カジュアル面談とは?流れや聞くべき質問について解説

近年、多くの企業でカジュアル面談が採用されるようになっています。

主に選考の前や、状況に応じて選考中にも行われるカジュアル面談は、中途採用を中心に行われていましたが、最近では新卒採用でも導入される企業が増えています。

回はカジュアル面談の概要や、一般選考との違い、準備事項、当日の流れ、質問集などについて詳しく解説します。

カジュアル面談サービスの代表が語る

効果が出るカジュアル面談の方法とは

目次

カジュアル面談とは?

カジュアル面談とは、社員と候補者がフラットな場を通じてコミュニケーションをとり、お互いの理解を深める場です。

選考の一環として行われるカジュアル面談は、面談を通じて候補者の興味を惹かせることが可能で、元々が転職に対して前向きでなかった潜在層の候補者が入社した実績も多数あります。

本格的な選考前に行うことで、両者がお互いにフィットするかどうかを探る貴重な機会であり、面談を通じて参加者が自社に対する好感度を高め、応募数を増やすことも重要な目的となります。

カジュアル面談が増えている理由

近年、カジュアル面談が増加している背景には、人材確保や採用の難しさが挙げられます。従来の採用手法ではなく、新しいアプローチが求められるようになっています。

企業の中には、「面接では求める人材像との適合性を感じたが、実際には異なる」という経験を持つところもあります。厳しいビジネス環境の中で、自社に適合しない人材を雇い続ける余裕はなくなりつつあります。同時に、人材を見極める難しさに直面する人事部門の課題も浮き彫りになっています。こうした状況から、従来の面接に代わる新たな手法への需要が高まり、カジュアル面談が受け入れられていると考えられます。

カジュアル面談の実施状況

出典:株式会社学情 20代の働き方研究所

株式会社学情の調査によると、カジュアル面談を実施している企業は2023年において、約30%となっており、「実施を検討している」企業、「以前実施をしたことがある」企業を含むと、約60%を占めます。

上記のデータをもとに、カジュアル面談は主に中途採用において多くの企業が行なっていることが分かります。

カジュアル面談と本選考の違い

カジュアル面談と通常の選考には明確な違いがあります。どんな違いがあるか見てきましょう。

カジュアル面談採用面接
目的相互理解を深める場   採用の合否を判断する場
選考なしあり
服装自由スーツまたはオフィスカジュアル
提出書類なし履歴書・職務経歴書
(ポートフォリオ)
候補者の考え  応募の判断材料入社を前向きに検討している

面接の詳しい解説については、下記の記事をご覧ください。

選考の合否に関係ない

カジュアル面談は選考の合否に関係ないので、普通の選考よりも堅くないです。選考に入る前に疑問点などを解消する場として、候補者が質問することが多いです。

また、対応な立場でコミュニケーションを取ることが重要です。

よくカジュアル面談を選考の一つと捉え、志望動機や転職しようと思ったきっかけを聞く企業が多いですが、選考のような質問をしてしまうと候補者が離脱してしまったり、口コミサイトでネガティブな投稿をされる可能性があります。

服装自由

カジュアル面談は、候補者に対して服装に制限を設けないことがほとんどです。逆も然り、企業側もフラットな服装で参加することが多いです。

ただし服装自由とはいえ、カジュアルすぎると企業のイメージが崩れてしまう可能性があるので、オフィスカジュアルを意識するといいでしょう。

書類提出不要

履歴書や職務経歴書の提出が不要です。書類作成は候補者にとっていちばんの手間となる部分なので、もし書類提出を求めてしまうと、カジュアル面談の参加率が下がるでしょう。

ただ、エンジニアやデザイナー職は、カジュアル面談の段階でポートフォリオを提出することが多く、他の職種とはイレギュラーなやり方です。

カジュアル面談の目的とゴール

カジュアル面談を行う目的は主に三つあります。目的を把握すると効率よく行うことができるので、なぜカジュアル面談を行うのかしっかり把握しておきましょう。

候補者の選考のハードルを下げることができる

通常の選考ですと「書類選考→面接(1~3回)→最終選考→内定」の流れですが、書類選考は各企業の志望動機やこれまでの職歴を言語化してまとめないといけないので、候補者からした大きな手間につながります。

しかし、カジュアル面談は書類提出を必須としていないので、候補者は気になる企業に積極的に応募することができるのです。候補者の選考ハードルを下げることで、企業は顕在層だけでなく、潜在層にも出会えるなど、アプローチの幅を広げることが可能です。

入社後のミスマッチを防ぐ

選考前にコミュニケーションをとり相互理解を深めることで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

求人媒体で事業内容を詳細に書いたとしても、文章で伝えるのと、口頭で伝えるのでは伝わり方異なります。また、サイトには載せきれなかった情報を包み隠さず伝えることができるので、よりリアルな情報を知ってもらうことができます。

近年、動画やSNSで自社をアピールしてる企業が増えていますが、カジュアル面談は個人の疑問や不安点を払拭してくれる場なので、ミスマッチを防ぐ有効な手段でしょう。

転職潜在層へアプローチできる

カジュアル面談はアプローチの幅を増やすことができるので、転職潜在層へのアプローチ手法として非常に有効的です。

前述にもある通り、カジュアル面談をとおさず最初から一般選考を行なってしまうと、本当に自社を志望している候補者にしか会うことができません。一方のカジュアル面談は”興味”の段階で接触する機会を作ることができるので、潜在層にもアプローチすることができます。

アプローチの幅を広げたい企業は、カジュアル面談を導入しましょう。

カジュアル面談のメリット

求職者側のメリット

まず求職者のメリットから解説します。求職者の立場も理解することで、より求職者に寄り添ったカジュアル面談を実施することができます。

企業の理解が深まる

まず、カジュアル面談を行うことで求人票だけでは理解しきれなかった部分まで理解することができます。具体的には社員の雰囲気や、企業が目指しているビジョン、入社後のキャリアパスなど「実際の社員から聞くこと」でより働く際のイメージが湧きやすくなります。

また、本選考では聞きづらい給与や待遇の質問も、カジュアル面談ではフラットに聞くことができるので、選考の後半になって「条件面が合わずにやむを得ず辞退する」という問題を回避することができます。

最終的に応募しなくても有益な情報を聞くことができる

求職者側からすると、最終的に選考に至らなくても、カジュアル面談を通して有益な情報を得ることができます。

ほとんどの候補者が同じ業界を複数社受けるケースが多いので、業界の市場感や現状、これからどんな人材が必要とされるかなど、自身が志望している業界の有益な情報を聞ける可能性があります。

企業側のメリット

潜在層の求職者を採用することができる

前半で解説したように、カジュアル面談はまだ潜在層の人材にアプローチすることができます。転職市場の7割以上が潜在層である転職市場において、現在行動している顕在層だけにアプローチしてしまうと、採用ターゲットがかなり少なく、遠回りな採用になってしまいます。

しかしカジュアル面談では、潜在層にもカジュアルにアプローチできるため、採用担当者の面接次第で候補者のグリップを握り、本選考につなげることができます。

採用のミスマッチを防げる

本選考では、候補者は緊張して思っていることをうまく伝えられなかったり、採用担当者も自社を良く見せようと事実よりも話を膨らませて伝えてしまうことがあると思います。

このようなことが起こると、会話の中でお互いの期待値がズレてしまい、入社後のギャップが発生して早期離職につながってしまいます。または、うまくカルチャーマッチせず社内の空気を乱してしまう可能性があります。

上記のようなミスマッチを防げるのが、まさにカジュアル面談なのです。企業と候補者の間でのフラットなコミュニケーションを通じてお互いが本音ベースで会話をすることによって候補者の本音の部分を聞きましょう。

副業として活躍してもらえる

候補者の転職時期が今すぐではなかった場合でも、副業として雇用できる可能性があります。

副業として一度入社してもらうことで、候補者が正社員としての転職を考えた時に、自社を志望してくれる可能性が高くなります。

実際に弊社のクライアント企業様でも副業から正社員になった方も多いので、優秀な人材は正社員にこだわらず副業として”まず一緒に働く”というところから進めていくのもおすすめです。

カジュアル面談のデメリット

カジュアル面談のデメリットに関しても解説します。

カジュアル面談を行うにあたって、カジュアル面談を行う社員の確保、候補者への準備資料の準備を行う必要があり、多くの工数が必要なものになります。そのため、企業側にとって大きい負担となります。その点はデメリットとして考えられるでしょう。

カジュアル面談の注意点

カジュアル面談を行うにあたって気をつけなければならない点がいくつかあります。カジュアル面談の注意点について詳しく解説します。

選考にならないようにする

カジュアル面談は、選考の前段階であり企業と候補者間での相互理解を目的にしているため、志望動機など選考に関わる内容はなるべく聞かないようにしましょう。候補者はその点で「面談という名目で来たのに選考が始まっている」と感じ、企業に対して悪い印象を持ってしまうかもしれません。

自社のリアルな状況を伝える

カジュアル面談では、候補者は企業への理解を求めています。良い点ばかりを強調してしまうと、入社後のミスマッチを引き起こしてしまうかもしれません。また、不足している点など課題点を伝えることで、むしろ企業への信頼度が増すと考えられます。

選考に繋げることを目的とした事前準備を行う

カジュアル面談を行う前に、SNSや求人サイトの情報など、候補者について得られる情報はなるべくすべて押さえておきましょう。「ただの面談」と思ってフランクに臨むのではなく、話す内容をまとめて、候補者に合ったカジュアル面談を実施できるようにすると企業への印象アップにつながり自社への志望度も高めることが出来ます。

カジュアル面談の事前準備

会社概要や採用ピッチ資料を共有しておく

面接時間を有意義に送るために、会社概要や採用ピッチ資料は事前に共有しておくことがおすすめです。

事前に自社の資料を共有することで、形式的になりがちな企業説明の時間を省略できるだけでなく、事前に見た内容をもとに候補者から質問をしてもらえるので、双方にとってより有意義な時間にすることができます。

企業HPや採用ピッチ資料の他にも「社員インタビュー記事」や「他社に取り上げてもらった記事」など、採用広報にまつわる資料を共有するのもおすすめです。

候補者をアトラクトする採用ピッチ資料については、実際の弊社の事例をもとに作成した下の記事もぜひご覧ください。

現場の社員に同席を依頼する

現場の社員に同席を依頼することで、より中身の濃い具体的な会話をすることができます。

特に、エンジニアなどの専門職の場合は、ITにおける専門的な知識が必要なため、人事が把握できる情報は限界があります。そういった場合に現場のエンジニアメンバーが同席することで、開発環境やプロダクトについてなど、より詳細なテーマで会話をすることができます。

候補者にとっても、現場のメンバーと話ができることによって、一緒に働く人のイメージがしやすかったり、同席するエンジニアが優秀である場合はその人に憧れて応募をしてもらえる可能性もあります。

候補者への質問を用意しておく

場をスムーズに回すために、事前に候補者への質問を用意しておきましょう。

ただ、緻密に質問を決めてしまうと、形式ばった面談になってしまうので、必要最低限の質問をピックするといいでしょう。残りの質問は候補者の回答次第で深堀りながら質問を膨らませていくことをお勧めします。

カジュアル面談の流れ

続いてカジュアル面談の流れについて解説します。あくまでも見本なので、自社が一番やりやすいやり方を模索しましょう。

自己紹介

ますは、双方の自己紹介から始めましょう。

フラットな場であっても、候補者は緊張していることが多いので、採用担当者がリードするように自己紹介を始めるといいでしょう。参加者がリラックスできるように、あえて選考とは関係ない趣味や、自分の経歴を話すと候補者の緊張がほぐれやすいです。

たかが自己紹介ですが、ここで候補者の緊張をほぐせると、後から本音ベースで会話ができるので慎重に行いましょう。

 カジュアル面談の目的を伝える

「選考とは関係ない相互理解の場」であることををはっきり伝えましょう。

この一言があるかないかで、候補者の緊張感や質問内容が変わります。また、カジュアル面談を初めて経験する候補者は特にカジュアル面談を「選考の一部」であると考えている場合が多いので、改めて最初に選考とは関係ないということと、カジュアル面談を行う背景を伝えることが大切です。

候補者の現状をヒアリングする

次に、候補者の現状を把握しましょう。

参加者ごとに「なぜ選考に参加したのか」という目的が異なります。本格的に転職活動をしていて情報収集をしている人もいれば、まだ転職は考えていないがなんとなく気になったから参加したなど、人によって様々な状況があります。

そのため、参加者一人ひとりに「カジュアル面談に参加してくれた理由」を聞いてみましょう。この参加目的で副業人材として選考を進める可能性もありますし、あるいはすでに内定をもらっている候補者の場合は、選考フローを短縮して進める可能性もあります。

今後の選考をより効果的に進めるためにもぜひ最初に聞いてみてください。

自社の魅力をアピール

一通り基本的な質問が終わったら自社の魅力や強みを伝えましょう。

業務内容、プロダクトの特長、入社後のキャリアパス、労働条件、企業文化、将来の事業計画など、候補者のニーズに応じて自社の魅力をアピールすることが重要です。

説明中は疑問や不明点があるかどうかをこまめに確認し、参加者の反応に応じて説明内容を変えていきましょう。一見企業説明と似ていますが、カジュアル面談では対個人に対して自社をアピールするので、候補者のニーズを汲み取ることが重要です。

この訴求方法によって応募してもらえるかどうかが分かれるといっても過言ではないくらい需要な部分なので、適切に魅力を伝えて候補者のグリップを握りましょう。

候補者からの質問に対応

候補者の不安や疑問点が残らないよう、逆質問の時間を確保しましょう。

カジュアル面談は「お互いの意見や条件を本音ベースで擦り合わせる場」なので、本選考に移る前に候補者からの不明点もこの逆質問の段階で解消しておきましょう。

しかし、いくらカジュアルな場であることを伝えていても給与や条件のことを質問しづらい人も少なくありません。そこで、「こんな部分も気になっていないですか?」などと面談担当者の方から候補者の質問を引き出すようサポートすると親切です。

次のステップの案内をする

面談後、選考に進んでほしい参加者には、その日のうちに選考に進んで欲しい意思を伝えて、応募の手順や選考スケジュールに関して共有しましょう。カジュアル面談直後は候補者の温度感も上がっているので、当日中に案内することで前向きな返答をもらいやすいです。

もし、前向きに検討できない候補者に関しては、お礼だけ伝えて合否に関する連絡はしないことがポイントです。候補者も選考に関係ないと認識しているため、勝手に合否判断を下されてしまうと、逆に不快にさせてしまう可能性があります。

カジュアル面談で聞くべき質問

カジュアル面談で聞くべき質問内容について解説します。

カジュアル面談がいくら合否に関係ないとはいえ、今後の選考に進ませるかどうかの判断材料は集めなければいけません。ただ、あまりにもダイレクトに聞いてしまうと、いかにも選考っぽくなってしまうので注意しましょう。

候補者の経歴

自社が募集しているポジションにマッチしているか確かめるために、候補者の経歴を聞きましょう。

単刀直入に経歴を聞いてしまうと、面接のような堅い雰囲気が出てしまうので、面談が盛り上がったタイミングで「これまで仕事をしてきた中で最もやりがいに感じた部分」などを聞くと、自然に経歴を知ることができます。

なるべくレジュメやプロフィールに記載のない経験/スキルを引き出せるように意識しましょう。

転職活動の状況

候補者の転職状況に応じて、企業は取るべきアクションが変わるので、現状をヒアリングしましょう。

もし候補者が離職中や1ヶ月以内の転職を考えている場合は、自社を候補として検討してくれている可能性が高いので、もし短期間での転職を希望している場合は、カジュアル面談後の本選考へ案内するなどして、積極的にアプローチをかけましょう。

転職活動の軸

候補者が転職において何を重視して企業選びをしているのか聞きましょう。転職の軸を聞くことで、他者負けしないよう事前に対策を打つことができます。

例えば年収を軸としている場合、他社よりも高い金額で年収提示をしたり、ストックオプションの譲渡など、候補者が自社を選んでくれるように対策を打つことができます。

複数の企業から内定をもらった際には、転職の軸を最優先に選ぶことが多いので、必ず採用したい候補者はカジュアル面談の時点で聞いておくといいでしょう。

まとめ

今回は、カジュアル面談の重要性と成功させるためのポイントについて解説しました。

採用市場の変化により、優れた人材の獲得はますます困難になっていますが、カジュアル面談の導入により、候補者の応募のハードルを下げ、さまざまな人材と出会う機会を増やすことができます。

また、相互理解を深めることで、入社後のミスマッチを最大限に減らせるなど、企業にとっても非常にメリットのある制度です。面談するリソースがない企業は、人事代行を導入してみるのもいいでしょう。

まだカジュアル面談を導入していない企業や、導入しているけど効果を感じられない企業は、本記事を参考にしてみてください。

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この記事の監修者

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業部長を担い、これまでに150社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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