始末書とは?正しい書き方・例文テンプレート・顛末書との違い・提出時の注意点を徹底解説!

ビジネスの現場で避けては通れない「始末書」。
何があった時に必要となり、どのように書けばよいのか…正しい知識と書き方を押さえておけば、万一のトラブルでも冷静に対応できます。
本記事では、始末書の基礎知識から書き方、例文テンプレート、企業側の注意点や便利ツールまで、誰でも実践できるノウハウを徹底解説します。

目次

始末書とは

始末書とは、業務上のミスやトラブルが発生した際に、その事実と経緯、反省の意、再発防止策を記載して提出するビジネス文書です。
始末書の役割は、単なる謝罪や説明だけでなく、組織内の信頼回復や再発防止を目的としています。

始末書の目的と意味

始末書の最大の目的は、発生した問題について責任の所在を明確にし、事実関係を客観的に記録することです。
加えて、関係者や会社に対する迷惑や損害について反省の意を表し、今後同じミスを繰り返さない意思を示します。
こうした文書は、組織の信頼維持やガバナンス強化の観点からも非常に重要です。
始末書は自分自身や関係部署だけでなく、会社全体の信用問題にも直結するため、内容には慎重さが求められます。

始末書を提出させるべきケースの具体例

始末書が求められるケースはさまざまですが、代表的な例として以下が挙げられます。
納品ミス、顧客対応トラブル、情報漏洩、社内規定違反、SNS不適切投稿など、会社の信用や業務に大きな影響を与える事象が発生した場合は、始末書提出が必須となることが多いです。
軽微なミスや単なる注意だけで済まないトラブルが生じた際に、組織として原因・再発防止策を明確にするために、始末書の提出が求められます。

始末書・顛末書・反省文・謝罪文の違い

始末書とよく似た文書に「顛末書」「反省文」「謝罪文」がありますが、それぞれ目的や内容が異なります。
始末書…主にミスやトラブルの内容と責任、反省、再発防止策を記載する
顛末書…事実経過の詳細な説明・報告が中心で、謝罪や再発防止は求められない
反省文…自分の行動を振り返り、反省の意を中心に記載する
謝罪文…相手への謝罪を目的とした手紙やメール
これらの文書は、発生した問題の種類や会社の方針によって使い分ける必要があります。

始末書の書き方と基本構成

始末書を書く際には、決まったフォーマットやポイントを押さえて作成することが大切です。
書く内容が曖昧だったり抜け漏れがあると、真摯な姿勢が伝わらず、逆に信頼を損なう原因にもなりかねません。
この章では始末書に欠かせない5つの基本項目と、書き方の流れについて詳しく解説します。

始末書に記載すべき5つの項目

正しい始末書は、「何が」「なぜ」「どうして」「どのように」起きたかを明確に記載しなければなりません。
ここでは最低限押さえておきたい項目を5つに整理します。

① 事実の詳細と経緯を正確に記載する

まず最初に、起きた事実を時系列で漏れなく、かつ正確に記載することが重要です。
どのようなミスやトラブルが、いつ、どこで、どのような経緯で発生したのかを簡潔かつ具体的に書きましょう。
曖昧な表現や推測は避け、実際の状況や数値データを交えて記述することで、内容に説得力が生まれます。

② 迷惑をかけた相手・部署への謝罪を述べる

問題を起こしたことで迷惑や損害を被った相手や部署に対して、率直に謝罪の意を示すことが不可欠です。
「このたびは◯◯にご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます」など、誠実な言葉を用いて謝罪の気持ちを表現しましょう。
この部分が形式的になってしまうと、誠意が伝わらず逆効果になる場合もあるので注意が必要です。

③ ミス・トラブルの原因分析を行う

次に、自分の行動や判断にどんな問題があったか、なぜそのようなミスが起きてしまったのかを具体的に分析します。
主観や感情論ではなく、客観的な視点で原因を洗い出すことが再発防止にもつながります。
「うっかり」や「たまたま」ではなく、根本的な原因まで掘り下げて記載することがポイントです。

④ 改善策・再発防止策を具体的に示す

問題が再発しないために自分自身やチームとしてどのような取り組みを行うか、具体的な改善策・再発防止策を記載しましょう。
「今後は注意します」だけでは不十分です。
「チェックリストを導入する」「ダブルチェックを徹底する」「定期的な研修を受ける」など、行動レベルに落とし込んだ対策を明示してください。

⑤ 日付・署名などの基本情報を忘れずに記載する

最後に、始末書を作成した日付、所属部署、氏名を正確に記載しましょう。
また、必要に応じて上司や関係者の確認欄を設けることもあります。
これらの基本情報が抜けていると正式な文書として扱われない場合もあるため、必ず確認しましょう。

始末書を書く際の注意点

始末書は単なる形式文書ではなく、自分の責任や再発防止の意思を伝える大切なビジネス文書です。
書き方や提出方法を誤ると、信頼の回復が難しくなったり、事態を悪化させる可能性もあります。
ここでは始末書を書く際に絶対に押さえておきたい注意点を4つ紹介します。

事実を正直に書くこと

事実の隠蔽やごまかしは、後で発覚した際に大きな信用失墜につながります。
始末書は、発生した事実をありのまま、正直に記載することが最も大切です。
自己保身のために嘘や言い訳を書くのは絶対にNGです。
「誰のための始末書なのか?」を意識して、誠実さを持って記載しましょう。

日付・時刻を明確にすること

起きた出来事について、「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」発生したのかを明確に記載します。
特に日付や時刻が曖昧だと、後で経緯や責任の所在が不明確になってしまいます。
日付・時刻は数字で具体的に書くことを徹底しましょう。

簡潔で読みやすくまとめること

どんなに内容がしっかりしていても、長すぎたり要点がまとまっていない始末書は相手に負担をかけてしまいます。
箇条書きや段落分けを意識し、簡潔でわかりやすくまとめるのがコツです。
ダラダラとした言い訳や感情的な表現は避け、読み手の立場を考えた文章を心がけましょう。

速やかに提出すること

問題が発覚した場合、できるだけ早く始末書を作成・提出することが大切です。
対応が遅れると「反省の色が見えない」「誠意が感じられない」と判断され、評価を下げてしまうことも。
状況整理や関係者との確認を済ませたら、速やかに提出できる準備をしておきましょう。

始末書の例文・テンプレート集

実際に始末書を書くとなると、どんな文章にすれば良いか悩む方も多いはずです。
ここではよくあるトラブル別に始末書の例文・テンプレートを用意しました。
各事例ごとに、ポイントを押さえた文章例を参考に、自分のケースに合わせてアレンジしてみてください。

例文①|納品ミスをしてしまった場合の始末書

令和◯年◯月◯日、取引先A社向け商品の納品において、発注内容の確認不足により誤った商品を出荷するミスを犯しました。
この度のミスによりA社ご担当者様および関係部署に多大なご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。
原因は出荷前のダブルチェックを怠ったことと、発注書と現品の照合作業を省略した点にあります。
今後は納品前のチェックリスト運用を徹底し、再発防止に努める所存です。
令和◯年◯月◯日 営業部 山田太郎

例文②|取引先へのメール誤送信に関する始末書

令和◯年◯月◯日、取引先B社に社外秘情報を誤って送信してしまうミスが発生しました。
このたびはB社ご担当者様ならびに社内関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけしたこと、心よりお詫び申し上げます。
原因は宛先入力時の確認不足およびメール送信前の添付ファイル確認を怠ったことです。
今後は送信前の宛先・添付内容チェックを必ず実施し、メール誤送信防止ツールの活用も進めます。
令和◯年◯月◯日 管理部 佐藤花子

例文③|営業車で物損事故を起こした場合の始末書

令和◯年◯月◯日、営業活動中に社用車の運転操作を誤り、駐車中の他車両に接触し物損事故を発生させてしまいました。
事故により関係者ならびに会社にご迷惑とご負担をおかけしたこと、深く反省しております。
原因は安全確認不足および車間距離の認識が甘かったためです。
今後は運転前の安全意識向上研修への参加と、運転時の確認動作徹底に努めます。
令和◯年◯月◯日 営業部 田中一郎

例文④|会社支給スマートフォンを紛失した場合の始末書

令和◯年◯月◯日、外出先にて会社支給のスマートフォンを紛失しました。
関係者および情報管理担当部署の皆様にご迷惑をおかけし、申し訳ありません。
原因は私物との管理を混同し、定期的な所持品確認を怠ったためです。
今後は管理ルールの見直しと、社用端末の紛失防止アプリ導入を徹底します。
令和◯年◯月◯日 総務部 鈴木二郎

例文⑤|社内規定に違反するSNS投稿を行った場合の始末書

令和◯年◯月◯日、個人SNSアカウントにおいて社内規定に違反する投稿を行い、会社の信用を損ねてしまいました。
関係者および会社全体に多大なご迷惑をおかけしたこと、深くお詫び申し上げます。
原因は社内SNSガイドラインの理解不足と、投稿前のリスク確認を怠ったことです。
今後は規定の再確認と、SNS利用前の内容確認体制を徹底します。
令和◯年◯月◯日 企画部 中村三郎

始末書を提出させる際の企業側の注意点

従業員に始末書の提出を求める場合、企業側にも配慮すべきポイントが多数存在します。
単に書類を集めれば良いというものではなく、合理性や法的観点、社員の人権尊重など、多角的な視点が求められます。
ここでは、企業が始末書の提出を命じる際に気をつけたいポイントを具体的に解説します。

業務命令として提出を求める際の合理性確認

始末書の提出を求める際は、その命令が業務上の必要性や合理性に基づいているかを必ず確認しましょう。
感情的な叱責やパワハラと誤解されるリスクを避けるためにも、客観的に見て妥当な理由がある場合のみ命じるべきです。
例えば「社内規定違反」や「重大なコンプライアンス違反」など、組織運営上の必然性がある場合に限り、始末書の提出を求めるのが適切です。

懲戒処分を行う場合の法的手続きと妥当性

始末書の提出と同時に懲戒処分を検討する場合は、就業規則や労働関連法に基づく厳格な手続きが必要です。
処分内容の妥当性や、本人の弁明機会を十分に確保することが求められます。
また、「懲戒処分の前提としての始末書提出」は本人への過度なプレッシャーとならないよう配慮し、公平な運用が不可欠です。

社員の人格を尊重した指導とフォローの重要性

始末書を提出させる際、指導や指摘が社員の人格否定にならないよう細心の注意が必要です。
あくまで業務上の改善と再発防止を目的とし、必要に応じて面談やフォローアップの機会を設けましょう。
社員のメンタルヘルスやモチベーション低下に配慮しながら、組織としての信頼回復と成長を支援する姿勢が大切です。

始末書提出後の対応と社内フォロー

始末書の提出がゴールではありません。
本当に大切なのは、その後の対応や再発防止への取り組みです。
ここでは、始末書提出後のチェックポイントや、組織としてのフォロー体制について詳しく解説します。
ミスを繰り返さないためのプロセス構築が、信頼回復と組織力の向上につながります。

再発防止策の実行状況を確認する

始末書で記載した再発防止策が、きちんと実践されているかどうかを必ずフォローしましょう。
単に書面上の対策だけでなく、実際に業務フローやルールに落とし込まれているか、現場で運用されているかが重要です。
定期的な進捗確認や面談、チェックリストによる管理など、具体的なモニタリング方法を導入することで、再発リスクを大幅に減らせます。

行動改善が見られない場合の次のステップ

再発防止策を講じてもなお、改善が見られない場合や同様のミスが繰り返される場合は、さらなる対応が必要となります。
追加の研修や配置転換、指導の強化など、個別の状況に応じて段階的なフォローを検討しましょう。
それでも改善が認められない場合は、就業規則に則った懲戒処分を視野に入れる必要もありますが、その際も公正なプロセスを遵守することが大切です。

改善が見られた場合の評価と信頼回復支援

逆に、再発防止策が着実に実践され、行動改善が見られた場合には、適切な評価や信頼回復のためのフォローも忘れずに行いましょう。
具体的な成果や改善ポイントをしっかり認めることで、本人のモチベーションアップや職場の雰囲気向上につながります。
また、ミスをきっかけに組織全体でプロセス改善を進めるなど、前向きな学びと成長の機会として活かすことも可能です。

始末書の法的効力と保存期間

始末書は感情的なやり取りや単なる社内手続きで終わるものではなく、場合によっては法的効力や証拠性を持つ重要な文書となります。
この章では、始末書の法的な位置付けや保存義務、労働契約法・個人情報保護との関係について、知っておくべきポイントを詳しく解説します。

始末書は懲戒処分の証拠となるか

始末書は従業員によるミスや規定違反があったことを記録する証拠文書として、懲戒処分や社内措置の根拠となる場合があります。
ただし、始末書だけをもって一方的な処分が自動的に認められるわけではなく、就業規則や労働法に基づいた手続き・本人への説明責任が重要です。
また、本人が納得しないまま強制的に提出させたり、虚偽内容を記載させることは違法と判断される可能性もあるため注意が必要です。

労働契約法・個人情報保護の観点からの注意点

始末書は「個人情報」かつ「労働関係文書」として適切な管理・保存が求められます。
保存期間については明確な法的義務はありませんが、退職後5年程度保管する企業が多い傾向です。
また、第三者への不用意な開示や目的外利用は個人情報保護法違反となるため、管理責任者を定めた上で厳重に保管しましょう。
保存期間満了後は、速やかに適切な方法で廃棄することも大切です。

始末書作成を効率化する便利ツール

始末書の作成はどうしても手間がかかりがちですが、便利なツールやテンプレートを活用することで大幅に効率化できます。
この章では、無料で使えるテンプレートやデジタル管理ツール、社内フロー自動化サービスなど、実務に役立つツールを紹介します。

Word・PDFで使える無料テンプレート

始末書は一から作成するよりも、フォーマットが整ったテンプレートを使うと非常にスムーズです。
インターネット上には、WordやPDF形式の始末書テンプレートが無料でダウンロードできるサービスが多数あります。
会社の書式に合わせてカスタマイズもしやすく、必要事項を書き込むだけで完成度の高い始末書が作成できます。
また、誤字脱字や抜け漏れを防ぐための入力チェック欄が付いているものもあり、忙しいビジネスパーソンの強い味方です。

電子署名・デジタル管理での提出プロセス効率化

ペーパーレス化が進む昨今、電子署名やデジタル提出ができる始末書管理ツールも普及しています。
手書きや紙のやりとりを減らすことで、業務効率やセキュリティの向上が期待できます。
社内申請システムやワークフロー管理ツールと連携すれば、作成から承認、保管まで一元管理が可能です。
タイムスタンプや電子承認履歴の自動記録によって証跡管理も強化でき、労務管理の負担軽減に役立ちます。

社内承認フローの自動化ツール紹介

始末書を含む各種社内文書の承認フローを自動化できるツールも数多く登場しています。
例えば、ワークフロー自動化ソフトやグループウェアを活用すれば、申請→承認→保管の流れをシームレスに管理できます。
これにより担当者不在や伝達ミスによる遅延を防ぎ、情報共有や進捗把握も簡単に。
文書管理とプロセス管理を一体化することで、トラブル発生時にも迅速な対応が可能となります。

【まとめ】始末書は誠実さと再発防止の意思を示すビジネス文書

始末書は単なる形式的な書類ではなく、自身の責任を認め、誠実な反省と再発防止への強い意思を示すための大切なビジネス文書です。
このまとめでは、始末書作成・提出における最も重要なポイントを再確認しましょう。

書式だけでなく内容の真摯さが重要

どんなに整ったフォーマットを使っても、書かれている内容に誠意や具体性がなければ意味がありません。
事実を正確に記載し、ミスやトラブルの原因、関係者への謝罪、そして実効性のある再発防止策までしっかり記載しましょう。
「自分の言葉で伝える」ことを意識し、責任感のこもった内容を心がけてください。

正しい手順で提出し信頼回復につなげよう

始末書は正しい手順・タイミングで迅速に提出することも大切です。
提出後は、再発防止策の実践状況をしっかりフォローし、継続的な改善につなげましょう。
組織全体で「ミスを責める」のではなく、「成長と信頼回復の機会」と捉える姿勢が、より良い職場づくりの第一歩です。
一人ひとりが始末書を通じて誠実に向き合うことで、組織全体の信頼や働きやすさも確実に向上します。

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