かっこいい採用メッセージの作り方を解説!

採用メッセージは、候補者に企業の魅力をわかりやすく伝えるための重要な要素です。採用サイトや求人媒体、イベントでの展示などで、採用メッセージを伝えることで、候補者の興味を引くことができます。

今回は「候補者に訴求する採用メッセージの作成方法」に関する役立つ情報を提供します。

ただ自社が伝えたいことを伝えるのではなく、4P分析やSTP分析を活用して、候補者が興味を惹きそうなメッセージを作成しましょう。

目次

採用メッセージとは

採用メッセージは、応募者に向けて送るメッセージのことです。

企業の魅力を伝えることで、関心を引く可能性が高まります。 応募者は、「どんな企業か」「自分の考え方と合うかどうか」を考えながら採用メッセージを見るので、自社を正確に表現するメッセージを作成することで、自社にマッチした候補者を

採用メッセージを作成する目的

採用メッセージを制作する目的は主に三つあります。

企業の魅力を発信して、候補者の興味を惹くため

自社の魅力を端的で印象的に伝え、候補者の関心を引くことが、採用メッセージの主な目的です。

売り手市場が続く中、引く手が多い候補者たちはさまざまな企業からの情報にさらされています。こうした状況下では、企業は候補者との短い接点で関心を引かなければなりません。

具体的には、採用サイトでの検索結果、採用広告、合同イベントでの出展ブース、DMの見出しや冒頭など、他社やその他の情報に負けないようにアピールする必要があります。

応募時のミスマッチを防ぐため

あらかじめ入社して欲しい人物像や企業の文化を伝えることで、応募時のミスマッチを防ぐことができます。

自社をよく見せようと、事実より誇張して表現したり、抱えている課題を隠す企業が多いですが、あえてそれを公開することで、候補者の信頼を勝ち取ることができます。

入社後にミスマッチが発生すると、今までのサポートや採用にかけたコストが無駄になってしまうので、このような事態を防ぐためにも、採用メッセージで伝えて対策しましょう。

社員の発言に統一性を持たせるため

採用メッセージの策定は、各社員が発するメッセージを統一するために不可欠です。

採用活動では、人事担当だけでなく、説明会やリクルーター制度を通じて現場社員や若手社員が候補者と接点を持つ場面があります。また、面接官として参加する役員や幹部クラスの社員も同様です。

こうした状況下で、「会社説明会で現場社員が伝えたことと、面接時に面接官が述べたことが一致しない」という状況は、企業の信頼性を損なうだけでなく、候補者に混乱を招きかねません。

そのため、採用活動に関わる各社員が共通のメッセージを理解し、統一して発信することが重要です。

採用メッセージの作り方

採用メッセージの作成のフローについて解説します。

STEP1. 自社の魅力を正確に把握する

最初に、自社の魅力に関する現状を正確に把握することが重要です。その際に役立つのが、「4P分析」「STP分析」です。

4P分析を用いて、自社内での評価を明らかにし、STP分析を通じて、想定される競合他社との比較を行うことで、自社の魅力に関する現状を的確に把握できます。

4P分析

4つのPで分類し、自社の魅力・強みを抽出することが可能です。

  • Philosophy(経営理念・目的)自社の企業理念・経営戦略など
  • Profession(事業)事業の社会的意義・競争優位性・仕事のやりがいなど
  • People(人材・文化)組織風土の良さ・人材の共感性や有能性の高さなど
  • Privilege(働き方・待遇)給与・福利厚生・制度や施設の充実など

STP分析

STP分析は、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の3つのステップで構成された、主にマーケティングに用いられる分析手法です。この手法では、顧客や市場を細分化し、狙う市場を定め、自社の現状における立ち位置を明確にします。

◼️Segmentation:採用市場の細分化
まずは、採用市場のグループ分けを行います。採用市場とは求職者のことを指します。
ここでは候補者をグループ分けする場合の例を紹介します。

候補者をグループ分けした場合

・理系、文系
・専攻分野
・学部卒、院卒
・国立大学、私立大学
・都市、地方
・リーダー経験の有無
・長期インターン経験の有無

◼️Targeting:自社の狙いを定める
次に「S」で分けたグループのうち、自社はどのグループを採用したいのかを以下のように絞り込みます。

例:A社の採用ターゲット

居住地:首都圏、地方主要都市
属性:上位校、文系・理系問わず
性質:地頭が良く素直
志向性:成長志向、風通しの良い社風

◼️Positioning:自社の立ち位置を明確にする
最後に、自社の立ち位置を明確にします。重要なのは、ターゲットの目線で考えることが重要です。

例:新卒学生が意識する企業の条件

・企業としての安定性
・社風や風土
・社員の雰囲気が良い
・給与が良い
・休日休暇制度が良い
・ネームバリュー
・成長できる環境がある

STEP2. 自社の採用の理想を整理する

ステップ1で明らかにした「自社の魅力」と「採用市場における現状の立ち位置」を基に、候補者からの認知と望ましい理想像を明確にします。

たとえば、現状では「年功序列が強調されており、若手の成長が制限されている」という認識がある場合、理想像は「若手社員が活躍し、その成長が積極的に評価されている」といったものです。この対比から、採用メッセージは両者のギャップを埋める効果的なものとなるでしょう。

このようにして、現状と理想を整理することで、採用メッセージにおける「伝えたい内容・伝えるべき内容」を明確にしていきます。もし整理が難しい場合は、「望ましい認知をどのように構築するか」という観点から、理想像を考えることをお勧めします。

STEP3.  候補者のニーズと企業の接点を洗い出す

求める人物像に適合する候補者が希望する要素と、これまでの段階で整理してきた「伝えたい内容・伝えるべき内容」との共通点を見つけます。

自社が伝えたい情報であっても、候補者側にとって関心のない内容では、効果的な採用メッセージにはなりません。したがって、このステップは非常に重要です。

たとえば、自社が望む人物像が「成長意欲が高く、継続力と努力を重んじる候補者」である場合、次のような例が考えられます。

悪い例:自社がアピールしたい内容しか伝えていない
「プロダクトの社会貢献性が高く、市場の希少性も高い」

良い例:学生のニーズを叶えている
「入社後の研修が手厚く、その後は希望の部署で成長することができる」

STEP4. 採用メッセージを具体化させる

最終段階では、ステップ1で把握した「自社の魅力」、ステップ2で設定した「理想的な自社のイメージ」、そしてステップ3で見いだした「候補者が求める要素」を基に、採用メッセージを作り上げます。

各要素からアイデアやキーワードを出し合い、組み合わせて具体的な採用メッセージを形作っていきます。採用メッセージが形になってくると、再度これらの要素がきちんと反映されているかを確認します。

複数の採用メッセージ候補を準備したら、採用対象と共感を持ちそうな新入社員などからも意見を募ることがおすすめです。

かっこいい採用メッセージを作るコツ

候補者の関心を惹き、応募に繋げるためにはかっこいいメッセージを作成する必要があります。

短く簡潔で、理解しやすい内容にする

メッセージが長すぎると、情報が多くても読者にとって理解しにくい場合があります。短くて分かりやすいメッセージの方が、覚えやすく、最後まで読まれやすいです。また、曖昧な表現や難解な言葉、専門用語は読者の興味をそぐ可能性があるため、使いすぎるのは避けましょう。

一般的に、人が一目で理解できる文字数は13〜15文字程度とされています。つまり、簡潔で要点を絞ったメッセージが効果的です。

このようなアプローチは、受け手に素早く訴えかけ、印象に残りやすくなるでしょう。

他社と差別化を図る

求職者は、似た業界同士で比較検討を行うので、競合に勝るポイントを出すには、差別化が重要です。

特に同じ業界の企業とは訴求ポイントが被ることもあり、類似したメッセージは差別化を図ることが難しいです。したがって、差別化を図るには、競合や市場を分析した上で、独自性を際立たせるメッセージを作りましょう。

社員に協力をしてもらう

採用メッセージが実際に「魅力的かどうか」は、採用ターゲットにしか判断できません。

ターゲットに直接聞くのが理想的ですが、現実的に考えると難しいです。そこで、募集している職種のメンバーに協力を得ることが重要です。

採用メッセージの候補を提示し、「どのメッセージが印象的か」「どのように改善できるか」などのフィードバックを求め、ブラッシュアップしましょう。また、「どんな印象を受けたか」といった質問を通じて、自社の意図がどれだけ伝わったかを確認することも重要です。

かっこいい採用メッセージの事例3選

魅力的な採用メッセージの例を3つご紹介します。全文を掲載することは難しいため、キャッチコピー部分のみをご紹介します。自社の採用メッセージ作成の際の参考にしてください。

1. 株式会社オービック

日本を強くする。

株式会社オービックは、「経営課題を解決すること」を使命としており、キャッチコピーはそれに基づいたものとなっています。採用メッセージだけ見ると抽象的ではありますが、短くてインパクトのあるものになっています。

スクロールすると採用メッセージを設定した背景が記載されているので、具体的内容まで拝見することができます。

参考:株式会社オービック 採用サイト

2. 伊藤忠商事株式会社

アオイ情熱を待っている

伊藤忠商事は、ビジネスを通じて地球や環境などの社会問題に取り組んでいます。

このメッセージは、青色が地球を象徴し、未来を感じさせる色として用いられています。また、一般的に情熱を赤で表現しますが、「アオい情熱」という表現が使われることで、採用メッセージに独自の特徴が生まれます。

参考:伊藤忠商事株式会社 採用サイト

3. 株式会社オリエンタルランド

夢をカタチに想いを共に ~ここにしかない『トキ』を創る~

オリエンタルランドは、東京ディズニーランドを運営することで知られ、人々に「夢・感動・喜び・やすらぎ」を提供することをモットーにしています。

そのため、採用メッセージも、ゲストの特別な時間を創造できる人材を求めています。「夢をカタチに想いを共に」のフレーズは、語呂が良く、カタチとトキをカタカナで表現することで、実際の形や一般的な時間ではない特別な体験を示唆しています。

漢字やカタカナの表現を上手に使った採用メッセージです。

参考:株式会社オリエンタルランド 採用サイト

まとめ

採用メッセージは、自社の魅力を伝え、興味を引くための重要な要素です。

採用メッセージを作成する主な目的は、「自社の魅力を端的かつ印象的に伝えて候補者の関心を惹くこと」、「効果的なコンテンツの設計」、「社員のメッセージの統一」の3つに集約されます。

採用メッセージの構築には、4つのステップがあります。まず、「自社の魅力を正確に把握」し、「自社の理想像と現状を整理」し、「候補者の要望と接点を見つける」ことで、「採用メッセージを具体化」します。

さらに、かっこいい採用メッセージを作成するコツとして、「簡潔かつ理解しやすい表現」「競合との差別化」「初見の印象の重視」「新卒社員の協力」を挙げました。

そして、かっこいい採用メッセージの具体例を6つご紹介しました。これらのメッセージは、簡潔で理解しやすく、印象的であり、まさに「かっこいい採用メッセージ」の典型です。自社の採用メッセージ作成の際の有益な手がかりとして活用してください。

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この記事を書いた人

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業責任者を担い、これまでに80社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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