【例文あり】刺さる求人キャッチコピーの共通点は？応募につながるポイントを解説

採用において、訴求力が強くひと目で興味を引くキャッチコピーがあれば、企業の認知度やブランド力にかかわらず、多くの人に求人を見てもらえます。新卒採用・中途採用のどちらにおいても、ターゲットに”刺さる”キャッチコピーであれば、魅力的な人材からの応募が増えるでしょう。

理想は、「もっと知りたい！」と、候補者に思わせるようなキャッチコピーです。

しかし実際にキャッチコピーを書こうとすると、ありきたりな文章になってしまって困っている人もいるのではないでしょうか。

本記事では、応募につながる魅力的な求人キャッチコピーの書き方を解説します。

求人キャッチコピーの役割と重要性

求人キャッチコピーの作り方を具体的に見ていく前に、キャッチコピーの役割と重要性を理解しておきましょう。

そもそも「キャッチコピー」は、商品やサービスを魅力的に訴求するために用いる15字程度の短いフレーズのことです。電車の釣り広告やテレビCM、書店に並ぶ本の帯では、キャッチコピーを多く目にします。短い文章なのに好奇心をかき立てられたり、一度見ただけで覚えてしまったりした経験がある方も多いでしょう。

良いキャッチコピーは、見た人がつい行動してしまう（商品やサービスを手にとってしまう）ように工夫して作られています。つまり、求人キャッチコピーにおいても、ひと目見て「その募集・会社についてもっと知りたくなってもらう」ための工夫がカギなのです。

人手不足が深刻な昨今、ネット上には、求人広告や求人情報があふれています。求人の内容がどんなに魅力的で好条件でも、求職者の目に留まらなければ応募されません。「人は見た目が9割」と言われますが、求人においても第一印象が重要です。求人の”顔”であるキャッチコピーによって候補者を惹きつけることで、応募数向上に繋げられます。

優れた求人キャッチコピーの条件と要素

求人キャッチコピーは、商品やサービスを訴求するキャッチコピーとは性質が異なります。

優れた求人キャッチコピーの条件と、コピーに入れ込む要素を押さえておきましょう。

優れた求人キャッチコピーの条件

多くの採用候補者の目に留まり、実際に自社で働いてくれる人材に応募してもらうためには、以下のポイントを押さえたキャッチコピーが必要です。

万人受けするキャッチコピーであっても、自社にマッチする人材からの応募がなければ意味がありません。採用ターゲットに正しく”刺さる”ことが何よりも大切です。

求人キャッチコピーの要素

求人キャッチコピーでは、第一に仕事内容を訴求する必要があります。そして、商品やサービスと違い、一生モノの判断となり得る「仕事」の魅力を打ち出すキャッチコピーでは、語呂や雰囲気が良いだけでは不十分です。

求人キャッチコピーでは、募集内容を詳しく見たくなる工夫をした上で、以下のような具体的な情報を盛り込むのが一般的です。

求人キャッチコピーの文字数は掲載媒体によって異なりますが、人が一瞬で認識できる文字数を考えると、30文字程度が現実的です。限られた情報量の中に、何を入れれば魅力的に見えるかを考えるのが、採用キャッチコピーの肝といえます。

求人キャッチコピー作成前の準備

採用につながる求人キャッチコピーを作成するには、下準備がとても重要です。やみくもに手を動かす前に、キャッチコピーに必要な情報を整理しましょう。

求人キャッチコピーを作成する前の準備について、以下のポイント別に説明します。

採用ターゲットを明確にする

採用ターゲットを明確にすることは、全ての採用活動の前提条件として非常に重要です。

キャッチコピーがいかに魅力的で応募数が増えても、応募者がターゲットとずれていては意味がありません。むしろ、書類選考などの業務負担が増えるだけで、成果に繋がらない可能性があります。

どのような人が採用ターゲットなのかを細かく言語化しておくと、「ターゲットが魅力的に思うか？」という尺度でキャッチコピーを評価できるようになります。有効人材からの応募が増えるキャッチコピーを作成することができます。

ターゲットは、以下のように年齢や志向性などの属性で整理します。

採用ペルソナを設定する

ターゲットの解像度をさらに高め、採用ペルソナを設定しましょう。

ペルソナとは、マーケティング用語で、ニーズや行動の分析に役立てるために定義する架空の人物像を指します。採用活動においても、ターゲットをより具体的に掘り下げてペルソナを定義することで、施策の評価に利用できます。

ペルソナは、その人物像が実際に思い浮かび、思考や行動を想像できるように、個性をできるだけ具体的に描写します。

ペルソナを定めておけば、採用ターゲットの時よりももっと解像度高く採用キャッチコピーを評価できるので「ペルソナはこのキャッチコピーを見て求人をクリックするか？」と想像しながら、より刺さるキャッチコピーに仕上げましょう。

自社の強みを整理する

自社の強みを言語化し、整理しておくことで、より訴求力の高い求人キャッチコピーが作成できます。

自社の強みは、社員アンケートや内定承諾者からのフィードバックなどを参考に、1つ1つ細かく列挙してみましょう。

簡単でいいので、できるだけたくさんの強みを書き出してみてください。アイディア出しの段階では、量が多いほど良いでしょう。

自社のいいところを出し尽くしたら、その中から重要なものを抽出していきます。この時、「ペルソナの人物が魅力的に感じる強みはどれか？」を指標に考えていくのがコツです。

例として、上記の強みの中から、キャリア志向かつ安定志向な27歳女性のペルソナに刺さる内容を考えてみると以下が残りました。

会社の強みだけでなく、これから募集予定のポジションの魅力など、求人の強みにも踏み込んで整理できると理想的です。

キーワードを設計する

ペルソナや自社の強みなどの要素が揃った段階で、求人キャッチコピーに使えるキーワードを設計しましょう。

例えば求人票のタイトルに使うキャッチコピーの場合、求職者が仕事を探す際に、フリーワードで気になっているキーワードを検索し、ヒットした求人をチェックするという動線をイメージすることが重要です。

フリーワード検索で求人をヒットさせるためのキーワードの例は、以下の通りです。

まずは自社の強みや求人の特徴から、検索されそうなキーワードを選び出します。さらに、ペルソナに訴求できそうなキーワードを優先してキャッチコピーに盛り込むと効果的です。

競合企業のキャッチコピーを分析する

似たようなターゲットに訴求している競合企業のキャッチコピーもヒントになります。キーワード選びが難しい場合、競合求人のキャッチコピーをたくさん見て、頻出するキーワードを分析してみましょう。

競合求人のキャッチコピーでチェックすべき点は2つあります。

1. 自社のキャッチコピーにも取り入れられそうなキーワードはないか
2. 自社が差別化できるポイントはどこか

ペルソナに訴求できそうなキーワードで、自社にも適用できるものがあれば、取り入れてみましょう。

ただし、競合求人のキャッチコピーと似た内容になっては意味がありません。競合ではなく自社の求人に応募し、入社してもらうためには、自社を差別化して訴求する必要があります。競合にはない自社の魅力は何か、競合求人のキャッチコピーや求人内容から探ってみてください。

応募される求人キャッチコピーの共通点

事前準備が整ったら、いよいよ自社のキャッチコピーを本格的に作成します。

成果につながる求人キャッチコピーにするなら、キーワードをただ列挙するだけでは不十分です。ここでは、応募される求人キャッチコピーの共通点を解説します。

メリット・ベネフィットを具体的に示す

求人キャッチコピーに欠かせない要素は、候補者にとってのメリットおよびベネフィットを明確に示すことです。候補者はキャッチコピーを見て、「この求人に応募すれば明るい未来があるかも」と期待を感じ、求人をクリックしてくれます。

前提として、メリットとベネフィットは似て非なるものです。

• メリット：候補者にとって魅力的である求人条件そのもの
• ベネフィット：メリットによって候補者が得られる具体的な利益や体験

例えば、単刀直入にメリットを示すならば、「副業OK」というキーワードが使えます。さらに踏み込んで、副業制度によるベネフィットを訴求するならば、「副業で稼ぎながらスキルアップも」などの言い方ができるでしょう。

ペルソナのニーズや志向性を想像した時、深く訴求できるベネフィットがあれば、ベネフィットを前に出すことで魅力的なキャッチコピーになります。文字数を加味して優先度が低ければ、メリットの訴求に留めてもよいでしょう。

ペルソナを考慮しながら、自社の求人のメリットやベネフィットを、できるだけ具体的にキャッチコピーに盛り込みましょう。

数字や実績など客観的な要素がある

数字や実績などの客観的な要素が入っているキャッチコピーは、クリックされやすくなります。目を引くだけでなく、信頼度が高いためです。

大量のキャッチコピーを眺めていると、抽象的な言葉よりも具体的な単語の方が目を引くことがわかります。「若手が活躍中」よりは「20代の管理職が活躍中」とある方が、20代の若手社員がマネジメントしている様子が目に浮かび、印象に残るでしょう。

第三者によって認められた強みを端的に訴求できるキャッチコピーも、他社にはなかなか真似できないため、差別化に繋がります。例としては、「ホワイト企業認定」「働きたい企業No.1受賞」などです。

「5年離職率たったの5%」「50%が30代！」など、実績や揺るぎない事実を具体的に前に出すのもおすすめです。数字が目に留まりやすく、求人の詳細を見るきっかけを作れます。

短く簡潔で視認性が高い

効果的な求人キャッチコピーは、短い文章の中に魅力が詰め込まれています。明瞭簡潔であることは、キャッチコピーの鉄則です。

魅力的なキーワードも、長文にたくさん詰め込むのでは、効果を発揮できません。ひと目見ても内容がわかりにくい冗長な文章となり、スルーされてしまうでしょう。

キャッチコピーの肝は「引き算」です。できるだけ少ない情報量の中に光るワードを効果的に配置してこそ、訴求力を持ちます。

短文に魅力を詰め込むのは簡単ではありませんが、語呂やリズムの良さ、光る言葉選びを意識して考えてみてください。

言葉遊びを楽しみながらアイディアを出していけば、オリジナリティのあるコピーが生まれるかもしれません。

ストレートな言葉を使っている

求人キャッチコピーで意外に効果的なのは、ストレートな言葉を使うことです。逆に言えば、ぼかすような表現や曖昧な言葉はできるだけ避けるべきでしょう。

「風通しの良い職場」「アットホームな職場」と言うよりは、「役職を超えて関われる環境」「若手の意見を積極採用」など、よりわかりやすく魅力を訴求できる言葉やフレーズを選ぶべきです。

専門用語や難解な言葉も避けた方が無難です。業務上重要な用語や、人によってはメリットが伝わる言葉であっても、ひと目見て伝わりにくければ、キャッチコピーでの利用はできるだけ避けます。

ただし、エンジニアに対して言語名を使うなど、想定するターゲットやペルソナが当たり前に備えているボキャブラリーであれば取り入れてみても良いでしょう。

意外性がある

意外性によって人を引きつけるキャッチコピーが、大成功する場合もあります。求人キャッチコピーにおいても、意外性に引かれる心理を利用できると、反応率が高まります。

「社長はなんと、元バイト！」「IT会社だけど食品も作ってます」など、思わず詳細を知りたくなってしまうような引きの強い情報があれば、キャッチコピーに盛り込めないか考えてみましょう。

ただし、意外性に引かれた人にクリックされても、ターゲットから応募されなければ本末転倒です。意外性のスパイスも盛り込みつつ、ペルソナからどう評価されるかという軸がぶれないよう求人票内で堅実性を伝えるなどの工夫が必要です。。

求人キャッチコピーのNG事例

コピーライターのように巧みなキャッチコピーを作れなくても大丈夫です。大きく失敗しないためのポイントを押さえておけば、それなりのクオリティで求人キャッチコピーを作れます。

本項では、求人キャッチコピーで大失敗しないために、最低限押さえておくべきNGポイントを紹介します。

ターゲットがわかりにくい

採用候補者に訴求したい求人キャッチコピーでは、ターゲットがぶれないようにしましょう。

求人キャッチコピーの目的は、商品やサービスをたくさん売ることではありません。募集人数の範囲内で、自社とマッチする人材に応募してもらい、果ては入社してもらうことです。

多くの人に求人を見てもらっても、ターゲットからの応募がなければ、求人キャッチコピーとしては失敗です。万人に受ける必要はないため、ターゲット・ペルソナ像に訴求することに注力してください。

表現が凝りすぎて一瞬で伝わらない

表現に凝りすぎたり、言葉や内容が奇抜すぎたりすると、ひと目で魅力が伝わらず、求人キャッチコピーとしては微妙な仕上がりになってしまいます。

競合求人に埋もれることを恐れるあまり、できるだけオリジナリティを出したいと考えるのは当然です。しかし、何よりも大切なのは「伝わりやすさ」であることを忘れないでください。自社や求人の魅力が単純明快に伝わることを前提に、魅力的な表現にしましょう。

凝った表現や奇抜な単語にどうしてもこだわりたい場合は、ペルソナに伝わりやすいかで最終判断します。一般的に奇をてらったキャッチコピーでも、ペルソナに伝わる内容であれば、攻めのキャッチコピーとして使ってみても良いかもしれません。どうしても尖った表現を使いたい場合は、シンプルなコピーも作成しておきつつ実際の反響を見ながら、A/Bテストを行うのがおすすめです。

独自性がなく印象に残らない

独自性がない求人キャッチコピーは、印象に残らず、訴求力のある競合求人に流れてしまう恐れがあります。

単純明快なキーワードだけを短文に押し込んだ結果、どこかで見たような量産型キャッチコピーになってしまうことがあります。あまりにも無難すぎると思ったら、一単語だけでも凝った言葉にできないか、意外性のある情報を追加できないか、再度考えてみましょう。

優れた求人キャッチコピーを作るには、それなりに時間がかかります。すぐに諦めず、数人でブレインストーミングしたり、休憩など時間をおいたり、根気よく検討してみてください。

過度な誇張表現など怪しい表現を含む

玉石混交な情報が溢れるインターネット上では、「怪しい」と思われると致命的です。求人キャッチコピーにおいても、怪しさや胡散臭さがないか、客観的に評価してください。

とくに、メリットが過剰に見える求人は怪しいと思われやすい傾向があります。「入社即高収入！」「誰でも稼げる！」など、報酬に関わる表現には特に注意が必要です。昨今では、違法な求人情報に当たる可能性があるという認識も一般的になりました。信頼性を損ねないために、客観的に見て安心できる表現であることが、何よりも大切です。

引きの強い表現を考えるうちに、候補者が引いてしまうような過剰な表現になっていないか、時々立ち止まって見直してください。

AI感がある

求人キャッチコピーに「AI感」があると、多くの場合スルーされてしまうため注意が必要です。

生成AIが高品質な文章を作れるようになった昨今、AIを利用してキャッチコピーを検討する場合もあるでしょう。生成AIが提案するキャッチコピーは、無難すぎたり、逆にAIならではの違和感や誇張表現、文法の誤りを含んだり、問題も指摘されています。

キャッチコピーの壁打ちや競合分析、キーワード設計などのサポートにAIを活用するのは非常に効果的です。しかし、キャッチコピーとしてまとめ上げる段階では、人の目による確認が必須です。

AIに採用キャッチコピーのアイディアを出してもらう場合は、キャッチコピーを候補者として見た時に違和感がないか、複数人で確認するといいかもしれません。

まとめ

採用シーンにおいて、候補者が募集を見つけるきっかけとなる求人キャッチコピーはとても重要です。ターゲットとなる人材に自社や求人の魅力を知ってもらい、応募を経て入社してもらうために、求人キャッチコピーの質にはできる限りこだわりましょう。

一見、センスや才能が求められそうなキャッチコピーも、以下のポイントを押さえれば、一定のクオリティで作成できます。

• メリット・ベネフィットを具体的に示す
• 数字や実績など客観的な要素がある
• 短く簡潔で視認性が高い
• ストレートな言葉を使っている
• 意外性がある

戦略的に事前準備を行って根気よく検討すれば、採用活動を成功に導く糧になります。

求人キャッチコピーの作成を含め、採用に課題を感じている方はぜひご連絡ください。採用活動の戦略立案から運用まで、貴社の採用課題に合わせてサポートします。