ここ数年、採用市場は目まぐるしく変化しているため、採用の難易度が上がっていると感じる担当者も多いのではないでしょうか?
従来の採用手法が通用しなくなりつつある今、採用活動に「マーケティング視点」を取り入れた「採用マーケティング」に注目が集まっています。
そこで本記事では、採用マーケティングにおけるファネルの解説から、戦略を立てる際に実際に活用しているフレームワークなどを徹底解説します!
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採用マーケティングとは
採用マーケティングとは、マーケティングの考え方やフレームワークを採用活動に反映することです。
具体的には、採用ターゲットを調査し、認知〜入社・定着までをフェーズごとに分け、適切なチャネルで自社の魅力を訴求し、採用するといった一連の流れを指します。
採用マーケティングにおけるファネルとは?
採用マーケティングは、採用活動における認知から入社後までのプロセスを、以下の図のような「ファネル(マーケティングにおける顧客行動のフレーム)」として捉えることが特徴です。
採用活動における候補者のファネルを考えるうえで重要なポイントは、「候補者の心理や行動は、フェーズごとに変化する」ということ。採用マーケティングの目的は、「狙ったターゲットに対して適切なタイミングで適切なアプローチ方法を行い、採用成功の可能性を戦略的に最大限に高めること」です。
従来の採用活動との違い
採用マーケティングと従来の採用活動との主な違いは、「ターゲット層」と「注力する採用領域」の2点です。
従来の採用活動でのターゲット層は、自社に応募してきた転職顕在層(=すぐに転職したい人々)から「選ぶ」ことがメインでした。ところが採用マーケティングでは、最終目標から逆算して自社の認知拡大や訴求を行うため、顕在層に加えて転職潜在層(=今すぐではないが、将来的には転職を考えている人々)にも目を向けています。
待つだけで優秀な人材が獲得できた時代とは異なり、採用市場が激化している現代に合わせて今後は「採用マーケティングの考え方ができるか否か」が重要になるのです。
採用マーケティングと採用ブランディングの違い
採用マーケティングとは、採用活動の成功を目的に、手法やアプローチ方法など採用戦略を練ることを言います。一方、採用ブランディングとは、採用においてターゲットを集めるための訴求やブランディングを設計することを指します。
具体的には、採用マーケティングの「自社の魅力を訴求する」過程で、採用ブランディングを行う・活用するというイメージです。
なぜ採用マーケティングが必要なのか?
それでは、なぜ採用マーケティングがこれほどまでに注目されているのかについて、現在の社会的背景とあわせて見ていきましょう。
少子化による労働人口の減少
三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、2022年時点では約6900万人いる労働力人口が、2035年には約6210 万人まで減少するという試算をしています。
今後も続くであろう労働人口の減少により、採用市場の競争はより一層激しさを増すでしょう。そのような状況の中、採用マーケティングの「いかにして候補者に自社を選んでもらうか」という視点が重要なのです。
採用チャネルの多様化
従来の採用手法は、求人情報誌やハローワークなどの求人媒体で応募を待つことが主流でした。しかし現在は、労働人口の減少やインターネットの普及により、ダイレクトリクルーティングやSNSを用いた採用など、採用チャネルが年々多様化しています。
さまざまな方法で採用活動を行える一方、自社に合った手法を適切に選ばなければ、採用活動がうまくいかないというデメリットもあります。
採用活動を効率的に行うためには、採用ターゲットに合わせて、どのタイミングでどのような採用チャネルを使うかを戦略的に選択する必要があるのです。
働き方に対する価値観の変化
会社を選ぶ軸として、かつては収入や事業規模などの定量的な要素が重視される傾向がありました。しかし最近では、ライフワークバランスや社内の雰囲気、人間関係など、定性的な要因が優先されることが増えています。
(引用:NHK 20代が仕事選びで重視していることって?)
数字だけでは示せない訴求を候補者に届けることは、なかなか簡単ではありません。そのため、自社の魅力を適切に、そしてじっくりと伝えられる採用マーケティングが必要となってくるのです。
採用マーケティングを取り入れるメリット
採用マーケティングの主なメリットとして、ターゲット層の母集団拡大、定着・入社後の活躍、コスト削減の3つがあります。
ターゲット(有効人材)の母集団拡大
従来の母集団形成は、ターゲットを限定せず可能な限り広い層に訴求する、いわばマスマーケティング的な手法でした。
一方、採用マーケティングは、ターゲット層の行動や心理に合わせたチャネルを選定して訴求を行うので、より多くのターゲット層(有効人材)の母集団形成が可能となります。
ミスマッチの予防
明確な採用ペルソナを設定することは、採用マーケティングには必須の過程です。そして、ペルソナを元に採用活動を行うことで、自社にマッチした人材に出会いやすくなります。
また、フェーズに応じた的確な訴求をすることで、候補者側の企業理解も深まり、早期離職や内定辞退を防ぐことにもつながります。
コスト削減
採用マーケティングでは、ターゲット層に特化したアプローチを行います。そのため、かなり料金がかかる広告費や媒体のコストを、大きく削減することができます。
これまで無駄にしていたコストを本当に必要な費用に充てることで、費用対効果の向上にも繋がります。
採用マーケティングの5ステップ
それでは「具体的にどのような手順で採用マーケティングを行うべきか」について5ステップに分けてご紹介します。
ステップ①:自社分析
採用マーケティングを行う際には、まず採用市場における自社の立ち位置を客観的に分析することが大事です。
自社のストロングポイントやウィークポイントなどの内部要因の洗い出しから、競合企業のリサーチ、市場全体の動向などを複合的に分析します。
適切に分析するためには、以下のようなフレームワークを使うことが非常に効果的です。
・3C分析
・4P分析
・SWOT分析
・4P+D分析
これらのフレームワークについては、後述の「採用マーケティングで使用できるフレームワーク」にて詳しくご紹介しますので、ぜひ活用してみてください。
ステップ②:ターゲット層・ペルソナの設定
ステップ①の自社分析を元に、「どのような人材が必要か」といったターゲット像を明確にしていきましょう。経営戦略から逆算したり、各部門にヒアリングしたりすると効率的です。
ターゲットを明確にしたら、それを元にさらに深堀りしてペルソナを設定しましょう。たとえば以下の項目のように、ペルソナ像が具体的であればあるほどその後の採用戦略がスムーズになります。
・属性
例:年齢・性別・家族構成・居住地・収入・学歴・経歴など
・価値観
例:趣味・嗜好・人生観・仕事観・抱えている悩みなど
・その他
例:情報収集の手段・よく使うSNS・転職理由など
ここでペルソナ設定を曖昧にしてしまうと、採用活動に関わる担当者の間で選考の際の評価軸がぶれてしまったり、適切な訴求ができなかったりと、あちこちに悪影響が出る可能性があります。採用マーケティングを実務に落とし込む上で非常に重要なステップなので、ペルソナについてはできるだけ明確に言語化しましょう。
ステップ③:キャンディデートジャーニーマップを作成
ペルソナ設定が完了したら、次のステップは「キャンディデートジャーニーマップ」の作成です。
キャンディデートジャーニーマップとは、下の図のように、ファネルごとに候補者の心理や行動を順序だてて予測し、具体的なコンテンツを選定することです。
候補者の行動や心理はファネルによって大きく異なるため、認知から内定、さらに入社後まで正確にストーリーを組み立てることが、採用マーケティングの精度向上につながります。
ステップ④:ファネルに応じた採用手法の選択
続けて、適切なチャネルを選定していきましょう。認知・興味・検討・志望の4つのファネルに応じた効果的な採用手法やチャネルの例になります。
目的 | 採用手法やチャネルの例 | |
認知 | PV数を獲得する | ・拡散力の高いもの 例:SNS(XやTikTokなど)・多くのターゲット層に情報を伝えられるもの 例:イベント、広告など |
興味 | 関心を高める | ・自社ならではの内容を届けられるもの 例:社員インタビュー、YouTubeなど・広報機能が高いもの 例:Wantedly、オウンドメディアなど |
検討 | 応募をしてもらう | ・採用情報がわかるもの 例:採用媒体など・EVP(従業員価値提案)をアピールできるもの 例:カジュアル面談、インターンなど |
志望 | 選考に進んでもらう | ・候補者のグリップを握れるもの 例:ダイレクトリクルーティング、面接など |
ステップ⑤:採用の実践と分析・改善
ファネルごとにコンテンツを作成したら、いよいよ本格的に採用活動の開始です。
採用マーケティングでは、エントリー率や選考通過率などのKPIを、ファネルごとのデータを分析できるという強みがあります。定期的におに分析し、改善を繰り返していきましょう。
できるだけ速くPDCAを回すことで、次第に自社にとってベストな方向性が見えてくるでしょう。
採用マーケティングで使用できるフレームワーク
ここでは、採用マーケティングの第1ステップとなる「自社分析」に活用できるフレームワークを4つ紹介します。
3C分析
3C分析は、市場を【Customer(人材)】・【Competition(競合他社)】・【Company(自社)】の3つに分類し、自社がどのような立ち位置にいるかを客観的に分析する方法です。
このときに注意すべきポイントは、一番ハードルが低い「自社」から分析を始めないこと。なぜなら、その進め方では自社の強みありきの人材・競合分析になってしまう可能性があるためです。なるべく「人材」「競合他社」から始め、自社分析は最後に行いましょう。
4P分析
4P分析は、自社を【Philosophy(企業理念)】・【People(人・文化)】・【Profession(事業・業務内容)】・【Privilege(働き方・待遇)】の4つに分類し、自社の魅力を明確にすることです。
訴求の方向性を客観的に言語化することで、より多くのターゲットに自社を選んでもらえたり、自社にマッチした人材を採用できるようになります。
SWOT分析
SWOT分析は、【Strength(自社の強み)】・【Weakness(自社の弱み)】・【Opportunity(採用機会)】・【Threat(採用活動における脅威)】の4つの要素から、自社を客観的に分析する手法です。
内部環境と外部環境を組み合わせて分析することで、どのような人材をどのような手法で採用すべきか、自然と可視化できるでしょう。
エンジニア採用には4P+D分析
IT技術の需要が上がるにつれ、年々難易度を増すエンジニア採用。IT系人材の採用における採用マーケティングには、「4P+D分析」が非常に効果的です。
4P+D分析とは、既述した4P分析の【Philosophy(企業理念)】・【People(人・文化)】・【Profession(事業・業務内容)】・【Privilege(働き方・待遇)】に、エンジニア要素の【Development(開発にまつわること)】加えた分析方法です。
【Development】の要素では、具体的にどのような開発手法や開発チームなのか、エンジニアとしてどのように成長できるか、勉強の機会や環境は整っているかなど、エンジニアが興味を抱く内容を盛り込んだ上で、分析を進めましょう。
採用マーケティングを成功させる裏技
ここまで紹介してきた採用マーケティングですが、よりスムーズに実践する裏技を、以下3点ご紹介します!
①担当者がマーケティング知識を身に付ける
これまでの採用担当者は、応募者に対する営業力やコミュニケーション力などが重視されてきました。しかしその方法に頼りすぎてしまうと、採用担当者の人柄など定性的な要素に依存してしまい、長期的にPDCAをブラッシュアップするのが困難になります。
したがって、採用担当者全体でデータの分析や企画力などのマーケター視点を養うことが、安定的な採用活動への近道となるでしょう。
また、企業に十分なリソースがあれば、採用チームの中に自社のマーケターに入ってもらうのも有効です。
②ATSやMAなど、採用マーケティングに便利な採用ツールを使う
採用マーケティングを効率よく行うために、ATSやMAなどのツールもおすすめです。採用業務効率化により、より高いレベルの採用活動になります。
・ATS(採用管理システム)
ATSとは(Applicant Tracking System)の略称で、採用業務を一元化できるツールです。
複数の媒体やルートを跨いでの一元管理が可能になるので、時間やコストが大きく削減できます。また、担当者間の情報共有ができるのも大きなメリットといえるでしょう。一般的には、以下のような機能が装備されています。
・求人情報の管理
・応募者管理
・選考状況の管理
・データ分析
・内定者管理
・MA(採用マーケティングプロセスを自動化するツール)
MAとは「Marketing Automation」のことで、採用マーケティングのプロセスを自動化・効率化するためのツールです。たとえば、膨大な手間とコストがかかるメール作業を自動で処理してくれたり、適切なタイミング・適切な場所で応募者にアプローチしてくれたりします。
これにより、採用マーケティングの質の向上や、候補者との良好な関係を築くのに役立ちます。
③採用コンサルティングや採用代行と伴走する
書籍やセミナーなどでマーケティング手法を学ぶのも手ですが、初めてマーケティングに触れる採用担当者にとっては、即座に実践に落とし込むことはハードルが高いのも事実です。
そんなときは、採用マーケティングのノウハウを蓄積するための第一歩として、採用コンサルティングや採用代行など採用のプロに頼るものよいでしょう。
採用コンサルティングや採用代行を使えば、外部の冷静な視点やノウハウが入ります。これは、採用マーケティングにおいてとくに大切になる「客観的な分析」にも役立ちます。
まとめ:今後の採用難を乗り越えるには
リクルートワークス研究所の調査によると、年を追うごとに人材確保の難易度が増しており、今後も採用担当者の頭を悩ませる状況は続いていくものと見られます。
その中で重要となるのが、「自社の魅力をなんとなくアピールし、候補者からの応募を待つ」という従来の採用活動から、「採用目的から逆算し、データをもとに仮説を立て実践し、分析・改善していく」というマーケティング思考への変換です。
採用活動に課題を抱えている方がいらっしゃいましたら、今回ご紹介した方法をぜひ参考にしてみてくださいね。