組織全体が同じ方向を向き、事業の拡大をよりスムーズに進めていくために「カルチャーデック」を重要視する企業が増えています。
しかし、具体的にどのようにカルチャーデックを取り入れるのか、どうやって社員に浸透させていくべきかなど、イマイチ現実的なイメージがつかない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、カルチャーデックの概要や導入効果について、実際の企業の例をもとに紹介していきます。これからカルチャーデックの導入を検討している企業の方はぜひ本記事を参考にしてください。
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カルチャーデックとは
カルチャーデックとは、企業や組織が共通認識として掲げる文化、価値観をまとめたもののことです。社員全体に共有し、同じ方向を向くことで企業文化の一貫性や、生産性の向上へとつながります。
ただ能力・必要十分のスキルがある社員を集めるだけではなく、同じ価値観や文化を共有することは、企業が成長していく上で極めて重要です。組織が大きくなるにつれて、企業の指針が社内全体に行き届きづらくなってくることは珍しくありません。そういった際にカルチャーデックを作成しておくことで、社員間で共通認識を持ち、同じビジョンをもとに事業を進めていけるのです。
カルチャーデックの必要性
企業にとってカルチャーデックが必要である理由は大きく分けて3つです。
【カルチャーデックが必要な理由】
- コミュニケーションの活性化
- オンボーディングの時間短縮
- 事業拡大の加速化
カルチャーデックが明確になることで社員間で共通意識を持てるようになることから、コミュニケーションが活発になります。一つの物事に対して共通の認識を持つことで目指す方向が明確になり、業務の効率化が期待できます。
また中途採用や新卒採用で人数が増えた際、明確なカルチャーデックがあることでオンボーディングの時間も短縮できるでしょう。企業文化を早期に理解することで、スキルや経験を発揮することはもちろん、既存メンバーと同じ方向性を向きながら業務に取り組めます。
コミュニケーションの活発化やオンボーディングの時間短縮から、最終的には事業の発展スピードも上がるため¥、カルチャーデックは企業の根本的な成長にも繋がっていくのです。
カルチャーデックの効果
カルチャーデックを取り入れることで、下記のような効果が期待できます。
【カルチャーデックの効果】
- 採用ターゲットが明確になる
- 企業文化が維持される
- 継続的な企業の成長
まず最初に、企業が大切にする文化を明確にすることで、採用に狙うターゲットを定めやすくなります。スキルや実績のみならず、仕事に対する考え方やマインドといった、人柄の部分でのマッチング精度の向上も期待できます。
また、カルチャーデックが明確になっていることで、人数が増えたり事業が広がったとしても、企業が持つ根本的な文化が維持されやすいこともメリットです。
カルチャーデックがあることによって、企業文化が保たれた状態で新たなメンバーが加わるため、企業の継続的な成長にもつながるでしょう。つまりカルチャーデックを作成することで、組織の拡大や企業の成長にもメリットをもたらすと言えます。
カルチャーデックの内容
一般的にカルチャーデックに記載する項目をご紹介します。
ミッション
ミッションとは企業がどのような価値を創造し提供するか、どのような社会問題を解決して、事業を展開していくかを意味します。事業内容や組織のあり方も、このミッションに基づいて決めていくことで、会社の存在意義に沿ったものとなります。
ビジョン
ビジョンは企業が将来達成したい目標や理想といった「将来像」を指したものです。会社を通してどのような存在を目指しているのかを、社員全体に共有し共通の認識を持つことで、会社の将来像が統一されていきます。
バリュー
バリューは企業が大切に思っている価値観や行動基準のことで、日々の意思決定や大事な局面で物事を判断する基準となります。バリューは「どのように行動するか」「何を重要視するか」を明確にする役割を持つため、社員が同じ判断軸を持つことに繋がります。
ポリシー
ポリシーは企業が持つ方針や規範を意味します。組織である以上社員が同じ方向を向くうえでも、明確なポリシーを決めておくことが大切です。明確化されたポリシーがあることで、社員の理解も深まり、過度な社員同士の意見のすれ違いを抑えながら効率的な組織成長に繋がります。
行動指針
行動指針は企業が社員に対して、どのような行動や態度を取ってほしいかを言語化したものです。組織が大きくなると、それぞれの社員が自らの意思を持って判断するようになります。あらかじめ行動指針を決めておくことで、その都度確認しなくても企業の行動指針に基づき、それぞれの社員が指針に沿った行動ができるようになります。
3ヵ年・5ヵ年計画
カルチャーデックでは3ヵ年・5ヵ年計画の作成も必要です。この計画は、事業や組織の拡大を3年先、5年先と区切ってどのような未来像を描いているかを記したものを指します。企業の成長や発展の方向性を明確にすることで、組織全体の目標が定まります。カルチャーデックに沿って行動した先、企業がどのような姿で成長をしていくかを社員が把握することで、より一層団結力が高まります。
カルチャーデックを活用する方法
カルチャーデックは、ただ作成するだけではなくうまく活用することで、さらなるメリットをもたらします。
オンボーディング
新しい社員が入社した際のオンボーディングにも、カルチャーデックは活用できます。企業文化の浸透や理解、既存社員との連携において、カルチャーデックをもとに自社が大切にしていることを伝えられます。
オリエンテーションや導入研修の際にカルチャーデックを新入社員に共有することで、従来よりも短期間でオンボーディングが完了するでしょう。
コミュニケーションツール
既存社員のコミュニケーションツールとしても、オンボーディングは活用できます。企業文化を理解し、同じ判断基準を持つことで、社員同士のコミュニケーションがスムーズになることは大きなメリットです。
現場で働くメンバーが同じ理解度を持ち合わせることで、経営層やリーダーがその都度介入することなく、円滑にコミュニケーションを取れるようになります。
社員エンゲージメントの向上
カルチャーデックを作成することで企業文化が浸透し、社員のエンゲージメント向上にも繋がります。また、採用時点で企業文化を求職者に伝えておけば、カルチャーに共感した候補者が集まりやすくなります。
同じ思想や価値観を持つ人同士が集まると、なぜ働くのか、どんな社会を作っていきたいのかなど、カルチャーが一致するため、組織に一体感が生まれ、社員のエンゲージメントが高まります。また、社員エンゲージメントが向上することで離職率の低下にも繋がります。
カルチャーデック作成時の注意点
カルチャーデックはいくつものビジョンやバリューといった項目から構成されるため、作成から社員への浸透には注意が必要です。
この章では具体的に何に注意すれば良いのか、どのように進行していくかを解説していきます。
役割分担を明確にする
カルチャーデックを行う上で、まず社員がそれぞれどのような役割を担うのか明確にすることが大切です。
【役割分担の例】
役職 | 役割 |
---|---|
経営層 | ミッション・ビジョン・バリューの設定価値観の言語化 |
人事 | 現場社員からのフィードバックの徴収カルチャー浸透のための取り組み |
事業部長・マネージャー | 組織ないでの浸透サポート人事へのフィードバック |
上記は役割分担の例です。
誰が何をするのか決めないままカルチャーデックの作成を進めてしまうと、「大事なこと」が決まらない可能性もあります。まずは社員間で役割を分担し、カルチャーデックのベースを作るようにしましょう。
期限を決める
カルチャーデックの作成を進める際、いつまでに何をするのかという期限を決めることも大切です。カルチャーデックの完成度は確認しづらいため、期限が明確に決まっていないと、結局完成せずにどんどん時間だけが過ぎていくことも珍しくありません。
ミッションやビジョンを決める期間、事業部長に落とし込む期間、実際に運用する期間など、フェーズごとに時間を設定しておくようにしましょう。
評価基準を明確にする
最後の注意点は、カルチャーデックを運用する際の評価基準を明確にすることです。カルチャーデックはただ作って終わりではなく、その後社内で運用し、パフォーマンスの向上に繋げていくことが大切です。
カルチャーデックに沿った行動ができるとどのように評価されるのか、評価軸においてどれくらいカルチャーデックが重要なのかなど、評価基準に落とし込むことも考えてみましょう。
カルチャーデックを取り入れた企業の例
実際にカルチャーデックを取り入れ、うまく運用していたり業務効率が向上した例を3つ紹介していきます。
カルチャーデックを作成することによって具体的にどのような効果が現れるのか、どのように運用していくのかなどについて、気になる方は以下を確認してみてください。
Netflix合同会社
会社名 | Netflix合同会社 |
資本金 | ‐ |
設立 | 2015年 |
社員数 | ‐ |
事業内容 | オンライン動画サービスの提供 |
世界で多くのユーザーを魅了するNetflixを展開するNetflix合同会社は、ホームページ上にカルチャーメモとして、多数の企業文化や指針を公開しています。
【Netflix合同会社のカルチャー】
- ドリームチーム
- プロセスより人
- ドギマギするほど面白い
- すごい、を進化し続ける
▶︎詳しく見る
さらに上記4項目が細分化されており、企業文化が細かく記載されています。各4項目をさらに細分化することで、Netflix合同会社のビジョンやカルチャーの詳細を社員に共有できます。規模が大きい会社だからこそ細かく企業文化を記載し、現場に落とし込むことで多くの従業員を抱えながらも効率的に事業を展開しているのでしょう。
株式会社マネーフォワード
会社名 | 株式会社マネーフォワード |
資本金 | 267億1,600万円 |
設立 | 2012年 |
社員数 | 2,148人 |
事業内容 | PFMサービスおよびクラウドサービスの開発・提供 |
株式会社マネーフォワードはホームページ上にカルチャーデックを公開しています。
【株式会社マネーフォワードのカルチャー】
- お金を前へ。人生をもっと前へ。
- すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。
- User Focus Tech&Design Fairness
- Speed Professional Teamwork Respect Evolution Fun
▶︎詳しく見る
株式会社マネーフォワードは社名の通り、自社プロダクトを通し「お金に関するプラットフォームを提供することで、ユーザーの背中を前へ前へと押し進めることに重きを置いたカルチャーを確立しています。
テクノロジーだけではなく、デザインにも力を入れ、ユーザーに対して合理的な価値を提供するためのプロフェッショナルであることを自覚することが、株式会社マネーフォワードのカルチャーとされています。
株式会社メルカリ
会社名 | 株式会社メルカリ |
資本金 | 465億200万円 |
設立 | 2013年 |
社員数 | = |
事業内容 | フリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運用 |
国内のフリマを牽引する株式会社メルカリは、採用ページにカルチャーデックを公開しており、事前に候補者に向けてカルチャーを発信しています。
【株式会社メルカリのカルチャー】
- Go Bold 大胆にやろう
- All for One 全ては成功のために
- Be a Pro プロフェッショナル
▶︎詳しく見る
採用時点ですでにカルチャーデックを公開しているため、おのずと株式会社メルカリのカルチャーに共感した人が集まりやすいといったメリットを得られるようです。大きく3つのカルチャーが掲げられており、さらに細分化された数点のポイントが解説されています。
事業内容のみならずどんなカルチャーを持ち、どんな人がマッチするのかが具体的にわかるため、よりターゲットとする人材からの応募を集めて組織を拡大していけるのでしょう。
カルチャーデックは企業の統率力を高める
企業が目指す先や大切にしていることを表しているカルチャーデックは、社員の統率力を高め組織や事業の発展において大きな影響を及ぼします。
これから企業のカルチャーを明確にし、社員に発信していきたいと思っている方は、ぜひこの記事を参考に、自社にとって納得の行くカルチャーデックを作り上げていってください。