採用活動を効率化するChatGPT活用法｜求人票やスカウトメールのプロンプトも！

人手不足が深刻な昨今、業務負担軽減や生産性向上のための手段として、生成AIの一つである「ChatGPT」が注目されています。

本記事では、「採用活動でChatGPTを活用してみたい」と考えている担当者に向けて、

• ChatGPTの概要
• 採用活動でChatGPTを活用するメリット
• 求人票やスカウトメール作成など、採用業務におけるChatGPT活用例
• ChatGPTを活用する際の注意すべきポイント
• ChatGPTを使いこなすコツ

についてご紹介します。「ChatGPT活用例」の項目では今すぐ使えるプロンプトもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ChatGPTの概要

まず、ChatGPTの概要を見ていきましょう。

ChatGPTとは

ChatGPTとは、アメリカのOpenAI社によって開発された会話式の生成AIチャットサービスです。2022年11月にリリースされて以来、世界中で注目を浴び続け、現在では生成AIサービスの中でも最も人気の高いサービスとなっています。

ChatGPTは、まるで人間と会話しているかのような自然なやり取りができるのが特徴で、幅広い分野における情報収集が得意なだけでなく、翻訳や要約、プログラムの生成などもできます。

2024年5月にバージョンアップされた「ChatGPT-4o」では、テキストだけでなく音声や高度な画像認識が可能になり、現在ではさまざまなビジネスシーンに用いられています。

ほかの生成AIツールとの違い

ChatGPTのほかによく利用されるAIツールとしては、日本のスタートアップ企業Sparticle株式会社の「Felo」や、アメリカのPerplexity AI社の「Perplexity」が挙げられます。

ツール名	特徴	こんな人におすすめ
Felo	情報検索や研究に特化したAI検索エンジン。主に学術論文やニュース記事など、信頼性の高い情報源から情報を収集しているため、情報の精度に定評がある。	ビジネスや研究の場面などで、情報を正確に収集したい人
Perplexity	リアルタイムでインターネットから情報を収集し、出典元の明示にも優れている。「関連する質問」が表示されるなど、ユーザーの悩みを解決する工夫もあり。	市場調査や競合分析、論文検索など専門的な情報が必要な人や、資料作成や議事録作成などの業務で効率化を図りたい人
ChatGPT	幅広い分野に対応できる汎用的な生成AIツールで、自然な会話を通じて情報を生成。特化型ツールではないため、利用者が柔軟に指示を与えることで応用範囲が広がる。	採用業務やクリエイティブ作業において、対話形式で柔軟な回答や情報を求める人

そのほかにも、画像生成であればCanva社の「TexttoImage」、面接中の議事録生成であればエピックベース株式会社の「スマート書記」など、必要に応じて専門性の高いサービスを使い分けられると、さらに採用業務の効率化と質の向上が期待できます

採用活動にけるChatGPTの利用率

ここで、ChatGPTが実際に採用の現場でどれだけ利用されているか見ていきましょう。

「sonar HRテクノロジー」を展開するThinkings株式会社の「2023年度の採用活動におけるAI活用の効果調査」によると、回答者の43％がChatGPTなどのAIツールを採用活動に活用していることがわかりました。

また、AIツールを活用した企業のうち81.4％が採用目標人数を「達成した」と答えたほか、人材の質においても74.4％が目標を「達成した」と答えており、いずれも「AIツールを活用していない」企業と大きく差が出ていることがわかります。

この調査から、ChatGPTを含むAIツールの活用が「採用目標人数」「人材の質」を含む採用活動全体の生産性向上に影響していることがわかる結果となりました。

採用活動でChatGPTを活用するメリット

では次に、採用活動でChatGPTを活用するメリットを3つご紹介します。

① 業務工数やコストを削減できる

まず、ChatGPTを採用活動に利用することで、業務の効率化とコストの削減ができます。たとえば、応募者へのメール対応における文章作成、求人票の作成など、重要性が低いものの人手が必要だった幅広い作業を代替してくれるので、人事担当者は戦略設計など、より上流の業務に集中できるようになります。

このような業務の代替によって、採用業務のスピードアップだけでなく、情報の抜け漏れや誤字脱字といったヒューマンエラーの削減もできます。つまり、修正作業なども含め採用活動全体のコストが抑えられ、生産性を高めることができるのです。

② 客観的な判断ができる

ChatGPTを活用することで、採用活動における判断の精度を高めることができます。人間の判断にはどうしても感情や無意識のバイアスが入ってしまいがちですが、ChatGPTは客観的な事実や採用要件に基づいて判断してくれます。

たとえば、履歴書やエントリーシートの内容を分析したり、面接前の質問を準備したりする際にも、人間のように特定の価値観や偏見に左右されることはありません。もちろん最終的な判断は人間が行う必要がありますが、ChatGPTを補助ツールとして活用することで、より公平な視点で判断を下すことができます。

③ グローバルな採用に対応できる

ChatGPTは日本語や英語以外の多言語に対応しており、さまざまな言語話者の候補者と円滑にやり取りすることができます。

さらに、言語だけでなく、その地域でよく使われるビジネスメールの表現や挨拶の仕方といった文化的な違いにも配慮したサポートができるため、候補者対して失礼のない対応ができ、採用CXの観点においても質を高めることができます。

ChatGPTを活用することで、言語や国籍の壁を感じずに世界中の優秀な人材を採用するチャンスを広げられるのです。

【プロンプトあり】採用業務におけるChatGPT活用方法

ここでは、採用業務におけるChatGPT活用例を8個ご紹介します。プロンプトもありますので、自社に合った形にカスタマイズして活用してみてください。

個人的にですが、採用以外の業務全般においてChatGPTやGeminiなどの生成AIチャットツールで使うプロンプトを探す際は「プロンプティア」というサイトを参考にしています。

今回ご紹介する中以外にもプロンプトを探してみたいという方はぜひご覧ください。

① 採用ターゲットの要件定義

通常はフレームワークなどを使用して行う採用要件の定義ですが ChatGPTを活用すれば、必須項目や歓迎項目、必要なスキルを箇条書きで挙げるだけで大枠の要件定義が生成されます。

また、ChatGPTを使って採用ターゲットを設計する際は、できるだけ細かく自社の情報や必須、歓迎、NG事項を提示することで、求めるスキルや人物像に合ったターゲット設計を行ってもらえます。

② 求人票の作成

採用媒体などに掲載する求人票を一から作るにはかなりの時間と労力がかかります。しかし、ChatGPTを活用すればその工数を大幅に削減できます。

職種や業務内容、求めるスキルなどの基本情報を入力するだけで、大枠となるたたき台をほんの10秒ほどで作成してくれます。さらに、採用ターゲットや自社のミッション・ビジョン・福利厚生などを具体的に伝えると、それに合わせて内容を再調整してくれます。

③ スカウトメールの作成

近年、ダイレクトリクルーティング(スカウト採用)の重要性が高まり、スカウトメールを作成する機会が増えている方も多いのではないでしょうか。ダイレクトリクルーティングは、送付先の採用ターゲットに合わせた文章を作成できれば効果的ですが、一人ひとりにカスタマイズした文章を作成するのは途方もない時間と手間がかかります。

そこで、ChatGPTを活用すれば、基本的なメッセージテンプレートを作成できるだけでなく、候補者ごとの属性に応じて「刺さるスカウト文章」のカスタマイズも簡単に作成できるようになります。

ここで生成される文章はあくまでも叩き台なので、表現や自社の魅力訴求などは改めて確認しつつ、大枠として参考にすると、さらに質の良いスカウト文章を作成することができます。

④ エントリーシートなど応募書類の要約

ChatGPTを使えば、応募時のエントリーシートなどの書類を要約してもらうことができます。内容をコピーしてChatGPT内の検索欄に貼付することで、応募者の自己PRや志望動機、職務経験といった重要なポイントを抽出し、簡潔にまとめてくれます。

ただし、応募書類をコピーする際には、氏名や住所といった個人情報は必ず消去しましょう。

⑤ キャッチコピーの作成

採用ターゲットの関心を引きつつ、採用ブランディングを強化するためには「採用のキャッチコピー」を作る必要があります。しかし、企業の特徴や価値観を簡潔に伝え、求職者に響く印象的なキャッチコピーを作るのは、マーケティングに精通している人でもなければなかなか難しいものです。

そこで、ChatGPTを活用することで、ターゲットに響くキャッチコピーの案をたくさん出してもらうことができ、その中で最適なものを選ぶことができます。

⑥ 面接での質問作成

ChatGPTは、面接での質問項目の作成にも役立ちます。自社が求める人材像や過去の面接結果を反映させることで、自社にマッチした人材を見抜くための質問を生成できます。

これにより、面接の精度が向上し、最適な人材を選びやすくなります。

⑦ 選考結果のメール文作成

選考結果のメールは、各ステップに応じて内容を変更する必要があり、地味に作成に手間がかかる業務です。そんなメール文章においてもChatGPTを活用すれば、迅速に作成できます。

また、合格の際は選考のフィードバックを加えることで候補者の応募意欲を高めることができますが、これもなかなか時間がかかる作業です。しかし、ChatGPTは候補者の特徴や面接での評価を大まかに入力することで、よりその人に合ったフィードバックを組み込むこともできます。

⑧ 採用コンテンツの文章校正

近年増えている、オウンドメディアなどの採用コンテンツにおいてもChatGPTを活用してコンテンツの校正作業などができます。

単なる誤字脱字の発見だけでなく、改善点や「こうした方がよい」という提案も行ってくれるため、より質の高い採用コンテンツに仕上げられます。

採用活動でChatGPTを活用する際に注意すべきポイント

採用活動でChatGPTを活用する際には、注意すべきポイントがいくつか存在します。ここでは、特に注意すべきポイントを3つご紹介します。

① ChatGPTに個人情報や企業の機密情報は入力しない

採用活動においては、個人情報や企業の機密情報を確実に守ることが求められます。

ChatGPTに入力された情報は、ユーザーだけでなくOpenAI社にも保存され、そこからデータが利用されることもあります。そのため、求職者の個人情報や企業の機密情報は必ず除外するようにしましょう。

情報漏洩対策ができるオプトアウト設定

ChatGPTのオプトアウト設定とは、OpenAI社によるデータの保存・利用を停止できる設定です。

事前にこの設定をすることで、個人情報や企業の機密情報が不正利用されるリスクを避けられます。採用活動においては、オプトアウト設定の活用をおすすめします。

② 生成された文章は必ずチェックする

ChatGPTを利用する際には、「ChatGPTに頼りすぎない」という意識が重要です。生成された文章はあくまで「たたき台」として捉え、必ず人間の手によるチェックを行いましょう。

これまでご紹介したとおり、ChatGPTの精度は従来のAIに比べ非常に高いと言えますが、中には誤った情報や不適切な表現、ソース元の不明な架空な情報が含まれる場合もあります。そのため、生成された内容は必ず確認し、必要に応じて修正を加えましょう。

③ 選考の合否は担当者が行う

当たり前のことですが、選考の合否も必ず担当者が行うようにしましょう。

ChatGPTは、職務経歴書からスキルや経験を抽出し、それが求人要件にどれだけ一致しているかといった判断をしてくれるので、つい合否に関しても頼ってしまいたくなるかもしれません。しかし、候補者の性格や企業文化への適合性、面接時の印象などに関してはAIでの判断には限界があります。

ChatGPTはあくまで補助的なツールとして活用し、最終的な意思決定は人間が行いましょう。

採用活動でChatGPTを使いこなすコツ

ChatGPTは使い方によって効果を最大限にすることができます。ここでは、採用業務におけるChatGPTの活用について3つのコツをご紹介します。

① 対話を重ねる

ChatGPTを最大限に活用するには、繰り返し対話することが重要です。なぜなら、ChatGPTは対話を通じて学習するので、一度で結果を得るよりも、プロンプトを工夫しながら対話を繰り返すことで、より精度の高い回答を得られるためです。

たとえば、求人票を作成する際には、最初の回答に対して「具体的なスキル要件を追加してください」「もう少し親しみやすい表現にしてください」といったフィードバックを与えることで、より企業の要望に合ったものに近づきます。

② 箇条書きで情報を伝える

ChatGPTを利用する際には、箇条書きで情報を伝えるのもおすすめです。箇条書きにすることで情報が整理され、ChatGPTがより正確に内容を理解しやすくなります。

たとえば、求人票を作成する場合、「必要スキル」「業務内容」「勤務条件」などを箇条書きで入力することで、短時間でより精度の高い回答が得られます。

③ 立場を指定する

ChatGPTを活用するには、立場を指定することが重要です。ChatGPTは入力内容をもとに文章を生成しますが、以下のように特定の立場や視点を明示することで、より意図に合った回答が得られます。

【立場指定の質問例】
「面接官として、営業職の候補者に対して具体的なスキルを引き出せる質問を5つ作成してください」
「人事部長の立場で、経営視点を盛り込んで判断してください」
「候補者が初めて目にする文章として、明確かつ魅力的に書いてください」

まとめ

これまでにご紹介したとおり、ChatGPTは採用活動において非常に便利なAIツールといえます。一方で、個人情報の取り扱いや情報の精度に関しては未だ発展途上の課題も多く、その効果を発揮するには十分な注意や工夫が必要です。

本記事で紹介したポイントを実践し、ChatGPTを採用活動にうまく取り入れることで、採用活動の効率化とクオリティ向上を図れます。何かお困りごとがございましたら、お気軽に弊社までご連絡ください。