未経験人材を採用するメリットとは?成功のコツや採用手法について解説

経験者の採用競争が激しくなり、優秀な人材ほど待遇の要望が高くなる中、多くの企業が未経験者の採用を考えるようになっています。しかしながら、未経験者を採用する際の教育体制の準備不足や、適切なポジションがないと、早期退職に繋がったり、業務に適応できないという問題が浮上します。

未経験者の採用を成功させるためには、適切な受け入れ体制の構築や、ポジション設定などが欠かせません。

この記事では、未経験者採用のメリットとデメリット、そして採用を成功させるコツについて詳しく解説していきます。

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目次

未経験採用の現状とは?

少子化による若年層の労働人口の減少が原因で、採用に課題を抱えている企業が増加しています。

厚生労働省によると、15〜34歳の労働人口が2007年の30.4%から2017年には25.5%に減少しています※1。この傾向は今後も続く見込みで、人口そのものが減少しています。さらに、新卒者の離職率も高まっており、卒業後3年以内に離職する者の割合が中学卒で約6割、高校卒で約4割、大学卒で約3割となっています。特に、1年以内の離職率が著しく高い傾向です。

未経験者の採用は困難を伴いますが、中長期的な企業の成長にとって不可欠です。というのも、未経験者はまだ一つの企業に染まっておらず、柔軟性や吸収力が高い傾向にあるからです。

そのため、採用市場では人気がありますが、母数がそこまで多くありません。また、若年層の労働観の変化から、「ここで働きたい」と思わせるような、魅力発信をする必要があります。

未経験者の採用を促進するためには、「選ぶ」ではなく、「選ばれる」ような企業作りを行いましょう。

未経験の種類

未経験採用は、職種の経験がない人もいれば、業界の経験がない人もいます。「未経験・職種未経験・業界未経験」について解説していきます。

ビジネススキル全般が未経験である

「ビジネススキル全般が未経験である人」というのは、そもそもこれまで正社員として働いた経験がない人や、アルバイトなどでほとんど就業経験がない人のこと指します。

このように完全未経験の方は、入社後に基本的なことから教える必要があり、新卒採用と同じくらい時間とコストがかかります。一方で、前職でのやり方に染まっていないため、自社のカルチャーにマッチしやすく、大きく成長する可能性もあります。

若干教育面のコストがありますが、それ以上にポテンシャルが高い人材も多いのが特徴です。

業界において未経験で知識がない

業界未経験者とは、異業種からの転職でありながら、応募した職種での経験がある人材を指します。業界が未経験でも、一定の業界知識さえ身につければ、即戦力として期待することができます。

職種未経験者と業界未経験者の共通点は、新しい職種や業界に挑戦しようとする積極性です。そのため、入社直後は前向きで意欲的な姿勢が見られます。また、未経験での転職が多いことから、失敗や挫折にめげず、成長に向けて努力する姿勢があります。

これまでの経験を生かして業務改善に取り組んだり、新しいアイデアを提案したりと、会社に新たな視点をもたらす可能性があります。

職種において未経験でスキルがない

職種未経験者とは、応募した職種での実務経験はないものの、同じ業界で働いた経験がある人材を指します。業界や職種については一定の知識を有しており、職種は違えど完全未経験よりは適応力が高いです。

また、同業界で働いている場合、違う部署に移動となっても適応が早い傾向にあります。中には、スキルから判断し、応募した時と違うポジションに配属された方もいます。

育成期間も比較的短いため、早い段階で業務に貢献できる可能性が高いです。

未経験者採用のメリット

未経験人材を採用するメリットについて解説します。

ポテンシャルの高い人材と出会うことができる

未経験者には、経験者に比べて成長意欲が高く、ポテンシャルを秘めた人材(=ポテンシャル人材)が多い傾向があります。
適切な学びの機会とチャレンジの場を提供すれば、短期間で驚くほどの成長を遂げる人も珍しくありません。

また、未経験者の謙虚で積極的な姿勢は、既存の社員に刺激を与え、組織全体に活気をもたらす効果が期待できます。特にベンチャーだと、士気の高い方が入社することで、事業の発展にもつながるため、ポテンシャル人材を積極的に採用していることが多いです。

年収などの待遇が弱くても採用しやすい

未経験者採用の大きなメリットは、年収などの待遇が弱くても採用しやすいという点です。

特にIT系の専門職を必要とするSES企業や、とにかく人の流れが激しい不動産、人材業界であれば年収などの条件を下げつつ、かつ比較的多くの人材をすぐに採用できるのはかなり魅力的なのではないでしょうか。

未経験人材はとにかく「自分に合った職に就くことが第一優先」なので、待遇や条件よりも仕事のやりがいや将来性などが重視されます。

組織に新しい流れをもたらすことができる

未経験や若手の人材を採用せずにある程度の期間が過ぎてしまうと、その業界や職種に対して固定概念を持った人の集まりのような組織になってしまいます。

よく言えば全員の視座や目線が同じで、価値観も似ていてい仕事が進めやすいですが、新たな発見やアイディアが浮かびづらくなってしまいがちです。そこで未経験者を採用することで、新しい視点での意見や発見がうまれ、組織にとっていい刺激になるというメリットがあります。

未経験者採用のデメリット

続いて未経験採用のデメリットについて解説します。

教育に時間とコストがかかる

未経験者は業界や職種の知識がないため、教育に一定の時間やコストがかかってしまします。もしここの教育体制が不十分ですと、社員の早期離職につながってしまいます。

そのため、未経験者採用を検討する際には、教育に必要な期間とそれに対応する社員のリソースが欠かせません。未経験者が知識や技能の獲得に必要な時間を事前に見積もることが重要です。

また、いきなり現場に馴染ませるのではなく、基本的な知識を身に付けたうえで、徐々に実務経験を積ませると、スムーズに研修を行うことができるでしょう。

前職と比較されてしまう

未経験者であっても、以前の職場での経験がある場合、前の仕事に関する慣習や考え方から抜け出せないケースもあります。

「未経験」というだけで、新しい環境に順応しやすいとは限りません。これは他の社員のモチベーションの低下につながり、組織に否定的な影響を及ぼす可能性があります。

このような事態を防ぐためには、面接の段階で候補者にいろいろ質問をし、自社の文化に染まることができるのか見極める必要があります。

即戦力として活躍してもらいずらい

未経験者はどうしても「即戦力」として活躍してもらえる可能性が低いというデメリットがあります。

業界未経験などであれば前職のスキルを応用して早めに馴染むことができますが、そもそも社会人としての経験が浅かったり、職種が未経験だと、入社後の育成がマストになるので即戦力としては期待できないでしょう。

未経験者の採用を成功させるポイント

未経験者採用を成功させるために準備すべき重要なポイントを3つ紹介します。

教育体制を整える

未経験者であっても、体系的な知識やスキルを身に付けるための受け入れ体制の質が、入社後の業績に大きな影響を与えます。外部講習の活用や、専任の教育責任者を配置するなど、様々な手法があります。

実務を通じて育成するOJTは一般的な教育手法ですが、教育責任者が自らの業務と並行して指導を行う場合、忙しさから教育が放置される傾向があり、受ける内容にばらつきが生じる可能性があります。

未経験者を現場にすぐ参加させる前に、基本的な知識を身につけさせ、その後実務に触れさせるという段階的なアプローチを確立し、未経験者でもスムーズに立ち上がれる教育体制を整備することが重要です。

候補者にキャリアパスを伝える

未経験者はポテンシャルが高い人材が多い傾向にあるので、入社後のキャリアパスを伝えることで、候補者のやる気を上げることができます。

例えば、未経験で入社して、現在大きく活躍している社員インタビューなどを採用広報などで使用することで、未経験者からの応募は増加する可能性があります。

入社前の面談で、候補者が将来どんなキャリアパスを歩みたいのか、そのキャリアパスを自社でどれくらい実現できるのかを伝えてあげることで、より有効な応募を獲得できます。

現場のメンバーに協力を得る

未経験者でも、組織が提供する体系的な教育やスキル習得の仕組みは、入社後の業績に大きな影響を与えます。外部講習の活用や、専門の教育担当者の配置など、さまざまな手法があります。

実践的なOJTは、教育手法の代表格ですが、教育担当者が自身の業務に追われて指導がおろそかになったり、学習内容に一貫性が欠けたりすることがあります。

未経験者を即戦力にするためには、まず基本的な知識を獲得し、その後実務を通じて経験を積むというプロセスを整備することが必要です。

『中途採用においては、応募者のキャリアビジョンを理解することが肝要です。入社前の面接で、将来の目標や達成したいことについて話し合うことが重要です。こうしたキャリアビジョンを尊重し、職務内容や成長の機会を検討することで、ミスマッチを回避できるでしょう。これにより、モチベーションの低下や早期離職のリスクを軽減できます。

未経験採用の課題

未経験者採用を行うことで、企業が抱える課題について解説します。

給与設定

既存社員との給与のバランスを保つことは、重要な課題です。いくら未経験でも、同世代の既存社員と給与の額が離れ過ぎてしまうとモチベーションの低下に繋がりかねないです。一方で入社してすぐに既存社員と同等の給与だと、既存社員に不満が溜まって、離職につなげてしまう可能性があります。

どちらにもデメリットが生じないよう、未経験者には既存社員がもらっている給与額と大きく大差がないくらいまで支給し、また今後の給与のステップアップや歩合制度に関して、しっかり説得する必要があります。

または、事前に未経験者と経験者の給与形態を定めておき、面接前に伝えることで入社後のミスマッチを減らせるでしょう。

定着率が低い

未経験者の定着率が低い理由を把握することは、非常に重要です。社員の離職にはさまざまな要因があり、その傾向を分析することが肝要です。

早期離職の例
  • 十分な教育が受けられず、今後この会社で働くのが不安になった
  • 能力不足から現場のメンバーとの仲が悪くなった
  • 仕事内容が自分に合わないと感じた

早期離職の防止策は、社員が離職を決意する前に抱える悩みを把握することから始まります。その施策の一環として、オンボーディングやメンター制度が挙げられます。

オンボーディングは、入社後の研修やオリエンテーションなどを通じて、企業の文化や業務について理解し、役割を把握するプログラムです。

メンター制度は、上司ではなく同年代や先輩社員による業務支援制度で、相談しやすい立場の社員が新入社員をサポートします。こうした制度を設けることで、早い段階で相談できる環境を整え、早期離職を防止することができます。

未経験人材の採用手法

未経験といっても自然と流入するわけではありません。少子高齢化の今、未経験でも企業から積極的にアプローチをかける必要があります。

ダイレクトリクルーティング

未経験者の場合、募集要項に「未経験者歓迎」と明記されていても、「果たして実際に採用されるのか」「単に人数を埋めるだけなのか」といった疑念を抱くことがあります。このような懸念を解消するためには、待ちの採用活動だけでなく、時には積極的なアプローチも必要です。

その中でも効果的なのが、「スカウト型の採用(ダイレクトリクルーティング)」です。専用の媒体を活用して、人材データから様々な条件やキーワードで人材を探すことができるので、従来の手法では見落としていた未経験者を含む自社が求める要件にドンピシャでマッチする候補者に出会える可能性があります。

採用代行(RPO)

採用代行(RPO)は、採用業務の一部または全てを代行してくれるサービスです。

未経験採用は、入社後の教育で多くの時間を取られてしまうので、媒体運用などのノンコア業務は採用代行に依頼しすることで、人事は教育や面接などのコア業務に時間を使うことができます。また、採用のプロがこれまで培ってきた知識を活かして採用活動を行うので、企業が求めている条件に近しい人物を採用することができます。

まとめ

少子化により労働力が減少している現在、経験者だけでなく、未経験者の採用にも力を入れる必要があります。

未経験というとマイナスなイメージを持つ企業が多いですが、教育やフォロー体制次第で、今後の会社を担うような大きな人材に成長してくれる可能性があります。ポテンシャル人材を採用するためには、未経験者が入社したくなるような教育体制を構築し、自社の魅力をしっかりアピールすることが重要です。

弊社即戦力RPOは、採用のプロがさまざまな知見を活かして媒体を運用するため、より効率的に未経験採用を行うことができます。社員の教育やフォローにリソースが取られて、うまく媒体運用ができず悩んでいる企業は、ぜひご相談ください。

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この記事の監修者

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業部長を担い、これまでに150社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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