近年、採用広報の一つとして活用されているのが「会社紹介スライド」です。
別名「採用ピッチ資料」とも言います。
会社紹介スライドでは、媒体では発信しきれない福利厚生や給与テーブルなどのコアな情報を掲載することで、自社に共感した候補者を採用することができます。
今回は会社紹介スライドの作成の方法から、ポイントまでお伝えしますので、最後までご覧ください。
会社紹介スライドを作る前の準備
会社紹介スライドをスムーズに作成できるよう、準備を入念に行いましょう。
STEP1. 作成の目的を明確にする
最初に行うべきことは、「作成の目的を明確にする」ことです。
先にも述べたように、採用活動の目的で作成される会社案内と、営業資料としての会社案内では、掲載すべき情報が異なることがあります。
この会社案内が、具体的にどのような目的を達成するためのツールとして作成されるのか、対象となる読者層は誰なのか、これらを明確にしておくことが重要です。
目的が明確になると、必要な情報も自ずと整理されてきます。
STEP2. デザインの方向性を固める
会社案内を制作する目的が明確になったら、デザインの方向性を確定させましょう。
基本的には、自社のウェブサイトやランディングページ(LP)と一貫性を持たせる方向性が望ましいです。これにより、企業としての統一感が生まれますし、コーポレートカラーを活用することで、自社の資料として識別されやすくなります。
インターネット上には、多様な会社案内のデザイン事例が公開されています。これらを比較検討することで、理想のイメージが明確になるでしょう。
会社案内は企業の「顔」ですから、妥協せずに、自分たちが納得のいくデザインを追求しましょう。さらに、実際に会社案内を受け取るのは、取引先の企業や関係者です。この段階で、各部署の了承を得ておくことが重要です。
STEP3. 必要なページを確認する
一般的な会社案内には、「代表挨拶」「企業理念」「会社概要」「事業・サービス概要」「取扱い商品」「沿革」「組織図」「スタッフ紹介」、「事業所紹介」などの情報が含まれます。
ただし、これらすべてを会社案内に掲載する必要はありません。必要に応じてページ数を調整し、適切な情報を提供しましょう。
採用活動のためのPRであれば、「社員の1日」の紹介や活躍しているメンバーのプロフィールなどを掲載するといいでしょう。
必要なページや情報を検討するだけでなく、それらを統合した会社案内資料が読みやすく魅力的かどうかも考慮しましょう。
会社紹介スライドの項目
- 表紙
- 会社概要
- MVVの提示
- 事業概要
- 事業紹介
- 各事業の詳細説明
- 各事業の強み
- 各事業の実績
- 会社の想い
- 問い合わせ先
上記は一部の例なので、この項目以外に追加してもいいですし、いらない要素は省いても問題ございません。求職者に自社の魅力が伝わるよう記載しましょう。
会社紹介スライドの作り方
実際に会社紹介資料の具体的な構成についてご紹介します。下記の画像は弊社株式会社ミギナナメウエの会社紹介スライドを参考にしています。
1. 表紙
表紙では自社のブランディングを意識して作りましょう。ミギナナメウエはピンクっぽいグラデーションカラーがイメージなため、表紙に使用しています。
2. 会社概要
企業の基本的な情報を掲載します。
3. MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)
企業の「想い」を伝えるためにMVVを提示します。
特にベンチャーを志望している人材は、企業のMVVに共感して応募することが多いので、他社とあまり被らない内容を記載しましょう。
4. 事業紹介
自社が運営している事業内容について示しています。ただ事業内容を書くのではなく、なぜその事業を選んだのか背景を記載するといいでしょう。
5. 各事業の詳細説明
具体的な事業について提示します。各事業の概要や現在の実績など数字を用いて説明するといいでしょう。
6. 福利厚生
7. オフィス風景
会社紹介スライドのメリット
会社紹介スライドのメリットを紹介します。
企業の認知度向上
会社紹介スライドを作成し、ウェブ上で公開することで、自社の知名度向上に貢献できます。会社紹介スライドが応募者の注目を引くことで、自社に興味を持ってもらうきっかけとなり、応募へとつながる可能性があります。
会社紹介スライドは、一度作成すれば、自社ウェブサイトや求人プラットフォーム、SNS、リファラル採用のための資料として、また企業説明会などで活用できるため、様々な場面で自社の知名度向上を促進できます。
候補者の自社理解を深めさせるため
会社紹介スライドは、採用媒体やコーポレートサイトに掲載しきれなかった情報を掲載できるため、候補者の自社理解を深めさせることができます。
特に「今後のビジョン」「給与・待遇」「組織概要(男女比や平均年齢)」の部分は、候補者が知りたいコンテンツ且つ、自社の色を出しやすい部分なので、詳細に記載するといいでしょう。
面談・面接の効率化
面談や面接の精度を向上させるために、会社紹介スライドの活用は非常に効果的です。
会社紹介スライドを活用しない場合、面談や面接での企業説明に時間を費やすことになり、質疑応答の時間が制限される可能性があります。また、応募者が企業について理解していない場合、適切な質問や議論を促すことが難しいでしょう。
一方で、会社紹介スライドを事前に提供することで、面談や面接時の企業説明時間を短縮し、より多くの時間を質疑応答に割くことができます。これにより、効率的かつ効果的なコミュニケーションが可能となります。
入社後のミスマッチを防止
会社紹介スライドは、企業の取扱説明書のようなものです。そのため、会社紹介スライドを見て応募してくれる候補者は、企業について十分に理解していることが多いです。そのため、入社後に「思っていたのと違った」といったギャップは起こりにくく、早期離職の防止にもつながります。
求人媒体や人材紹介を利用している企業も多いと思いますが、自社が伝えたい情報が正確に全て伝わるとは限らないため、入社後のミスマッチを減らしたい企業は、会社紹介スライドを作成するのを推奨します。
会社紹介スライドのデメリット
続いて会社紹介スライドのデメリットについて紹介します。
作成に時間やコストがかかる
会社紹介スライドの制作には、最短で1ヶ月、通常は2〜3ヶ月の時間が必要です。
外部委託する場合、カラーや掲載内容、デザインの品質など、詳細な要件を伝える必要があります。そのため、依頼の段階で時間がかかることが一般的です。
さらに、人事部だけでなく、社員からの協力も必要な作業ですので、全員のチェックをもらうには膨大な時間がかかってしまいます。
制作費用は、アウトソース先やデザインのクオリティによって異なりますが、平均的には30〜50万円程度とされています。自社にリソースが不足している企業や、デザインの専門知識を持っていない場合は、外部委託を検討することをお勧めします。
自社の魅力を理解していないといけない
会社紹介スライドは、他社との差別化を図るため、デザインやコンテンツを含めて独自性のあるものを作成する必要があります。そのため、自社の特徴を十分に理解しているかどうかが重要です。
内容の構成は、自社の特性を理解している幹部クラスにヒアリングすることを推奨します。自社の魅力や強みを的確に伝えるために、彼らの意見や視点を取り入れることが重要です。
また、自社の魅力と求職者のニーズは異なる場合がありますので、求職者の視点を考慮して資料を作成することも重要です。新入社員や最近入社したメンバーにヒアリングすることで、候補者のニーズや期待についてより具体的な情報を得ることができます。
まとめ
会社紹介資料を充実させることで、候補者の記憶に深く刻まれ、自社に対する理解が深まります。また、SNS共有機能があれば、他の候補者にも認知してもらえる可能性が高くなります。
この可能性を引き出すためにも、会社紹介資料の作成は慎重に行うことが重要です。
会社紹介資料以外にも、さまざまな採用広報があります。下記の記事も参考にしてみてください!