エンジニアの採用単価の相場はいくら?コストカットをするポイントや費用対効果の良い手法も紹介

目次

エンジニア採用単価とは?

(1) 採用単価の定義

エンジニアの採用単価とは、一人のエンジニアを採用する際にかかるコストの総額を意味します。採用を行う上で必要となる諸経費を全て含むため、この単価は企業が人材を確保するためにどれだけの費用を投じているかを示す重要な指標となります。

この採用単価には大きく分けて、「内部コスト」と「外部コスト」の二つが含まれます。

内部コストは、求人広告の制作費や面接官の人件費など、企業自体が直接負担するコストを指します。一方、外部コストは、求人広告の掲載費や人材紹介会社への紹介料など、第三者に支払う費用を指します。

■採用単価の内訳

●内部コスト

  • 求人広告の制作費
  • 面接官の人件費

●外部コスト

  • 求人広告の掲載費
  • 人材紹介会社への紹介料

以上がエンジニアの採用単価の基本的な定義となります。次節では、この採用単価の具体的な計算方法について解説していきます。

(2) 内部コストと外部コスト

エンジニアの採用単価は、大きく分けて「内部コスト」と「外部コスト」の2つから成り立ちます。

まず、「内部コスト」には、採用活動に関わる社内スタッフの人件費や、求人広告の作成、面接や選考にかかる時間などが含まれます。これらは採用活動を社内で行う際に発生するコストで、一般的には間接的なコストとなります。

一方、「外部コスト」は、求人広告の掲載費用やエージェントからの紹介料、新入社員の研修費用など、社外のリソースを活用したり新たに投じる費用を指します。

具体的な内訳を表にまとめると以下のようになります。

内部コスト外部コスト
採用担当者の人件費求人広告掲載費

以上のように、採用単価を理解するためには、これら内部コストと外部コストの詳細な内訳を把握することが重要です。

エンジニア採用単価の計算方法

(1) 採用単価の計算公式

エンジニアの採用単価を計算する際には、以下の公式を使用します。

採用単価 = (採用活動の総コスト) ÷ (採用した人数)

まずは、採用活動の総コストを算出します。これには、広告費、エージェンシー手数料、面接の手間や時間コスト、オンボーディングの費用などが含まれます。

次に、成功した採用の数(採用した人数)で割ります。これにより1名採用するためにかかった全体のコスト(単価)が算出されます。

具体的な計算のイメージは以下の表に示します。

採用活動の詳細コスト
採用広告費¥300,000
エージェンシー手数料¥500,000
面接時間コスト(10時間*¥1,000)¥10,000
オンボーディング費用¥200,000
合計(採用活動の総コスト)¥1,010,000

この場合、1名採用するための単価は、1,010,000円となります。

(2) 具体的な計算例

エンジニア採用単価の具体的な計算方法について解説します。まず、考慮すべきコスト要素は以下の通りです。

  1. 内部コスト:採用活動を行った社員の人件費
  2. 外部コスト:求人広告費、エージェント料金等

これらを元に、以下のように計算します。

エンジニア採用における単価計算例

項目金額(円)
内部コスト300,000
外部コスト500,000
採用したエンジニア数1

この場合、エンジニア採用単価は「(内部コスト + 外部コスト) ÷ 採用したエンジニア数」で計算します。

すなわち、(300,000円+500,000円) ÷ 1人 = 800,000円となります。この結果から、一人のエンジニアを採用する際にかかる平均的なコストは800,000円ということが分かります。

IT業界における採用単価の実態

(1) 平均的な採用単価

IT業界におけるエンジニアの平均的な採用単価は、一般的な職種と比較して非常に高額なものとなっています。

以下の表は、一般的な職種とエンジニアの採用単価を比較したものです。

職種平均採用単価(万円)
一般職30
エンジニア100

この表からわかるように、エンジニアの採用単価は一般職の約3倍に及びます。この理由としては、エンジニアのスキルが特殊であり、そのスキルを持つ人材が市場に少ないことが挙げられます。

また、テクノロジーの進化に伴い、最新の知識・技術を持つエンジニアへの需要が年々増加しているため、その分、採用単価も高騰しています。

(2) 他の業界との比較

IT業界のエンジニア採用単価と他業界の採用単価を比較してみましょう。

以下に具体的なデータをまとめた表を示します。

業界採用単価
IT業界100万円
金融業界80万円
製造業60万円

上記の表から、エンジニアを中心とするIT業界の採用単価が他業界と比較して高いことが分かります。

これは、エンジニアの技術力が企業価値を直接左右するため、優秀なエンジニアを確保するための採用競争が激しいことが一因とされます。

また、エンジニアは常に最新の技術知識を必要とするため、求められるスキルセットが高度化し、その結果、採用単価も高くなりがちなのです。

エンジニアの採用単価が高額となる理由

(1) エンジニアの求人倍率の高さ

エンジニア職は現在、多くの企業からの需要が高まっており、その結果、求人倍率も高くなっています。

求人倍率とは、1つの求人に対する応募者数の比率のことを指します。エンジニアの求人倍率が高いということは、一つのポジションに対して多くの企業が競争している状況と言えます。

たとえば、IT業界全体の平均求人倍率が2倍である一方で、エンジニア職の求人倍率が5倍となっている場合、エンジニアを採用するためには通常以上のリソースを必要とすることになります。これがエンジニアの採用単価が高額になる一因となります。

以下にその具体的な例を表にまとめました。

職種平均求人倍率
IT業界全体2倍
エンジニア職5倍

この高い求人倍率を理解し、それに対応する採用戦略を立てることが、エンジニア採用単価を抑える上で重要となります。

(2) 経験者採用の需要の増加

現在、IT業界では経験者採用の需要が高まっています。エンジニアとしての経験者は即戦力となり、新規プロジェクトの成功に直結するからです。しかしこの経験者採用がエンジニアの採用単価を上昇させる一因となっています。

なぜなら、経験者は以下の要素を求めているためです。

  1. 優れた待遇:経験者は自身のスキルを正当に評価される待遇を求めます。
  2. 高度なプロジェクト:自身のスキルを活かし、更なる成長を促すプロジェクトに参加したいと考えます。

これらを満たす企業は競合相手よりも高単価でオファーをしなければならず、結果として採用単価が高額となるのです。今後も経験者採用の需要は増え続けるでしょうから、企業は採用単価を抑えつつ、魅力的なオファーを考える必要があります。

エンジニアの採用単価を抑えるためのポイント

(1) 採用コストの内訳を分析する

エンジニアの採用単価を抑えるためには、まず採用コストの内訳を明らかにすることが重要です。

具体的には、採用活動に関する各種経費(求人広告費、面接にかかる時間や人件費など)を詳細に把握し、それぞれが採用単価にどれだけ影響を及ぼしているのかを分析する必要があります。

■採用コストの内訳例

項目内訳
求人広告費ジョブサイトへの広告掲載料
人件費面接官の労働時間費、採用までのフォローアップ費用
その他採用エージェントの手数料等

このように、コストの内訳を明確にすることで、必要以上に費用がかかっている部分や改善の余地がある部分を特定しやすくなります。これが、エンジニア採用単価を下げる第一歩となります。

(2) 採用要件を見直す

エンジニアの採用単価を抑える策として、採用要件の見直しが有効です。特に、企業が多くのエンジニアに求めるスキルセットが高度すぎると、それに見合った人材は少なく、結果的に採用単価が高まる傾向にあります。

採用要件の見直しでは、以下の観点が参考となります

【採用要件見直しの観点】

  1. 必要スキル:「すべての技術を熟知したエンジニア」ではなく、「必要な技術の一部を習得しているエンジニア」を探す
  2. 経験年数:「経験年数」よりも「技術力」や「適応力」を重視する
  3. 学歴:「一流大学卒業」ではなく、「技術の理解度」や「学習意欲」を重視する

これらを見直すことで、応募者の幅が広がり、求人倍率も改善する可能性があります。採用単価を下げるためには、広い視野で多様な人材をみつけ出すことも重要になります。

(3) 採用手法を多角化する

エンジニアの採用単価を抑えるためには、単一の採用手法に頼らず、さまざまな手法を多角的に活用することが重要です。

既存の求人サイトを活用するだけでなく、SNSを通じた情報発信や、自社開催のイベントからのスカウト、さらにはエンジニア専門の採用コンサルティングなど、多種多様な採用ルートを確保しましょう。

また、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用といった手法も考慮に入れると良いでしょう。

採用手法を多角化することで、求職者との接点を増やすだけではなく、必要とするスキルや経験を持つエンジニアに対して直接アプローチするチャンスも増えます。その結果、採用単価の削減に繋がります。

下記の表は多角的な採用手法とその効果を示すものです。

採用手法効果
SNS採用求職者と直接コミュニケーションを取ることが可能
イベント採用自社の魅力を直接伝えることが可能
リファラル採用社員のネットワークを活用し、信頼性の高い人材を採用
ダイレクトリクルーティング高スキルなエンジニアに直接アプローチ

以上のように、多角的な採用手法を活用することが、エンジニアの採用単価を抑える有効な方法となります。

コスト効率の良いエンジニア採用手法

(1) SNS採用

SNS採用は、企業がエンジニアの採用単価を抑える有効な手段の一つです。LinkedInやFacebookなどのSNSを活用してエンジニア候補を見つけ、直接連絡を取る方法がこれに当たります。

SNS採用のメリットとデメリット

メリットデメリット
中・長期的なリレーションシップ構築が可能管理者のスキルが求められる
広範な人材とのアクセスが可能反応率が低い可能性がある
採用コストを抑えることが可能目的の人材を見つけるまでに時間がかかる可能性がある

SNS採用は、採用活動に新たな視点と対象範囲をもたらします。しかし、成功するためには、SNSの操作に精通し、適切なメッセージを発信できる能力が求められます。

これにより、エンジニアとの良好なリレーションシップを築き、採用単価を効果的に抑えることが可能となります。

(2) リファラル採用

リファラル採用とは、現在の社員が推薦する形で新たな人材を探し出す方法です。この手法は、エンジニアの採用単価を抑える効果が期待できます。

まず、リファラル採用は一般的に求人媒体に広告を出稿するコストが不要なため、初期コストを抑制することが可能です。また、社員が推薦するという性格上、推薦される人物のスキルや適性が確認しやすくリスクを軽減できます。

しかし、注意点としては、推薦する側の社員に負担がかかることや、視野が狭くなりがちであることです。これらを適切に管理し、またインセンティブの設定等でモチベーションを維持することも大切です。

以下にリファラル採用のメリット・デメリットを表にまとめました。

メリットデメリット
初期コストの低減社員の負担増
推薦による適性確認視野が狭くなる可能性

以上を考慮し、リファラル採用がエンジニア採用における有効な手法であることがわかります。

(3) ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、企業が直接求職者にアプローチを行う採用手法の一つです。この手法はエンジニアの採用単価を抑える効果があります。

なぜなら、多額の広告費や人材紹介会社への手数料を必要とせず、企業が自社の求人情報を直接ターゲットに届けることが可能だからです。例えば、エンジニア向けの勉強会やセミナーでのスピーチ、SNSやブログを通じての情報発信などが考えられます。

このようなダイレクトリクルーティングを行うことで、エンジニア個々のスキルや経験に合ったメッセージを伝え、質の高いエンジニアを効率的に採用することが可能になります。

また、ダイレクトリクルーティングは、エンジニアとの直接的なコミュニケーションを通じて、ブランドへの理解を深めてもらう効果もあります。これにより、より強固な雇用関係を築くことが期待できます。

エンジニア採用単価削減の成功事例

(1) IT系大手企業の事例

IT系大手企業A社の場合、エンジニアの採用単価削減に成功しています。一番の成功要因は、リファラル制度の導入でした。この制度では、社員が自社の採用活動に参加し、自身のネットワークから優秀なエンジニアを推薦します。

A社の内部リファラル制度導入による年間採用単価の変動は以下の表の通りです。

年度採用単価
導入前100万円
導入1年目80万円
導入2年目70万円

導入から2年で30%以上の削減が見られました。また、社員が採用に参加し、一体感を育むことで離職率も低下しました。これにより、長期的に見ても採用単価は大幅に削減されています。

(2) システム系大手企業の事例

システム系大手企業の一例として、A社の取り組みがあります。A社は、エンジニアの採用単価削減を実現した企業として知られています。

採用単価削減のため、A社は以下の3つの主要な改善点を設定しました。

  1. 採用手法の多角化:採用媒体を最適化し、求人広告費を削減した。
  2. 採用要件の見直し:求職者の経験年数など、採用要件を柔軟に見直しました。
  3. 内部リファラル制度の強化:社員が自社の魅力をSNSなどで発信し、エンジニア候補者を引き付けるよう努力した。

これらの取り組みにより、A社は採用単価を30%削減することに成功しました。

まとめ

本記事では、エンジニア採用単価に関する詳細な解説を行いました。

まず、採用単価の定義と計算方法を理解し、次にIT業界における採用単価の実態を把握しました。エンジニアの採用単価が高額になる理由について考察した上で、その単価を抑えるためのポイント、コスト効率の良い採用手法を紹介しました。

また、具体的な成功事例としてIT系大手企業やシステム系大手企業の採用単価削減の取り組みを取り上げました。これらの知識を活用し、エンジニアの採用単価抑制に効果的に取り組むことが可能です。

エンジニア採用単価削減のポイント

ポイント詳細
採用コストの内訳を分析する採用コストを明確化し、無駄を削減
採用要件を見直す求職者のニーズとマッチする職務内容を設定
採用手法を多角化する一次的な手法に頼らず、広い範囲で求職者を募集

これらを組み合わせることで、エンジニア採用単価の削減につながります。

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この記事の監修者

井上愛海のアバター 井上愛海 株式会社ミギナナメウエ 執行役員

2022年9月東京大学大学院在籍中に株式会社ミギナナメウエの執行役員に就任。
即戦力RPO事業の事業責任者を担い、これまでに80社以上の採用支援に携わる。
【以下実績】
・シリーズBのスタートアップ企業の20名のエンジニア組織を40名まで拡大
・CTO、PM、メンバークラスを採用しゼロからのエンジニア組織を立ち上げに成功

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