「せっかく集客できた応募者が、なかなか最終面接まで進まない」「内定を出しても、承諾率が低い」そんな悩みを持ちつつ、具体的な対処方法がわからない採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで重要なのが、自社の採用歩留まり(率)の把握と、その数値を改善するための対策です。
そこでこの記事では、歩留まり率の計算方法や平均値、歩留まり低下の原因、改善策をご紹介します。
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採用活動における歩留まりとは?
採用活動における歩留まりとは、「書類選考」「最終面接」「内定」といった採用フローの中で「各フェーズを通過した人の割合」を指します。
たとえば上図の場合、エントリーから書類選考の歩留まり率(選考参加率)は50%、書類選考から一次面接の歩留まり率(書類通過率)は60%、内定から入社までの歩留まり率(内定承諾率)は40%となります。
このように歩留まり率を分析することで、「どのフェーズで離脱者が多いのか」を可視化できるため、課題が見つけやすく、採用活動をどう改善していくべきか策を練ることができるのです。
基本的には歩留まり率が高い状態が望ましいですが、業界や業種、企業の規模によってさまざまです。後にご紹介する業界別の歩留まり率を参考に、ぜひ自社の状況を分析してみてください。
採用活動における歩留まりの計算方法
採用活動における歩留まりは、以下のように計算できます。
採用の歩留まり率(%)=選考通過者数÷選考受験者×100
自社の選考フローを明確にした上で、以下の計算式を使用し歩留まりを可視化しましょう。
以下、採用活動においてとくに重要とされる歩留まりの計算式です。
項目 | 計算式 |
---|---|
全体の歩留まり | 内定者数÷(プレ)エントリー数×100 |
応募率 | 応募者数÷(プレ)エントリー数×100 |
説明会参加率 | 説明会参加者数÷(プレ)エントリー数×100 |
書類選考通過率 | 書類選考通過者数÷応募数×100 |
面接参加率 | 面接参加者÷応募数(または書類選考通過者数)×100 |
面接通過率 | 面接通過者数÷面接受験者数×100 |
内定率 | 内定者数÷受験者数×100 |
内定辞退率 | 内定辞退者数÷内定者数×100 |
選考辞退率 | 選考辞退者÷選考受験者×100 |
上記の計算式で算出した数値を次に紹介する平均値などと照らし合わせることにより、自社の課題点を可視化することができます。
【中途採用】業界別 歩留まり率
以下、中途採用における業界別の歩留まり率です。企業によって算出方法が異なるので、比較する際には必ず分母など計算式など合わせるようにしましょう。(①②③の算出方法は表の下に掲載しています)
業種 | ① 面接参加率(%) | ② 内定率(%) | ③ 採用率(%) |
---|---|---|---|
IT・通信・インターネット | 48.1 | 58.5 | 50.6 |
メーカー | 40.3 | 66.3 | 59.6 |
商社 | 23.1 | 62.5 | 57.7 |
サービス・レジャー | 51.6 | 62.1 | 56.4 |
医療・福祉・介護 | 65.0 | 78.3 | 75.0 |
流通・⼩売・フードサービス | 63.2 | 50.7 | 41.6 |
マスコミ・広告・デザイン | 12.0 | 31.8 | 27.3 |
金融・保険・コンサルティング | 40.9 | 51.9 | 47.9 |
不動産・建設・設備・住宅関連 | 63.3 | 73.4 | 70.0 |
運輸・交通・物流・倉庫 | 73.9 | 80.4 | 76.6 |
環境・エネルギー | 52.4 | 47.4 | 42.9 |
公的機関 | 48.6 | 55.6 | 53.5 |
- 面接参加率:面接参加者÷応募数×100
- 内定率:内定者÷面接受験者数×100
- 採用率:採用者÷面接受験者数×100
【新卒採用】平均歩留まり率
以下、就職みらい研究所(株式会社リクルート)が発表した『就職白書2024』データ集から弊社が算出した新卒採用における平均歩留まり率です。
従業員数 | ① 応募率(%) | ② 書類選考通過率(%) | ③ 内定率(%) | ④ 内定辞退率(%) | ⑤ 全体の歩留まり(%) |
---|---|---|---|---|---|
全体 | 15.9 | 48.5 | 33.1 | 47.3 | 1.3 |
300人未満 | 15.9 | 52.8 | 27.0 | 42.2 | 1.3 |
300~999人 | 17.2 | 58.7 | 27.0 | 50.3 | 1.3 |
1000~4999人 | 17.4 | 49.3 | 32.6 | 48.0 | 1.5 |
5000人以上 | 20.1 | 41.3 | 35.9 | 46.4 | 1.7 |
- 応募率:書類選考人数÷プレエントリー数×100
- 書類選考通過率:面接参加数÷書類選考人数×100
- 内定率:内々定・内定者÷面接参加数×100
- 内定辞退率:内定辞退者数÷内定者数×100
- 全体の歩留まり:内定者数÷プレエントリー数×100
とくに「応募率」や「全体の歩留まり」の割合は、企業規模と比例していることがわかります。歩留まりを算出する際には、自社の企業規模と上図を比較して分析してみてください。
なぜ採用の歩留まりが低い?よくある6つの原因
歩留まりの低下においてよく見られる原因を6つご紹介します。
①:他社に比べ選考スピードが遅い
選考スピードが遅いことは、採用の歩留まりが低下する大きな原因の一つです。
新卒採用・中途採用ともに、就職活動を行っている人のほとんどは同時に複数社の選考を受けています。とくに転職活動の場合は、「失業手当の受給期間が終わってしまう」「現在の会社を早めに退職したい」など、一刻も早い内定を求め、先に内定が出た企業に流れてしまうケースが多いです。
また、対応が遅い企業は、「求職者に誠実でない」「自分が後回しにされている」などといったマイナスイメージが醸成されてしまうことで求職者の意欲が低下し、辞退者を出す原因にもなります。
②:求人情報と面接内容に乖離がある
「いざ面接に参加したら、面接官が求人情報と異なる説明をしていた」といったケースも、選考中に辞退者が増える原因です。たとえば、求人票には「残業時間は10時間程度」と書かれている一方で、面接官が「うちの部署は月によって30時間超えることもある」と話した場合、候補者は企業に対して不信感を抱いてしまうでしょう。
また、具体的な労働条件以外にも「事前情報ではフラットな職場というイメージだったが、面接官が高圧的だった」など、社風のギャップもよく聞かれます。
良く見せようとして求人票に虚偽の記載をしないことはもちろん、事前に求人票の内容を面接官と擦り合わせておくことも、大事なポイントです。
③:求める人物像(ペルソナ)が曖昧
歩留まりが悪い原因の一つとして、求める人物像(ペルソナ)が統一されていないことも挙げられます。採用手法やチャネルは、求める人物像が明確になって初めてその効果を発揮します。そのため、ペルソナが曖昧な状態では、本来内定が出るレベルの人材からの応募が集まらず、応募率や選考通過率が低下してしまうのです。
また、求める人物像が曖昧だと、人事側と現場側の選考基準に差異が生じてしまい、なかなか採用に繋がらないといった事態を引き起こしてしまう可能性もあります。
④:自社の魅力が十分に伝わっていない
求めるターゲットに対して企業の魅力が十分に伝わっていないことも、歩留まりが低下する原因です。
そもそも候補者が選考に参加するのは、ある程度の動機形成がなされ、自社に魅力を感じているからです。裏を返せば、志望動機が不十分だと、選考日程を提示された際にほかの用事より優先度が下がり「今回は見送ろう」と判断されてしまうのです。
そのため、訴求内容の検討や適切な採用チャネルの選別など、後述する採用ブランディングを行う必要があります。
⑤:周囲からの反対
とくに新卒採用で散見されるのが、両親はじめ周囲の人々の意見に入社意欲を左右されてしまうケースです。たとえば「本人は成長できそうなベンチャー企業に就職したかったが、大手企業を勧める両親に反対されてしまう」といったケースです。
状況に応じたフォロー体制の構築はもちろん、求人票の時点で知名度以外での安心材料となる情報を発信するなどの対策が有効です。
⑥:SNSや口コミの影響
近年では、応募前にSNSや口コミサイトなどで企業の評判を確認することが一般的になりました。実際に企業で働く人や退職者など社内の声だけでなく、選考参加者による面接官への印象も多く投稿されており、もはやSNSや口コミサイトは企業イメージを左右する力を持つと言えるでしょう。
常に社員に対して誠実な対応をとるのはもちろんですが、面接時など社外の人と関わる際には「評価する」と同時に「評価されている」という市況感を持つことが重要です。
採用の歩留まりが低下しがちな3つのフェーズとその対策
これからは、とくに歩留まりが低下しやすい3つのタイミングとその原因、改善策までをご紹介します。
①:求人への応募率
応募率が少ない原因は、主に以下の3点が考えられます。
原因①:採用ターゲットと採用手法がマッチしていない
【対策】
- ターゲットが多く集まる媒体を選定する
- 利用している媒体の歩留まりを算出し、歩留まりが悪い媒体をほかの媒体に置き換える
原因②:求人情報が拡散されていない
【対策】
- 拡散性の高いSNSを利用する
- SNSのアルゴリズムを理解し活用する
原因③:自社の魅力や情報が不足している
【対策】
- ターゲットに刺さる訴求になるよう、求人情報を見直す
- 「どんな人材を求めているか」を具体的に盛り込む
②:初回面接参加率
初回面接の参加率が悪い場合は、新卒採用、中途採用ともに候補者の意欲が不足しているケースはもちろん、とくに中途採用では「そもそも遠くて面接に参加できない」といった物理的な原因も挙げられます。
原因①:動機形成が不十分
【対策】
- 書類選考のフィードバックを行う
- 書類選考後、資料や動画などで会社説明の場をつくる
- 面接前のカジュアル面談実施など、候補者とのタッチポイントを増やす
原因②:面接候補日に都合が合わなく、面接に参加できない
【対策】
- オンライン面接を実施する
- 可能であれば土日や17時以降も面接の場を設ける
③:内定承諾率
内定獲得まで面接に足を運ぶモチベーションがあるということは、フォローの仕方によっては承諾意向に傾く可能性が十分にあります。
原因①:就業イメージができないなど、候補者が何かしらに不安を感じている
- 丁寧なヒアリングで懸念を明確にし、状況に応じたフォローをする
- 人事だけでなく、配属予定先などの現場を巻き込んだアプローチを行う
原因②:競合他社との比較で負ける
- 他社の優先度が高い理由を明確にし、自社を選ぶメリットを提示する
- 面接時であらかじめ他社選考の状況をヒアリングし、他社より先に内定を出す
採用の歩留まりを改善するための4つのポイント
この章では、採用の歩留まりを改善する具体的な方法を4つご紹介します。
①:フェーズごとに歩留まりを分析する
採用歩留まりは、やみくもな対策では改善できません。まず行うべきは、とにかく自社の歩留まりをフェーズごとに分析することです。
どのタイミングで離脱者が多いのかを把握できれば、原因ごとに適切な対策を講じることができ、歩留まりの改善が見込めるでしょう。
②:採用フローの短期化と迅速な対応
先述のとおり、長期間にわたる選考は心理的負担がかかるだけでなく、入社意欲が下がってしまう原因にもなります。せっかく出会えた人材が他社に流れてしまわないよう、具体的には選考開始から1か月程度で内定が出せるとベストです。
また、選考中のメール返信なども迅速に行い、可能であれば選考結果は3日以内、候補者からの問い合わせなどは翌日中に返信できるとよいでしょう。迅速な対応は「誠実な企業」「自分を大切にしてくれる企業」というイメージを与え、企業意欲にもよい影響を与えます。
③:採用ペルソナを明確にする
自社が本当に求める人材を可視化し、できるだけ細かくターゲットを設定することも重要です。その際には、「コミュニケーション力が高い人」「成長意欲が高い人」などといった抽象的なものではなく、まるで実在する人物のように属性をプロフィールに落とし込む「採用ペルソナ」の設定が不可欠です。
採用ペルソナを設定することで採用手法やチャネルの選定にブレがなくなるので、ターゲットを中心とした応募が増えるでしょう。また、複数の面接官の評価軸がブレることがなく公平に評価できるので、企業にとって本当に欲しい人材が選考に残りやすく歩留まりの低下を防げます。したがって、採用ペルソナは、面接官への共有も徹底しましょう。
④:採用ブランディングに注力する
応募から入社まで採用活動全般の歩留まりを上げるためには、「この会社に入社したい!」と候補者に思わせる工夫が必要です。そのためには、自社の魅力をしっかりと把握し、それを求める人材へと発信する「採用ブランディング」が必要不可欠です。
3C分析やSWOT分析などで客観的に自社の立ち位置を分析したうえで、知名度や企業規模だけでない自社ならではの魅力を発信していきましょう。
⑤:入社に向けた動機形成やフォローを行う
内定が決まってから入社までの期間は、条件面や入社準備といった事務的なやりとりがメインになりがちです。内定者をグリップしつつ入社直前の離脱を避けるためには、以下のような内定者に寄り添ったフォローを行いましょう。
- 先輩社員とのフォロー面談
- トップ層からのビジョン共有
- 入社後のキャリアアップについての説明
- 内定者懇親会
丁寧なフォローは入社後のイメージをクリアにできるのはもちろん、「この会社でがんばりたい!」という動機形成に繋がります。
まとめ
この記事では、採用活動における歩留まりの計算方法や平均値、改善方法をご紹介しました。
書類選考や筆記試験など企業が意図して歩留まりを低く設定するケースはあるものの、採用歩留まりは選考過程全般において非常に大事な要素です。
自社の歩留まりを客観的に把握し改善策を練ることで、採用成功につなげましょう。