「会社の顔」として、企業イメージを大きく左右する営業職。重要なポジションである営業職を採用するためには、適切な年収を提示することが採用を成功させるための重要なポイントです。
これまで当たり前だった終身雇用の概念が薄れつつある昨今、売り上げに直結する職業である営業職は成果主義で評価をする企業が増えています。しかし、インセンティブ制度などの成果主義的な仕組みが重要視される一方、公平性のある一貫した給与制度の設計が必要となるのです。
この記事では、営業職の平均年収や中央値、インセンティブ制度などの「営業職の給与」について、業界別の相場や設計する際のポイントをご紹介します。
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営業職の平均年収と中央値
転職サービスdodaの調査によると、営業職の平均年収は456万円です。(2022年9月~2023年8月の1年間)また、中央値は400〜500万円と、平均年収とほぼ変わらないことがわかります。
国内全体での正社員の平均年収は414万円、中央値は360万円なので、ほかの職種と比較し営業職はやや高い水準であることがわかります。
【年齢別】営業職の平均年収
次に、年齢別に営業職の平均年収を見ていきましょう。
年齢 | 平均年収(営業) | 平均年収(全体) |
---|---|---|
20代 | 387万円 | 352万円 |
30代 | 514万円 | 447万円 |
40代 | 598万円 | 511万円 |
50代 | 686万円 | 607万円 |
上図のとおり、営業職では年齢が上がるにつれ平均年収も上昇していることがわかります。営業職は成果主義の風潮が強いものの、経験を重ねるにつれ、顧客との信頼性の構築や営業ノウハウの獲得などにより年収アップにつながっているものと考えられます。
【業界別】営業職の平均年収
一言で営業職と言っても、業界によって年収は大きく異なります。ここでは、営業職の平均年収を【業界別】のランキング形式にてご紹介します。
順位 | 職種 | 平均年収(営業全体) |
---|---|---|
1 | MR | 732万円 |
2 | 医薬品メーカー | 583万円 |
3 | 電機メーカー | 493万円 |
4 | 銀行 | 485万円 |
5 | クレジット/信販 | 482万円 |
6 | IT/通信 | 466万円 |
7 | 住宅設備/建材メーカー | 453万円 |
8 | 素材メーカー | 448万円 |
9 | インターネット/広告/メディア | 433万円 |
10 | 専門商社 | 432万円 |
11 | 建設/不動産 | 431万円 |
12 | 食品/消費財メーカー | 421万円 |
13 | サービス | 417万円 |
14 | 信用金庫/組合 | 414万円 |
15 | 家具/インテリア/生活雑貨 | 412万円 |
16 | 保険 | 403万円 |
17 | 小売/外食 | 398万円 |
18 | 福祉/介護関連 | 379万円 |
19 | 保険代理店 | 375万円 |
医薬品メーカーやMRなど、とくに成果主義の傾向が高い外資系企業を多く含む医療系の業種がトップにランクインしています。
また、一般的に給与が高いと言われる金融系や商社のほか、IT系やインターネット系がトップ10入りしているのにも注目です。これは、社会のデジタル化が急速に進む中、IT人材が重宝されていると同時に、IT業界の成長による流れだと考えられます。
営業職の年収の決め方
企業の売上や利益に直接的に貢献する営業職ですが、優秀人材を獲得して入社後のモチベーションを維持させるためには、適切な年収設定が必須です。
インセンティブ制度を取り入れる
営業職によくある「インセンティブ制度」とは、固定給に上乗せして、売上の一部を社員に還元する制度のことです。ほかの職種と比較しはっきりとした数値で成果が表れやすい営業職にとって、インセンティブは社員のモチベーションアップに繋がります。
また、インセンティブ制度は、勤続年数や経験に影響されないので、社内で切磋琢磨する環境を築き社員全体のスキルの底上げすることができます。
一般的に、営業職のインセンティブの相場はノルマを超えた場合の10〜20%と言われています。
例:ノルマが30万円で、実際の売上が50万円だった場合
ノルマ超過分:50万円ー30万円=20万円
<インセンティブ>2万円~4万円(=20万円×10〜20%)
また、次の章で紹介する歩合制と異なり、インセンティブは必ずしも金銭のみの支給とは限りません。MVPなどの社員表彰や物品報酬、研修の機会など、自社の状況に合わせたインセンティブ制度を検討してみてください。
歩合制を取り入れる
歩合制とは、個人の実績に応じて一律の割合で金銭が支給される制度のことです。
歩合制には、「完全歩合制(フルコミッション制)」と「固定給+歩合制」の2種類があります。しかし、企業と雇用契約を結んだ社員は、正社員やアルバイト、パートなど雇用形態に関わらず「完全歩合制」の適用は違法となるので注意しましょう。
「固定給+歩合制」の場合、固定給と歩合制の比率は企業によってさまざまですが、労働者の生活を守るという観点から「賃金の6割以上が固定給になるように設定する」という行政の通達が1つの目安となります。
例:固定給が15万円・歩合率10%で、売上が100万円だった場合
<歩合>10万円(=100万円×10%)
給与計:15万円+10万円=25万円
また、フリーランスや個人事業主と業務委託契約を結ぶ際には、完全歩合制(フルコミッション制)も選択きるので検討してみましょう。完全歩合制が多い業種は、保険営業や不動産営業、自動車営業などが挙げられます。
歩合制は、インセンティブ制度と同じく企業に貢献している人材に的確に利益を還元できるほか、効率よく個々のスキルアップが目指せる仕組みとなっているため、企業全体の生産性向上にもつながります。
個々のスキル・専門性を考慮する
優秀な人材を採用し、社内でのモチベーションを維持させるためには、個々のスキルや専門性を考慮した年収を設定しましょう。
従来の営業職は、見込み顧客開拓から商談、受注、契約後のフォローなど、営業に関する業務全般を担っていました。しかしここ数年は、インサイドセールスやカスタマーサクセスなど、専門性や目的によってスキルが細分化された営業職が増えています。
(引用:株式会社日本経済新聞社|新しい時代に求められる営業職)
この調査からも推測できるように、これからの時代は、専門性を活かしたコンサルティングスキルや課題解決能力、顧客との信頼構築スキルなど、人間にしかできない個々の強みを活かしたスキルに対するニーズが高まっていくものと考えられます。
具体的な例としては、企業それぞれの必要なスキルに応じた資格手当や合格報奨金、資格取得支援などを導入するのもよいでしょう。
営業職の給与を決める際の注意点
営業職の給与を決めるときは、これからご紹介する3つのポイントに注意しましょう。
①:諸手当、福利厚生とのバランスを加味する
給与体系を整備する際には、住宅手当や家族手当など、実質的に社員の経済負担を軽減する諸手当を事前に洗い出しましょう。
この点を考慮せずに給与を決めてしまうと、いたずらに高額な給与を支払う体系になってしまうかもしれません。その結果、企業の財務状況に影響したり、後々給与や福利厚生の見直しに迫られ社内の不満につながったりする恐れがあります。
また、営業職は「営業手当」を支給する企業もあり、その基準は企業によってさまざまです。営業手当を含む諸手当や福利厚生の中身をしっかりと把握したうえで、給与を設計していきましょう。
②:職務給、能力給とのバランスを加味する
「自社にとって、どういった人材・評価軸を重視するのがベストか」という観点で、職務給や能力給などの給与項目と固定給のバランスを考えるのも大事なポイントです。
たとえば、勤続年数や経験をもとに評価し、社内の公平性を重視したい場合は「職務給」の比率を上げる、年齢や勤続年数に関わらず実力を評価したい場合は「能力給」の比率を上げるなど、企業に合った給与項目のバランスを見極め、年収を設定しましょう。
③:同業他社の給与を考慮する
年収を設定する際には、同業他社や地域内の企業の給与水準も加味しましょう。同業他社の年収を知ることで相場が把握でき、的確な給与を提示しやすくなります。
とくに営業職は、業種によっては企業を越えた横のつながりが強くなる傾向があるため、競合社員の生の声が手に入りやすく、自社への不満につながるケースも見受けられます。納得感の高い給与設計は、企業の魅力低下や優秀な人材の流出防止にもつながるのです。
同業他社や、採用において競合となりうる企業(同じような要件で採用をしている企業)の年収については求人を見ることである程度調べることができます。もしくは、人材紹介会社・エージェントと契約している場合はその担当者に相場を聞くのもおすすめです。
理想としては、同業他社の水準と同様か、やや高めの給与設定がよいでしょう。
低年収でも企業側ができること
散々年収の話をしてきましたが、ベンチャーやスタートアップ企業では、そう簡単に社員の給与を見直すのは厳しいでしょう。そういった場合には、優秀な人材を確保するために年収以外にも候補者に興味を持ってもらえる工夫が必要です。
①:利益還元スタンスで士気を上げる
さきほど紹介したインセンティブ制度や歩合制を導入することで、低い年収でも社員のモチベーションを担保することが可能です。以下、具体例を見ていきましょう。
例:売上が100万円の場合
① 固定給35万+インセンティブ5%(=5万円)=40万円
② 固定給20万+インセンティブ20%(=20万円)=40万円
結果的に①②ともに支給額は同じですが、②の給与設計であれば、固定給を抑えつつ効率的に給与に成果を反映することができます。
ただ、成果主義が社員のモチベーション向上に繋がる一方で、比率があまりに高すぎるインセンティブは格差への不安や社員のストレスを招く場合もあります。あくまで社員の納得感や評価の公平性も重視しつつ、企業の利益と社員のモチベーションを最大化できるバランスを見極めていきましょう。
②:福利厚生をアピールする
近年の求職者は、以前よりも福利厚生を重視する傾向があります。たとえ年収が他社と比較して低水準だとしても、働く環境を左右する福利厚生は十分なアピールポイントになるでしょう。
Wantedlyの「人気の福利厚生制度ランキング」によると、家賃補助などの直接的な補助だけでなく、近年では休暇制度やファミリーサポートなど、ライフワークバランスを叶える制度も注目されているようです。
これらを項目を可能な範囲で整えることで、年収面での課題をカバーしつつ、優秀な人材の採用につなげることができます。
また、福利厚生を紹介する際は、社内の利用率などの実績もあわせてアピールできるとよいでしょう。
③:育成環境を整える
育成環境を整えることも、優秀な営業人材の確保のために非常に有効です。なぜなら、営業職にはインセンティブなど成果を反映する制度を立てやすい一方で、なかなか成果が出ないことに対する不安を抱えやすい職種でもあるためです。
具体的には、リスキリングやスキルアップにつながる環境を整えたり、「どのようなプロセスであれば目標を達成できるか」などといった上司や部下も巻き込んだ内省の機会を設けたりと、個々の成長を促す場を設けるのがおすすめです。
また、すでにこのような取り組みが行われている企業であっても、定期的に社員にスキルアップに関するニーズをヒアリングし、より社員の本音にマッチした施策を打ち出しましょう。「企業がしっかりとフォローしてくれている」という安心感を与えることで、たとえ低い年収水準であっても、企業へのエンゲージメントを高められます。
④:やりがいを訴求する
エン・ジャパン株式会社の調査によると、求職者が大事にしている「企業選びの軸」で、「仕事を通じ、やりがい・達成感を得られること」が第2位にランクインしています。
この調査からもわかるように、転職希望者は年収や待遇面だけでなく、仕事のやりがいも同等に重視していることがわかります。
① IT企業の場合
例:〇〇という最先端のIT技術に関する知識をキャッチアップでき、無形商材の営業スキルを磨ける
② 医療機器メーカーの場合
例:日本への新製品導入に関われるほか、医師のパートナーとなり人の命を救うことができる
③ 保険
例:扱う商材が幅広いので、お客様のあらゆるライフイベントに関わることができ、自身も資産運用などの知識が身につく
たとえばこのように、営業職ならではのやりがいを自社に合わせてカスタマイズし訴求することによって、求職者に興味を持ってもらえる可能性を広げることができるでしょう。
【番外編】営業職×AIで業務効率化!
近年、あらゆる企業でAIの導入が進んでいます。営業職も例外でなく、AIの導入により業務効率化を行う企業が増えています。
営業職の採用活動に課題を感じる担当者にとって、業務効率化で得た利益を社員の給与に還元しつつ、人手不足のカバーを期待できるAI導入はとても魅力的なのではないでしょうか。
営業現場では、主に以下のようにAIを活用できます。
- メール作成や顧客情報入力など営業事務の代行
- 市場調査、マーケティング
- 潜在顧客へのアプローチ
- 顧客対応時のチャットボット活用
- 将来的な営業予測
「自社には敷居が高い…。」と感じるかもしれませんが、今後は確実に営業現場にもAI技術が波及していくものと考えられます。現時点ではAI導入に対しての現実味が薄くても、少しずつ活用を検討していくことが、優秀人材確保のカギになるかもしれません。
まとめ:優秀な営業職を採用するには
会社の売上や利益をダイレクトに左右する営業職は「企業の花形」と呼ばれることがある一方、「ノルマがきつそう」「残業が多そう」などネガティブなイメージが持たれやすいのも事実。
優秀な営業職を採用するためには、年収相場を理解したうえで適切な給与設定をすることや、求職者の不安をカバーするためにさまざまな確度から自社を訴求することが必要になります。
少子高齢化などの影響で、今後も営業職含め採用活動は難しさを極めていくものと考えられます。営業職の採用を検討する際は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。