スカウトメール(ダイレクトリクルーティング)は、企業が積極的に採用活動を行う能動的な手法の一つとして定着しつつあります。
このスカウト型の採用サービスでは、採用担当者が自らユーザーデータベースを検索し、採用要件にマッチする候補者にメールやメッセージを送ることが可能です。
従来の採用方法では、求人媒体への掲載や応募の待ち、人材紹介会社を待つといったアプローチが一般的でした。しかし、スカウト型の採用手法では、企業が積極的に候補者にアプローチするため、能動的な採用活動が可能となります。
スカウト型採用の普及に伴い、候補者が受け取るスカウトメールの数も増加しています。そのため、他社との差別化を図らなければ、候補者からの反応を得ることが難しくなっています。
この記事では、ビジネスSNSであるWantedlyのスカウトメールの返信率を向上させるためのヒントや、有効な文例、高い返信率を達成する企業の取り組み事例を紹介しています。
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Wantedlyのスカウトメールとは
スカウト型採用(ダイレクトリクルーティング)は、直接応募者にアプローチする採用手法です。
これまで一般的とされてきた「候補者からの応募」とは逆で、企業が応募者の経歴やスキルを見た上で、応募者にアプローチを行います。
このスカウト型採用は、一般的には中途採用で用いられてきましたが、最近では新卒採用でも活用されることがあります。
他の採用手法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
スカウトメールの必要性
近年、日本におけるスカウト採用(ダイレクトリクルーティング)の急速な普及にはいくつかの要因がありますが、最大の要因は「超高齢社会化と少子化による労働人口の減少」です。これにより採用市場の競争が激しさを増し、企業は求人票を掲載して待つだけの「守りの採用」だけでは採用が難しくなっており、「攻めの採用」であるスカウト型の採用が重要視されるようになりました。
- 認知度やネームバリューがなく、求人を掲載しても応募がこない。
- 給与などの条件面で他社に負けてしまう。
- 急遽採用することになったが、エントリーが集まらない。
上記のようなお悩みを持っている企業は特に自社から積極的に動けるスカウトメールを行うことをおすすめします。
スカウトメールの平均返信率
スカウトメールの施策を行う上で、まずはWantedly全体での平均スカウト返信率を知る必要があります。
Wantedlyのスカウトでは一般的に20%ほどの返信率ですが、スカウトメール試作に非常にこだわっている企業は25%から、高ければ40%台まで返信率が伸びることもあります。
Wantedlyでスカウトをする際の手順
①募集記事(求人)の作成
まず、スカウトした人が見るための募集記事を作成しましょう。
給与などの金銭面に関わる情報はほぼ記載できないため、会社のミッション/ビジョン/バリュー/に基づいて「想い」をベースとした求人を作成しましょう。
また、構成や装飾を工夫して「見やすい文章」にすることも重要です。
より詳細な募集記事の作成方法は下記の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
②スカウト候補者を検索・ピックアップ
スカウト機能を利用するためには、管理画面の「スカウト」タブを選択します。検索窓で職種や地域などの条件を絞り込み、興味がある候補者を気になるリストに追加します。
ポジションごとにラベルをつけてグループ分けをしたり、メモを残してスカウの際に参考にすることもできます。
検索の際のポイントは下記の通りです。
・募集をブックマークした候補者に積極的にアプローチする
・候補者の「この先やってみたいこと」を注視する
・最終ログインは最低でも1ヶ月以内に設定する
IT専門職などでは、副業人材がたくさん登録している場合があるので、「絶対に正社員採用がいい」と決めている企業はこの時点で「副業意欲」の欄を「いい仕事があれば/探していない」などに設定しましょう。
③スカウト文章の作成
次に、送付する用のスカウト文章を作成します。
この際、後述するように「個別に送られているという特別感」「興味を引く内容」「読みやすい文章」である必要があります。
全てのスカウトで同じ文章を使い回すのではなく、いくつかベースとなるテンプレートを用意し、「ポジションごと」や「重要度(採用したい度合い)」に合わせてベース文章を使い分け個別のパーソナライズも少しずつ行いながら作成することをお勧めします。
④スカウトを配信しよう
②でピックアップしたターゲットに対して、③の文章を適切に利用しながら、該当する募集記事を選択してスカウトメッセージを送付しましょう。
この際に宛名を「名前なし」「候補者さん」「候補者さま」「候補者様」などから選択することができますが、基本的には「候補者様」に設定しておくのが無難です。
⑤送付後の対応
スカウトは一度送付して終わりではありません。
そこから確実に応募に繋げるための準備はもちろん、開封してもらえた候補者に再度スカウトを送るなど、「再スカウト」の動きも重要です。
応募があった際は、基本的に素早く返信対応をすることが重要で、開封してもらえたにも関わらず2日(土日を除く)以上返信がない場合は再スカウトをお行いましょう。
Wantedlyスカウトで返信が来ない理由
スカウトメッセージを送ったのに返信が集まらない場合は、共通してかき3つのどれかのポイントに当てはまっている可能性があります。
魅力的なタイトル(件名)じゃない
1つ目は「メッセージの内容」もしくは「タイトル(件名)」が魅力的でないことです。
一方的に会社の説明ばかりが並んでいたり、一括送信だと感じられるような誰にでも当てはまる内容であったり、名前が間違っていたりすると、魅力的なスカウトメールには見えません。
また、ポジティブな訴求ばかりを盛り込んだ文章も実はあまり反応が良くありません。
「そのメッセージを受け取るターゲットの趣向」を考えながら、訴求は多くても3つ以内に絞りましょう。
本文が読みづらい
スカウトメールが長すぎたり、読みづらかったりすると、そもそも最後まで読まれずに返信しない場合があります。
自社の魅力やポジションを伝えたいあまり、説明が長くなることがありますが、調べられる情報は短く割愛しましょう。
文字数の目安としては500~1000文字程度が目安です。
また、Wantedlyのユーザーは8割以上がスマホで閲覧しているため、スマホ上で表示される幅で文章が折り返されることを想定し、いつもよりも細かく改行を入れることをお勧めします。
テンプレートすぎる文章
スカウトメールが定型文と思われると、返信率は下がることがあります。
「20代〜40代の方」や「営業の仕事に興味がある方」など、多くの候補者に当てはまる内容だけでは、定型文と見なされがちです。
定型文を避けるためには、候補者の名前を積極的に使用したり、「なぜその候補者にスカウトメールを送ったのか」を説明したりすることが効果的です。
また、ダイレクトリクルーティングのサービスには「ネームタグ」という機能があり、候補者名を自動入力できる場合もあるので、必要に応じて活用しましょう。
Wantedlyスカウトで返信率をあげるポイント7選
①候補者にマッチする部分を記載しパーソナライズ化する
Wantedlyは、プロフィールに「これからやりたいこと」という項目があるため、そこに記載がある場合はそれに合わせた内容を記載し、明記されていない場合は前職や他の記載内容から候補者の興味を深掘り、マッチする訴求をパーシナライズ化して提示しましょう。
特に注目した部分について、「絶対に合っている」という確実な意思を示すことで、候補者の興味を引くことができます。
【文章例】
プロフィールにて、「ユーザーの顔が見えるサービス」に携わられたいというご希望を拝見し、私たちのビジネスはtoCのサービスかつ、毎日リアルタイムでユーザーの皆様からのフィードバックがいただける仕組みになっているため、まさにやりがいを感じていただける環境だと感じております。
②読みやすい構成・装飾にする
前述した通り、Wantedlyのユーザーは8割以上がスマートフォンを使ってサービスを利用するため、読みやすさが非常に大事です。
企業の魅力や候補者に対する思いを伝えたいからといって長文になるのは逆効果で、多くても700~800文字程度が好ましいです。(リンクなどは除く)
また、離脱を最小限にするために「◆」や「|」「▍」を利用して読みやすくなるような工夫をしましょう。
③送信元を役職者にする
スカウトメールに特別感を持たせるために、「このメッセージが誰から送られてきているのか」は非常に重要な要素です。
特にエンジニアには、CTO(最高技術責任者)や開発責任者、最低でもプロジェクトマネージャー(PM)からの送信が理想です。
④パーソナライズ化でプレミアム感を出す
前述した送信元と同じく、「なぜ自分に送られてきたのか」がわかるような特別感は非常に大事で、一部分だけでもパーソナライズ化をするのがおすすめです。
パーソナライズ化というと非常に手の凝った作業のようですが、実際は5分もかからない作業なので多少工数をかけてでも取り組みましょう。
また、プロフィールで見るべき点は個別の関心やキャリアに焦点を当てたスカウトメールが効果的です。
▼参考例文▼
松田様
はじめまして、株式会社ABCの佐藤と申します。 松田様のエンジニアとしての実績を拝見し、どうしても一度お話しさせていただきたく、個人的にメッセージさせていただきました。
松田様の〇〇社での豊富な開発経験、マネジメント経験に加え顧客様へのコンサルティングのご経験や、今後SaaSのプロダクトに関わってきたいというご希望を拝見し、業界トップの成長率を誇る弊社のSaaSツールの開発にコアメンバーとしてご参画いただきたいと思っております。
私たちの開発チームでは、新たな技術にチャレンジする環境が整っていますので、これまでのご経験と能力を活かし、より大きな成果を出していただけると考えております。
当社はイノベーションを重視し、エンジニアリングに熱心な人材を求めています。松田様の技術力やリーダーシップは、我々の目指す方向性と合致していると感じます。
◆先日〜〜賞をいただいた際の記事です。
<URL>
私たちのビジョンやプロジェクトについて、まずはカジュアルに詳細をお話しする機会をいただけることを楽しみにしています。
ご返信、お待ちしております。
株式会社ABC 佐藤
⑤募集記事(求人)のPV数を増やしておく
スカウトを受け取る前に、候補者が募集記事を閲覧して興味を持ってくれるようなストーリー記事を作成することが重要です。Wantedlyでは、興味を引く記事を通じて人々にアプローチし、その末尾に募集記事を掲載することで、興味を持ってくれた方が募集に応えやすくなります。
また、募集記事の閲覧数を増やすために、「応援する」ボタンから社員のFacebookなどで拡散することや、定期的な更新を行うことが効果的です。新着情報の投稿を2週間から1か月ごとに行い、定期的に情報を提供することで、候補者の興味を持続させることができます。積極的な情報発信を通じて、興味を持っていただいた方々が募集に参加しやすくなるでしょう。
⑥カジュアル面談でハードルを下げる
返信のハードルを下げることは、スカウトメールの成功において非常に重要です。面談や会話の提案をする際、押し付けがましさを避け、気軽に受け入れられるように工夫することが鍵です。
たとえば、「カジュアル面談」という言葉を使うことで、面接というフォーマルな印象を軽減し、候補者が気軽に受け入れられる雰囲気を醸し出します。「カジュアルな面談」は、相手との距離感を縮め、お互いをより深く理解し合えるチャンスです。
また、返信の際に「土日やお昼でも大丈夫です」「雇用形態にこだわりません」といった柔軟な提案をすることも効果的です。これにより、候補者は気軽に応じられる余地を感じ、返信しやすくなります。
大切なのは、候補者に対する尊重と理解です。何か質問や疑問があれば、ぜひお知らせください。
以下、ハードルを下げた接触の提案例です。
・15分程度、〇〇についてざっくばらんにお話しませんか?
・カジュアルに情報交換しませんか?
・今後のキャリアについてお話しませんか?
・〇〇のご経験について、返信にて詳細をお教えいただけませんか?
・気になることがあれば、返信にて何でも聞いてください
⑦メッセージは 半日以内に返信する
応募者へのレスポンスはスカウト成功の鍵です。特に「24時間以内」の返信が重要です。ウォンテッドリーのデータによれば、24時間以内の返信率は約70%で、72時間を超えると50%程度まで低下することが分かっています。
なるべく早い段階での返信が、候補者の興味を引き付けるポイントです。Wantedlyでは通知が見落とされやすい仕様なので、アクセスしやすい状態を維持しましょう。返信は24時間以内に行うことを心がけ、できれば8時間以内を目指しましょう。これが候補者とのコミュニケーションを築く第一歩です。
返信率が高いスカウトメールの例文
新卒向け
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エンジニア向け
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まとめ
この記事では、「Wantedly」での返信が得られない理由とその解決策について取り上げました。Wantedlyにおける「応募」は他の求人媒体と異なり、即座に「選考」につながるわけではありません。ここでは、興味本位で応募する方も多くいることを覚えておくことが重要です。
威圧的な文面や急な面接誘導は、応募者にとってハードルとなり、返信率を下げる原因になります。Wantedlyでは給与などの条件を明示できないため、「会社の価値観や想い」を伝え、それに共感する応募者を集めることが特長です。
以下の5つの施策を取り入れて、Wantedlyの返信率を向上させましょう。
- 候補者にマッチする部分を記載しパーソナライズ化する
- 読みやすい構成・装飾にする
- 送信元を役職者にする
- パーソナライズ化でプレミアム感を出す
- 募集記事(求人)のPV数を増やしておく
- カジュアル面談でハードルを下げる
- メッセージは 半日以内に返信する
返信が得られないことは挫折感を与えますが、原因を分析し、取り組み続けることで必ず返信率は上がります。この情報がお役に立てれば幸いです。
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