ダイレクトリクルーティングとエージェントの違いとは?各特徴やメリット・デメリットについて解説

エージェント(人材紹介)とダイレクトリクルーティングは、定番の採用手法として、近年導入する企業が増えています。しかし、これらの使い分けやそれぞれのメリット・デメリットについて十分に理解している企業はまだ少ないです。

本記事では、両者の特徴を解説し、どのような企業に適しているかをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

目次

ダイレクトリクルーティングとは?

ダイレクトリクルーティングとは、企業がターゲットとしている人材に積極的にアプローチする「攻め」の採用手法です。

従来の採用手法は、求人を出して候補者から応募を待つスタイルでしたが、労働人口の減少や売り手市場が続き、転職潜在層に対しても積極的なアプローチが求められるようになりました。

そのため、「ダイレクトリクルーティング」は企業が能動的にアプローチし、自社に最適な人材を引き寄せる手法として主流となっています。この手法は中途だけでなく、新卒採用でも広く活用されています。

ダイレクトリクルーティングが注目された背景

少子高齢化の影響で、労働人口の減少が進み、優秀な人材を獲得することが困難となっています。この影響から候補者のアクションを待つ手法ですと、応募どころか母集団形成も困難なため、企業から積極的にアプローチする攻めの採用手法が注目されるようになりました。

また、企業は人材確保のため、人材紹介や求人広告などを活用していましたが、人材紹介では理論年収の30%程度を紹介料として支払わなければならないので、一名採用するのにかかるコストが高いです。 一方、ダイレクトリクルーティングは、第三者に支払うコストが発生しないことから、採用においてかなりのコスト削減が期待できます。

このように様々なメリットをもたらすことから、ダイレクトリクルーティングは注目されるようになりました。

ダイレクトリクルーティングとエージェントの違いとは?

続いてダイレクトリクルーティングとエージェントの違いについて説明してまいります。

コスト

一名あたりの採用単価が異なります。ダイレクトリクルーティングの場合、月額制と成功報酬型があり、月額制だと契約期間内に何名採用しても追加の費用が発生しません。一方の成功報酬型は理論年収の25~40%発生し、候補者の年収が高ければ高いほど、費用が高くなってしまいます。

コストの大きさだけで見ると、エージェントの方が損していると感じやすいですが、ダイレクトリクルーティングは採用の可否に関わらず、媒体のコストが発生してしまいます。そのため、仮に契約期間内に採用ができなかった場合は媒体の費用が無駄になってしまうのです。

エージェントは成果が出た際のみコスト発生するので、金銭的なリスクを減らしたい企業には適しています。

人事の負担量

ダイレクトリクルーティングの場合ですと、求人票の作成からスカウト送付、こまめなブラッシュアップなど、人事ひとりあたりの負担が多いです。特に最近のスカウトはパーソナライズ化が当たり前に求められるため、スカウト作成に非常に工数がかかります。

一方のエージェントは企業の採用したいターゲット像を事前にヒアリングし、その条件にマッチした候補者を紹介してくれるため、スカウトの手間がかかりません。

ただ最近は、競争率の高い職種(エンジニアやCxOクラス)ですと、エージェントコントロールの手間がかかることが多いので、営業力の高い人事担当者がフロントに立つといいでしょう。

ダイレクトリクルーティングが適している企業の特徴

ダイレクトリクルーティングにマッチしている企業の特徴を見ていきましょう。

採用コストを抑えたい

ダイレクトリクルーティングは、基本的に媒体の利用料しか出費が発生しないため、採用コストを抑えたい企業には非常に適しています。

料金体系には様々な種類があり、

・月額制
・初期費用+成功報酬
・成功報酬のみ
・利用料+成功報酬

など、媒体によって異なるのも特徴です。そのため自社の経済状況に合わせて、適した料金体系の媒体を選ぶことが可能です。

採用にコストを割けない企業は、まず月額制の媒体から利用するのを推奨します。おすすめの媒体は下記の記事を参考にしてみてください。

自社で採用のノウハウを構築したい

人材紹介や求人広告に依存した採用ですと、ノウハウが蓄積しづらく、急に他手法に切り替えたときに、成果が出づらい傾向にあります。

一方でダイレクトリクルーティングは、自社の”見せ方”をPDCAを回しながら確立させることができるため、どの手法を利用しても応用を効かせることができます。運用が軌道に乗るまで時間がかかってしまいますが、今後自社で採用を内製化させたい企業はダイレクトリクルーティングを活用することを推奨します。

転職潜在層にアプローチできる

転職市場の7割が潜在層と言われていますが、ダイレクトリクルーティングはこの潜在層にアプローチすることができます。潜在層とは「転職を視野に入れているけど、急いでいない」人を指し、特にダイレクトリクルーティングには、このような思考性の人がたくさん登録しています。

実際にスカウトメールがきっかけで興味を持ち、内定に至った候補者も多く存在します。アプローチの幅を広げたい企業は、活用してみることを推奨します。

大量採用したい

月額制のダイレクトリクルーティングは、期間内に何名採用しても成功報酬がかからないため、大量採用したい企業に適しています。

代表として挙げられるのは、共感の採用を謳っている「Wantedly」や、潜在層のエンジニアにアプローチできる「LAPRAS」などがあります。

運用次第で結果が異なりますが、各媒体の特徴やアルゴリズムを理解し、自社に適した媒体選定を行うことでしっかり結果がついてくるでしょう。

採用広報と並行できる

昨今の採用市場は売り手市場が続いていることから、マーケティング視点を取り入れて採用活動を行う必要があります。具体的には採用ピッチ資料やテックブログなどがあります。

左右用広報が注目されている昨今ですが、最近のダイレクトリクルーティングは、採用広報の機能が備わっている媒体が多いため、広報と並行して採用活動を行うことができます。

具体的には社員インタビューやプロダクトに対する想いなど、候補者が興味を惹きそうなコンテンツを作成することが重要です。知名度が低い企業でも広報きっかけで優秀な人材を採用することができるため、まだの企業は始めましょう。

エージェントが適している企業の特徴

続いて人材紹介に適している企業について見ていきましょう。

工数をかけずに採用したい

エージェントを利用することで、人事の工数を半分以上削減して優秀な人材を採用することが可能です。

ダイレクトリクルーティングは母集団を形成するまでに、「求人票の作成」「スカウト送付」「各設定項目のブラッシュアップ」「候補者の一次対応」など、膨大な工数がかかりますが、一方の人材紹介はエージェントがこのような工数を全て負担してくれます。

採用目標人数に対して人事のリソースがどれくらい余っているか把握し、その上でリソースが足りないと判断した企業は、エージェントを導入することを推奨いたします。

金銭的リスクを減らしたい

企業は「優秀な人材であればいつでも採用したい」という考えを持っており、そのためには通年で採用活動を進める必要があります。しかし、媒体を利用する場合、採用期間中はずっとコストがかかってしまうため、金銭的負担が大きいです。

一方で、転職エージェントは、採用が成立した際に初めてコストがかかる成功報酬型です。これにより、企業は通年採用を行う場合でも、必要時以外にコストが発生しないため、金銭的リスクを減らすことができます。

求人を非公開にしたい

人材紹介は求人を非公開にしながら採用を進めることができます。

たとえば、同業他社に自社の内情や採用動向を漏らしたくない場合や、社内で採用活動を進めつつも、まだ公にはしていないことを知られたくない場合があります。

上記のような懸念を抱えている場合でも、転職エージェントは、企業名を非公開にして採用を進めることが可能です。

スピード感持って人材を採用したい

人材紹介は、転職に対して前向きな顕在層が多いため、双方の条件がマッチすれば、内定までスピード感持って採用を行うことができます。

また、エージェントがこまめに求職者とコミュニケーションとるケアも行っているため、候補者の途中離脱を最小限に抑えることができます。ただし、エージェント次第で紹介してもらえる人材の質が低かったり、信頼関係を築けていないと紹介される優先順位が後回しなってしまうので、エージェントコントロールも重要になります。

ミスマッチや面接辞退のリスクを減らすことができる

スキルがマッチしていても、カルチャーマッチしていない場合は、早期離職につながる可能性があります。しかし、エージェントは候補者と企業どちらの希望も、面談を通じてヒアリングするため、ミスマッチを最大限に減らすことが可能です。

同時に、有力な候補者がいた場合でも、条件面やその他の微調整が難しいことがあります。このようなケースで転職エージェントが介入することで、双方の要望を客観的に評価し、マッチングを円滑に進めるお手伝いをしてくれます。

選考プロセスや交渉の段階で、きめ細やかなサポートを得ることで、本当に価値のある人材を確実に採用できる可能性が高まります。

結論:それぞれのメリット・デメリットを考慮し、自社に合うものを使う

効果的な採用を行うためには、「人事のリソース」「採用にかけられる予算」「採用のスピード感」など、さまざまな要素から、採用手法を選定する必要があります。

現在ダイレクトリクルーティングとエージェントを並行して活用している企業が多いと思いますが、蓋を開けてみると、どちらか一方の手法でも十分な場合もあります。または、採用にかけられる予算がないのに、エージェント経由の採用に依存している企業は、コスト削減のためにもダイレクトリクルーティングを活用するべきでしょう。

このように各々のメリットデメリットを考慮し、自社に適した採用手法を用いることが重要です。

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この記事の監修者

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業部長を担い、これまでに150社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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