スクラム採用とは?メリットや社員に協力してもらう際のポイントを解説

スクラム採用とは、株式会社HERPが提唱した概念で、採用業務全般を全社員で進める採用方式のことです。

この記事では、そんなスクラム採用について詳しくご紹介します。

リファラル採用との違いや、人事組織を超えて全社員で採用を行うメリットやデメリット、社員に協力してもらうポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

スクラム採用とは株式会社HERPが提唱した概念

スクラム採用とは採用管理システムの開発会社である株式会社HERPが提唱した概念で、採用活動を人事担当者や経営陣だけでなく現場社員も含めた組織全員で取り組むことです。

従来の採用は説明会の実施から候補者の面談まで人事担当者が中心となって取り組み、採用担当に業務の負荷が集中する業務形態でした。

一方でスクラム採用は、人事ではない現場社員も採用プロセスに関わり、現場目線で採用活動に取り組むというものです。

採用担当にとってのリソースの軽減はもちろん、複数の社員で候補者を評価し、多角的な視点から社員が自社が求めるターゲットに合うかを見定め、慎重に採用を行うことができます。

スクラム採用の語源

スクラム採用における「スクラム」という言葉は、ラグビーに由来しています。スクラムとは、セットプレーの一つで、3人以上のプレーヤーが相対して組み合う体勢を取ることを指します。

複数人で一丸となって行動するというセットプレーにちなみ、スクラム採用は全社員が協力して採用活動に取り組むことから名づけられました。

リファラル採用との違い

スクラム採用は、リファラル採用と混同されやすいですが全く異なる採用用語です。

リファラル採用は、個々の社員が独立して紹介によって採用を行う採用手法のことを指すのに対し、スクラム採用はチーム全体が採用活動を行う採用体系のことを指します

チーム全員で候補者を探し、選考するという点が大きな違いです。

スクラム採用が必要となっている背景

スクラム採用が必要となっている背景を紹介します。

専門的人材の採用に現場社員の関わりが必要なため

経済産業省によるIT人材需給に関する調査によると、2040年には45万人のIT人材が不足すると予測されています

また、IT市場の拡大によって専門技術をもつエンジニアなどの職種の需要が増え続けているため、こうした人材を求める企業間の採用競争は今後さらに激しくなっていくでしょう。

このように採用市場が激化していく中でも「スクラム採用」で組織全体で採用活動を行うことで、採用活動における「戦力」を増やすことができるほか、現場の社員が採用面接や候補者との話し合いに参加することで、現場で本当に必要なスキルや人材を見極めることができ、即戦力となる人材を採用できます。

情報を得たり発信したりする媒体が増えているため

現代では企業のサイトやSNS、動画、専門の求人サイトなど、求職者が情報を得たり発信したりする手段が増えています。

スクラム採用では社員全員が採用に関わることで多様な媒体をカバーし、手分けして情報を収集することでより適切な人材を見つけ出せる確率を高めることができます。

スクラム採用のメリット

スクラム採用のメリットを紹介します。

チーム全員のネットワークを活用できる

スクラム採用ではチーム全員が採用に関わるため、社員それぞれが持つネットワークを活用できます。

たとえば、社員自身が持つSNSを活用して会社の魅力や募集職種について発信できます。LinkedInやTwitterで自分のフォロワーに対して会社のビジョンや事業内容などを直接届けることができ、それ経由でフォロワーから企業に興味を持ってもらえます。

採用活動の負担をチーム全体で分担できる

スクラム採用は採用業務をチームで分担して進めるため、人事担当者にかかる負担を軽くできます。

一般的な採用活動では、企業説明会や候補者との面談の日程調整、面談などの採用業務前半を人事部が主体となって行います。

一方スクラム採用では、全社員で採用活用に取り組むため、たとえば企業説明会の場所取りは営業部の〇〇さん、スライド作成は企画部の〇〇さんなどと採用業務をさまざまな部署の社員に割り振ることができます。

採用ミスマッチのリスクを減らせる

スクラム採用を取り入れれば、採用時のミスマッチのリスクを減らせます。

現場の社員であれば、どのようなスキルや性格を持つ社員が馴染めるか、力を発揮できるかを解像度高く理解しています。そのため、現場目線で自社にマッチする人材かどうかを判断することができます。

また、候補者にとっても会社が合うか判断しやすくなります。

現場の社員が企業説明会や面接などで候補者とコミュニケーションを取りながら採用を進められるため、候補者は社員のイメージや、職場環境などリアルな情報を把握できます。候補者が気になる実務についての疑問点も現場社員に聞いて解消できるでしょう。

結果的に仕事への意欲やモチベーションの向上にもつながります。

たとえば、候補者に企業説明をして自社の魅力を考える過程で、今まで気づかなかった点に気付けるかもしれません。

また、普段関わることのない部署の社員と協力して採用活動を進めることで、部署を超えたコミュニケーションが活性化され、社員同士の連帯感や組織の一体感が生まれます。

スクラム採用のデメリット

スクラム採用のデメリットを解説します。

考え方の不一致で意見が対立することがある

採用に関わる人数が増えると、社員それぞれで採用したい人材が異なり意見が対立することがあります。

例えば、企画部の人材を採用する場合、現場の社員は特定の仕事にすぐに対応できるスキルを持つ人材を求めるかもしれません。

一方で経営陣は、将来にわたってさまざまな部署で活躍できるソフトスキルを持つ人材を重視するかもしれません。

組織全体の方向性を統一するためには、事前に部署を超えて全社的に採用ターゲットについて話し合う機会を設け、組織全体から見て納得感のあるターゲット像を決めておきましょう。

採用途中で候補者の選定で意見が分かれたときは、事前に決めたターゲット像と候補者を照らし合わせて、なるべく多くの人と協力して合否を判断しましょう。

社員の業務量が増加する

スクラム採用では全社員が採用活動に参加するため、通常の仕事に加えて新しい作業が増え、採用担当以外の社員の負担が大きくなる可能性があります。

この負担を軽くするために、人事部が採用活動と通常業務のバランスを考えて、各社員に適切な採用業務を割り当てましょう。

例えば、経理部の人材を採用するために一次面接の面接官を経理部のメンバーに割り当てる場合、決算で忙しくなる月には他の比較的暇な部署の社員に面接を頼むなどの工夫をしましょう。

スクラム採用を成功させるポイント

スクラム採用を成功させるポイントを紹介します。

スクラム採用が必要な理由を共有し社員の理解を得る

スクラム採用を成功させるためには、経営陣や現場マネージャーがその必要性を理解し、全社員にその重要性を伝えましょう。

まずは、全社員に対してスクラム採用の重要性を直接説明する場を設けましょう。全員が採用に参加するメリットや注意点、進め方を説明します。

さらに、具体的なスケジュールを示し、通常業務と両立できるかどうか確認してください。採用が始まったら、定期的に全社員に進捗状況を報告します。

また、経営陣と現場マネージャーが自ら率先して行動することで、全社員の自主的な行動を促してください。

現場の社員へ必要な権限を譲渡する

スクラム採用を成功させるためには、現場の社員に必要な権限を譲りましょう。

権限を与えるときは、採用プロセスの中で「誰が何を担当するか」を会話の基本フレームである5W1Hで明確にすることをおすすめします。

  • 誰が(Who): 企画部の社員
  • 何を(What): 一次面接の候補者の評価
  • いつ(When): 選考後の1日以内
  • どこで(Where): オフィス内の会議室やリモート会議
  • なぜ(Why): 必要な人材を確保し、採用のミスマッチを防ぐため
  • どのように(How): 採用管理ツールを使用し、必要に応じてミーティングで内容を共有しながら

また、採用担当者は監督役に徹して、全体のバランスを取りながら担当者それぞれの負担を軽くできるようにしましょう。現場の業務負担について話し合い、支障が出ないように体制を整えてください。

情報を集約する

スクラム採用を成功させるためには、採用情報を集約しましょう。

ツールを使って進行状況を見える化することで、全体の進捗管理や個々のタスクの進行状況を把握しやすくなります。

たとえば採用管理ツール「HERP Hire」は、スクラム採用を行うための機能を備えているため、現場メンバーの負担軽減にも役立ちおすすめです。

HERP HireはSlackと連携でき、情報や通知をSlackに送ることができます。さらに、SlackからHERP Hireにコメントを残すこともできるため、現場メンバーはSlack1本でコミュニケーションを完結できます。

また、候補者情報を一画面で管理できるのも特徴で、基本情報や評価、所感などをまとめて管理できるため、情報が分散しません。

採用活動に参加したいと思えるような環境をつくる

スクラム採用を成功させるためには、忙しい現場社員でも「採用活動に参加したいと思える環境」を整えましょう。

例えば、定期的に意見を交換する時間をしっかりと設け、たとえば毎月1回、全社員が参加する会議を設定して、採用の進行状況を共有します。

また、困りごとや疑問点など、現場社員が採用活動をより負担なく進めやすくするための話し合いなどもおすすめです。

他にもSlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツールを導入し、部署を超えてオンラインで気軽に内容を共有できる場を設けるのもよいです。

ツールを使用する際は、面接のスケジュール調整や候補者の評価コメントを共有するために専用のチャットチャンネルを作成しましょう。

スクラム採用に成功した導入事例

スクラム採用に成功した導入事例を紹介します。

株式会社スマートバンク

「家計簿プリカB/43」を開発・販売する株式会社スマートバンクは、2019年の創業当初からスクラム採用を行っています。

各職種ごとのプロジェクトチームが採用課題に取り組み、全社員が採用活動に参加しており、中には仕事の20%を採用活動に費やすメンバーもいるほど、採用活動を大切にしています。

具体的な取り組み内容として、各プロジェクトチームが話し合いを通じて採用戦略を決めて、日程調整や候補者のフォローは人事が担当しています。

また面接と採用手続きを統一して評価基準を一貫させています。とくに「構造化面接」を導入し、候補者の回答を統一された基準で評価することで、面接の質を保ち公平な評価につながっているとのことです。

BASE株式会社

ネットショップ作成サービス「BASE」を開発・提供しているBASE株式会社は、2019年4月ごろからスクラム採用を始めています。

BASE株式会社は特にエンジニアの採用に力を入れていて、現場のエンジニアが直接候補者を探しています。

また、採用方針を明らかにして進捗状況を共有することで、採用活動の効率を上げてユーザーの体験をよくしようとしています。

例えば、コミュニケーションツールを使って、プライベートチャンネルで応募状況や採用の流れを共有します。また、必要なメンバーだけに情報を共有し、情報の取り扱いでやってはいけないことや重要なこと、気をつけるべきことを事前に共有し、適切に情報を管理しています。

まとめ

今回は、スクラム採用とは何かについて、リファラル採用との違いやメリット・デメリットなどを紹介しました。

スクラム採用は、人事担当者だけでなく現場社員も採用活動に関わり全社員で一丸となって進める方法です。

現場の社員が通常業務と両立しやすい環境を整えながら、自社が求める理想的な人材の採用を成功させてください。

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この記事の監修者

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業部長を担い、これまでに150社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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