営業の採用は難しい?効果的な採用方法や採用単価を詳しく解説

現在、ほとんどの企業に「営業」というポジションがあり、組織強化のために採用をしている企業も多いでしょう。ただ、営業を採用する際にどのような基準を設定し、面接時にはどんな質問をすべきかなど、課題を感じる企業も多いはずです。

そこで本記事では営業人材の採用の難しさや、採用単価などについて、最新の採用市場の情報と合わせて解説していきます。

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目次

営業の採用難易度・採用市場について

営業職の採用難易度は、エンジニアや建設職といった専門職に比べると比較的難しくありません。専門的なスキルが求められる業界であれば採用が難しいですが、スキルや資格が問われないポジションであれば、ターゲットとなる人材が多いため採用成功率も高まります。

下記のデータでもご紹介しますが、採用市場には営業の経験を持つ若手人材も多いため、採用戦略次第では理想とする人材をかなり早く採用することができます。

営業の有効求人倍率は2.96

パーソルキャリア株式会社が発表した転職求人倍率レポート(2024年6月)によると、営業職の有効求人倍率は2.96とされています。

ITエンジニアなど他の専門職種と比較してみると、営業の有効求人倍率はあまり高くないことがわかります。

職種有効求人倍率
ITエンジニア11.02
機械・電気エンジニア5.88
建設・不動産専門職5.88
コンサル・金融専門職6.83
(出典:転職求人倍率レポート(2024年6月)

上記のデータのとおり、専門的なスキルが必要なITエンジニアやコンサルといった職種は倍率が高く採用が難しいです。

一方で営業は倍率2.96と他職種に比べると低く、採用成功率は比較的高いです。ただ、それでも1人の求職者に対して約3件の求人がある状態なので、誰でも簡単に採用できるという訳ではありません。

多くの企業が営業職を必要とし求人広告を出稿していることもあり、業界によっては1人を複数の企業が取り合う形になることも考えられます。求人倍率が低いとしても、求職者が多くの企業を比較検討するため、自社ならではの強みや魅力を発信していく必要があります。

若手の営業経験者が多い

株式会社マイナビが発表した「新卒総合職で事務系希望→営業職配属だった人の割合は?」によると、新卒総合職として入社した人材の29%が営業としてキャリアをスタートします。他の職種と比べて営業に配属される人材が最も多いため、若手営業経験者が市場に多いという基準になるでしょう。

第二新卒層や若手の営業の採用を検討している企業であれば、ターゲットが多く母集団の形成が狙いやすいこともポイントです。若手以外の人材にも、少なくとも営業経験を持つ人材は一定層存在するため、営業経験のある人材をターゲットにした際も、ある程度の母集団の形成が期待できます。

未経験歓迎の募集が多い

現在の採用市場を見ていくと、未経験歓迎で営業職を募集する企業が多い傾向があります

2024年7月時点でパーソルキャリア株式会社が運営するdodaの求人を見ていくと、営業職の募集が全体で2,142件公開されており、そのうち1,720件が営業未経験歓迎の募集です。

多くの場合、営業では経験や特別なスキルを必要とされないケースが多く、コミュニケーション力があったり、社会人経験があれば採用する企業も少なくありません。

リソースが少なく、研修や指導に時間を割けない企業は難しいと思いますが、教育する余裕がある企業は、未経験から営業の募集を行っているようです。

営業の平均採用単価

株式会社キャリアデザインセンターが発表した「中途採用アンケート調査」によると、営業の平均採用単価は以下の通りとなっています。

経験値単価
営業未経験者46万円
営業経験者79万円

営業経験の有無により採用単価は変化しますが、上記の金額が一定の基準となるでしょう。

営業経験者の場合、入社後は即戦力として利益を上げていくことが期待されているため、一定以上の営業スキルを持っていることが想定されます。

すでに実績を上げている営業を必要とする企業の方が多いため、営業未経験の採用よりも採用単価が上がり、採用難易度も難しくなっていくのです。

また、上記はあくまでも「採用単価」の話であって「採用にかかる総コスト」ではないので、採用人数が少ない企業は倍程度のコストが発生する可能性もあります

また、同じく株式会社キャリアデザインセンターの調査、「中途採用アンケート調査」によると、採用が難しいとされるITエンジニアの平均採用単価は113万円とされています。このデータからも、他の専門職種と比較すると、営業人材の採用はそこまで高額な予算は必要ないことがわかります。

営業の採用においてよくある課題

営業の採用が難しいと感じる企業は、共通した課題を抱えているケースが多いです。

【営業の採用における課題】

  • 母集団形成のしづらさ
  • ターゲットの選定の難しさ
  • 経験者が市場に少ないこと

有効求人倍率が他の職種よりも高くないとはいえ、多くの企業が営業の採用活動を行っています。そのため、具体的なターゲットを選定し、競合他社と差別化をした上で採用活動をスタートさせないとなかなか採用が難しいです。

また転職市場に営業職の経験がある人が少なく、即戦力採用となると母集団形成がさらに難しくなることも課題です。

具体的な採用課題の解決方法は、本記事の「新規開拓営業を採用する際のポイント」や「ルート営業(カスタマーサクセス)を採用する際のポイント」を参考にしてください。

優秀な営業担当に必要な要素は?

営業を採用する際は、どのような要素が必要なのかを事前に知っておく必要があります。そして、候補者が一定以上の要素を身につけているか、しっかりと選考で見定めましょう。

論理的思考力

営業人材にまず必要なのが、論理的思考能力です。営業は単にモノを売るだけの職種ではなく、営業を通して顧客の課題解決を行うポジションです。

特にSaaSや広告といった無形商材を販売する営業にとって、論理的思考能力は欠かせません。顧客の課題や潜在ニーズを把握したうえで、どのように自社の商材で解決できるのかといった道筋を見つけるスキルが求められます。論理的に物事を考えたうえで、どのように顧客の悩みを解決するかといった、論理的思考力や課題解決力が営業に必要な要素です。

面接時には論理的思考力を試す質問やテストをしたり、営業経験があれば過去の実績について質問をすると良いでしょう

コミュニケーションスキル

常に人と接する営業では、コミュニケーションスキルも欠かせません。顧客へのヒアリングや課題に関する質問を行う際はもちろん、社内の他部署と連携を取る際など、とにかく人と接するシーンが多いです。

面接時の受け答えはもちろん、メールの返信内容や対面で会った際の服装、態度などもしっかりとみた上で慎重に見極めましょう。

数字に対する意識

特に新規開拓など利益・売上を作っていくポジションにおいては、数字に対するコミットメントも重要です。個人で予算を持つ営業の場合は、そもそも目標数値を達成するための高い意識が欠かせません。

営業未経験の場合は人間性などで判断し、営業経験の場合は過去の売り上げなどを質問してみることがおすすめです。ただ、数字に対する意識ばかりの質問になってしまうとノルマがきつい企業だと勘違いされるケースもあるため注意してください。

信頼関係の構築

顧客を持ち、商品を販売する営業は信頼関係の構築も大切なスキルの一つです。顧客目線から見ると、予算を託してその担当者に期待をしています。

そのため、営業人材には顧客から信頼関係を得られるための「信頼関係の構築スキル」が求められます。面接時の質問で信頼関係を構築できるか判断することはもちろん、選考時のやり取りや時間や期限に遅れないかといった観点から、人となりを見分けましょう。

新規開拓営業を採用する際のポイント

営業を採用する場合、業務内容により採用難易度が変わります。まずは、新規開拓営業を採用する際のポイントを解説していきます。

テレアポ・飛び込みの有無

新規営業の場合、過度なテレアポや飛び込み営業が多いと、採用が一気に難しくなります。新規営業を探している求職者の中で、テレアポや飛び込みの有無を応募基準としているケースも少なくありません。

もしも業務上テレアポがあるのであれば、マーケティング部がリストを作っていたり、過去に問い合わせがあった顧客を中心に行う(掘り起こし営業)など、補足を伝えていくと良いでしょう。飛び込み営業がある場合は、どれくらいの頻度で行うのか、実際に話を聞いてもらえる確率はどれくらいか、それによってどんなスキルが身につくのかなど「その業務に魅力を感じてもらえるような伝え方」を意識しましょう。

もしくはインセンティブや賞与の高さをアピールし、「大変な仕事だけどその分稼げる」といった、別の側面からのフォローも効果的です。

契約率の高さ

次に営業を目指す人にとって、契約率の高さは重要なポイントです。できたばかりのサービスや、競合他社が多く契約率が低い商材を取り扱っている場合、採用が難航する可能性があります。

そのため、逆に商材の契約率が高い場合は求人票や選考の中で具体的な数字を伝えることがおすすめです。

もしも契約率が低いのであれば、その代わりに1件契約できれば売り上げが大きく計上できるなど、他のメリットを提示することで契約率の低さによる懸念をカバーしましょう。

商材の売りやすさ

営業人材にとっては「商材の売りやすさ」も重要なポイントです。

商材が差別化されておらず競合他社が多かったり、そもそも金額が高すぎて契約が取りづらいなど、売りづらい商材を取り扱っている場合は採用が難しくなります。その場合は、商材を通して具体的にどのような課題解決ができるのかなど、社会貢献性を伝えていくことも重要です。

前提として、社会的に需要のある商品であれば、一定の求職者は魅力を感じてくれるでしょう。さらに、自社にしかできない取り組みであったり、差別化ポイントを伝えることで求職者にとって「この商材を売りたい」「この商材なら売れる」と思ってもらえます。

ルート営業(カスタマーサクセス)を採用する際のポイント

ルート営業(カスタマーサクセス)は、新規営業の採用と異なり、既存顧客に対して定期的に営業を行うポジションです。

新規営業とは業務内容が異なるため、ルート営業ならではの採用のポイントを抑えておく必要があります。

担当顧客数

ルート営業は既存のお客様とのやり取りがメインとなるため、担当顧客数が多いかどうかは判断基準のひとつになります。新規営業は予算が足りなければ自分から顧客数を増やしていけますが、ルート営業の場合は異なります。

担当顧客数が少ないと予算達成が難しいと判断されるため、営業一人当たりの担当顧客数が十分に確保できている場合は、面接時に伝えると効果的です。

リピート契約率

顧客リピート率もルート営業の場合は大切な判断基準となります。当たり前ではありますが、リピート契約率が極端に低いと求職者が不安に感じてしまいます。

ルート営業を希望する求職者は、基本的に新規開拓やテレアポを避ける傾向が強いです。そのためリピート契約率が悪く、最終的に新規開拓の営業も必要な将来を想像されてしまうと採用難易度が格段に上がります。

顧客との関係性

一方で、そもそも顧客と関係性ができているかどうかもルート営業の採用においては大切なポイントです。

昔からの顧客が多かったり、業界的にも支持を得ているポジションに位置していれば、会社の安定性とともに顧客との良好な関係性もアピールポイントとなるでしょう。

経験別営業職の採用方法

営業を採用する場合、経験の有無で採用手法や難易度が変わってきます。

理想とするターゲットの経験値に合わせて、適切な採用戦略を立てていくことが採用成功のポイントです。

営業経験者の採用

営業経験者の採用は、未経験と比較するとやや難しいです。経験のある人材を採用する場合、以下のポイントを抑えるようにしましょう。

【営業経験者を採用するポイント】

  • インセンティブの有無
  • 社内のマーケティング状況
  • 成約率の高さ

営業経験者であれば、成果に応じたインセンティブを気にするケースが多いです。経験者は特に、「スキルのある営業=稼げる」ということを知っています。パーソルマーケティング株式会社が発表した「営業の歩合・インセンティブが知りたい!具体的な相場や稼ぎやすい分野」によると、個人予算を超えた分の10%~20%程度がインセンティブの相場とされています。

また、営業経験がある人であれば、いかに営業においてマーケティングが重要かも理解しているはずです。顧客やリードは安定的に管理されているのか、社内でマーケティングを分担してくれる部署があるのか、営業が利用できるマーケティングツールがあるかなど、社内の連携具合も重要なポイントです。

最後に成約率の高さですが、営業を経験してきた人であれば、商談数と契約件数からおよその成約率を把握できます。その際に成約率が極端に低いと、経験者からは「営業が難しい企業」と判断される可能性があります。

成約率の高さを1つの企業選びの軸としている人も少なくないため、可能な範囲で成約に関する情報も公開しましょう。

営業未経験者の採用

営業未経験者の採用は、経験者の採用と大きく異なり、教育体制や研修制度が判断基準になる場合が多いです。

【営業未経験者を採用するポイント】

  • 研修制度の有無、内容
  • 独り立ちまでの期間
  • メンター制度

未経験から営業に挑戦する場合、一からスキルを習得できるのか、研修で知識を身につけられるかなどもポイントです。

また、実際に独り立ちまでの期間を伝えることで、どれくらい難しい営業なのかを求職者がイメージすることができます。

未経験から入社できるだけではなく、その後のサポート制度としてメンターがいるかどうか、営業初心者に対してのサポートが整っているか否かを気にする求職者もいます。

このように営業未経験者を採用する場合は入社時のハードルの低さと、その後の成長に関して自社の環境が整っている理由や、整い切っていない場合はどのようにフォローしていくのかを伝えていくと良いでしょう。

具体的なターゲットを選定すれば営業の採用単価を抑えられる

営業の採用とひとことで言っても、経験の有無や新規開拓、ルート営業などターゲットによって基準や採用単価や難しさが変わります。

ターゲットに合わせて面接時の質問も変えるなど、事前に営業の採用に関して戦略を立てておくことが重要です。

今後営業の採用を検討している企業は、事前にターゲットを明確にして、戦略的に採用活動をしてみてください。

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この記事の監修者

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業部長を担い、これまでに150社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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