに関するマイナス面とその克服策について率直にお伝えします。

一般的かつ自社用のノウハウが必要になる

ダイレクトリクルーティングは即効性が期待できる手法ではなく、中長期的なPDCAサイクルを回しながら着実にノウハウを蓄積していくことで、最大の効果を発揮します。そのため、人手不足に直面している企業にとっては即時の解決策とは言えず、また、人事部門がリソース不足の企業にも向いていない手法です。

派遣などの大量採用をするのは難しい

ダイレクトリクルーティングは、候補者との密なコミュニケーションを重視するため、数百名規模の大量採用には適していません。特に、上流ポジションでの採用に向いており、高度なスキルや経験が求められる場合に有効です。そのため、大規模採用ではなく、限られたポジションに絞ったり、従来の採用手法と組み合わせたりすることで、ダイレクトリクルーティングを効果的に活用することが重要です。

採用リソースが必要になる

ダイレクトリクルーティングは他の採用手法と比べ、採用工数が多いことが最大の課題とされています。候補者ごとにスカウトメールをカスタマイズしたり、面接日程の調整や入社意欲の喚起など、多岐にわたる作業が必要です。これは人事担当者の負担を増やす要因になります。

多くの候補者を抱える場合、人事担当者の負担はさらに増えます。スカウトメールの利用や候補者とのコミュニケーションを簡略化しても、優秀な人材を確保することが難しくなります。適切なノウハウや労力を投入すれば、ダイレクトリクルーティングは最小限のコストで質の高い人材を採用できますが、人手不足は大きな課題でした。

ただし、このような課題は、ダイレクトリクルーティングの代行や支援サービスの登場によって解消されつつあります。これらのサービスを利用すれば、専門家の助言を得て戦略を立て、ITを活用した実行支援やサポートを受けることができます。さらに、人事担当者の負担を減らすための代行やスカウトメールの文例提供など、工数を削減できるサービスもあります。

ダイレクトリクルーティングの市場拡大に取り残されないように注意!

ダイレクトリクルーティングの市場規模は、新卒・中途採用の両方で急速に拡大しており、高い成長率や実施割合が報告されています。さらに、一部の企業ではこれに高額な予算を投じています。

近年、ダイレクトリクルーティングの課題を解決するための専用ツールや支援サービスが登場し、その需要は一層高まっています。このトレンドは今後も続くと見込まれるため、ダイレクトリクルーティングを検討している企業は積極的に導入し、ノウハウを着実に蓄積することが重要です。

当社でも新卒・中途向けのダイレクト採用支援を提供しています。お気軽にご相談いただければ、代行やサポートをご案内いたします。

ダイレクトリクルーティングをまだ導入していない方も、導入していてもっと高い結果を目指したい方も、ぜひお気軽にご連絡ください。

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この記事を書いた人

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業責任者を担い、これまでに80社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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